FIRST AIDの使い方をご紹介
FIRST AIDはSTEP1受験のバイブル
さてこれまでにSTEP1対策に必要な教材を紹介してきましたが、今回はUSMLE STEP1受験のバイブルであるFIRST AID(以下FA)の具体的な使い方を紹介しようと思います。2023年4月にPass/Fail化後のFAの使用方法や、電子版の使い方を追記しました。
STEP1はFAに始まりFAに終わります。
正しい使い方を確実に覚えていってください!では始めます。
FIRST AIDとは?
そもそもFIRST AIDとは一体どんな参考書なのでしょうか。ここで改めてFAの概要とその重要性の紹介をしようと思います。
実はこのFAは「受験生によって作られている」と言われています。具体的には受験生が実際に本番で遭遇した問題などを基に頻出項目をまとめたものがFAなのです。FAの表紙にも「A student to student guide」とあり、受験生から受験生へそのTIPSが脈々と受け継がれている様子が伺えます。従って、FAの内容は本番で遭遇しうる知識ばかりであり、FAを利用した勉強が非常に効率的と言えるのはそのためです。
FAが丸暗記すべきか
STEP1のスコアが廃止される前までは、(アメリカの)マッチングでSTEP1のスコアが重視される傾向にあり、多くの受験生がハイスコア狙いで勉強していました。当時のハイスコアを狙うような勉強方法は、現在の「合格を狙うための勉強方法」とはかなり異なっていました。
具体的には240以上のハイスコアを狙うような場合は8割以上の正答率が求められますが、現在の合格基準であれば正答率6.5割程度でも到達しえます。6.5割と8割の差が如何に大きいか皆さんにもわかるはずです。8割正答するためには、FAを丸暗記するようなレベルが求められていたのです。僕自身も多くの場で「FAを丸暗記せよ」と申し上げておりました。
しかし、ご存知の通りSTEP1のスコアは廃止され、FAを丸暗記する必要性は乏しくなってしまったのです。とはいえ、FAの重要性が下がったわけではなく今でもバイブルであることには変わりありません。「FAとの付き合い方」が少し変わったと言えます。
↓USMLEの最新情報は公式HPから各自チェック!
STEP2CK/STEP3のFA
それでは他のSTEPのFAはどのような立場なのでしょうか。未だに理由は不明ですが、他のSTEPのFAは非常に使い勝手が悪く正直バイブルとは言えません。何故か内容が網羅的ではなく、問題集を解きながら参照しても「痒い所に手が届かない」というか、非常に勝手が悪いのです。結果的に使用している人も少なく、STEP1とは異なり更新も3年に一度も出版社もやる気がないようです。(やる気だしなさいよ)
従ってmust haveとは言えず、買いたいなら買ってもいいくらいの存在に過ぎません。STEP2CKやSTEP3の勉強方法は別途存在するので、他の記事も参考にしてください。
FAの使い方
総論:絶対に最初に通読しない!
最初に最重要点をお伝えしますが、FAは決して「最初に」通読してはいけません。
FAはあくまでも辞書的な存在であり、内容は知識の羅列に近いものがあります。少なくとも「読み物」ではありません。従って知識が不十分な状態で通読しても、知らない医学英単語の羅列としかに認識できずに内容が一切頭に入ってきません。(医学部には瞬間画像記憶するような天才が一部おり、通読を勧めることがありますが普通はできませんのであしからず)
しかし、ここで敢えて「最初に」と書いたのには明確な理由があります。後述しますが、FAは「直前期には」通読すべき物語になるのです。
具体的な使い方の手順
FAの使い方の手順は以下です。
②FAで該当箇所を調べる
③FAの内容にマークする
④記載が無い場合は書き込む
USMLEの問題を解き進める過程で知らない知識に幾度も遭遇していきます。そこで、その疾患名やkeywordを利用して、FAの中でその内容に該当する部分を探しだし、その該当箇所を読みます。その該当箇所をお好みでマーカーを引いてください。
次に問題の解説内容がFAに書いていない場合は、その不足している部分の知識をFAに書き込みます。この作業をひたすら繰り返すのみです。これを繰り返すことでFAの内容が「虫食い」状態になっていきます。繰り返すこと数千回、つまり数千問解くとFAの8割以上の内容が自然に把握できるようになるのです。
FAへの書き込み
FAに記載されていない知識は適宜、FA内の該当項目周辺に書き込んでください。何度も繰り返し書き込むことで同じ知識を何度も目にすることになります。このようにして脳に刷り込ませていくのです。
