マッチング(日本)対策⑥~昨年度の振り返り~
挨拶
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。さて、毎年恒例のドキドキマッチングの季節が近付いてまいりました。昨年もマッチングに関する記事を書きましたし、動画のほうでも沢山のコンテンツを発信しているので是非参考にしてください。何ならUSMLEよりも人気コンテンツだったりします(泣)。
マッチングは料理みたいなもの?
今年の記事は昨年のマッチングを振り返り、コンサルトがうまくいった例をご紹介したいと思います。昨年沢山のマッチングコンサルトを受ける中で、マッチング(ここでは主に面接を指す)は料理みたいなものだなと思えてきました。受験者は料理人で、自分の特性(素材)を