また、FAに全く載っていないような疾患も問題集では出題されることがあります。その場合は、ノートを作ってそちらに書き込むか、FAの余白に書き込むかどちらかでしょう。以下に僕のFAの一部を乗せておきます。参考にしてください。
Figure5 Dr.瀬嵜のFA
Tao Le and Vikas Bhushan, First Aid for the USMLE Step1 2011:A Student-to-Student Gide, (McGraw-Hill Education, 2011), p.301,371
こんな感じです。当時のFAには手根骨の情報が殆ど掲載されていませんでした。そのため自分で上の画像のように「手根骨コーナー」を作りそこに情報をまとめていました。
あとは自分にとってベストな書き方を追求していってください。
ワンポイントアドバイスとして書き込む時には芯の細いボールペンで書き込むことをお勧めします。とにかくいっぱい書き込むことになるので細いボールペンが重宝します。僕は0,28mmのボールペンを使っていました。
電子版FAの使い方
まずFAを電子版を購入しようとする場合は、Amazonからkindle版のFAを購入するところから始まります。↓ここから電子版にも飛べます。
しかし、ご存知のようにkindleの書籍には自由に書き込みをすることができません。そこでKindleで購入したFAを文字検索可能なPDFに変換し、ノートアプリ(GoodNotes5)に取り込むことで、紙版のFAのように細かく紙面にメモをとることができるようになります。紙版よりもこちらが優れている点は、まず、iPadに入れてもち歩けるという携帯性の高さ、そして、手書きのメモもすべて文字検索可能なその検索力です。
FAをPDF化することで拡散リスクが高まってしまうため、当blogでその方法を表向きに積極的に推奨することはできません。そこでヒントだけ記載しておきますので、気になる方はご自身で調べて自己責任で実行してください。
GoodNotes5:有料だが使いやすい。基本ipad+Apple pencilが必須。
電子版の利点はその軽さのみならず、画像や表を「コピペ」できる利便性にあるでしょう。USMLE受験では様々な表や図が出てきますが、電子版ではそれらを効率的に貼り付けることができます。(印刷して紙のFAに貼り付ける人もいますが)
紙がいいのか電子がいいのか
この結論は出ていません。何故ならどちらにも利点があり、さらに好みには個人差があるのです。電子版のほうが軽くて持ち運びやすく、コピペなど利便性が高いのは間違いありません。しかし、紙には紙の良さがあり、一見した時の視覚的な網羅性の高さや、その質感のために記憶しやすい(と思っている)という利点もあります。
2023年現在でも紙派も多く残存しており、必ずしも電子版が優勢とは言えません。好みの問題が大きいので、皆さんが勉強しやすい方を選択してください。
「直前期は」通読せよ
先にFAは辞書であり読み物ではないと述べましたが、UWなどの問題集を終えたあとは話が違います。最初はただの知識(単語)の羅列であったFAが、数千問の問題を解くことでいつのまにかそれぞれの知識が有機的に繋がった「物語」に変わります。
そこで直前期は問題を解くことをやめて、知識の抜けを確認するためにFAを「さらっと」通読してください。ここで敢えて「さらっと」と書いたのは、スコアがあった頃のような「丸暗記」はする必要がないということです。当時はFAに記載されている知識を大げさではなく全て記憶することを推奨していました。しかし、現在それをするのは非常に費用対効果が悪いので、最初から最後までFAをさらっと読むことで十分と思われます。
しかし、ただ通読するだけでは不十分です。直前の通読で大事なことは通読しながら暗記していない知識を抽出して、それを徹底的に覚えることです。覚えていない、または暗記が不十分な知識があればそれをAnkiに入れるか、またはノートやエクセルにまとめていきます。それを最後に一気に覚えることで知識の抜けを可能な限り少なくするのです。
おわり
以上がUSMLE受験のバイブルであるFAの使い方になります。ごく一部ではありますが、FAを一切使用せずにUWのみで合格される方もいます。「FA不要論」もあるくらいですが、正直これは個体の能力次第なのです。余程時間がない方を除いて、基本的にはFAを中心とした勉強方法が無難かと思います。
次回はまとめノートのついてお話をしていきますね!しーや!
こちらにSTEP1対策に関してまとめたのでこちらもご覧ください!
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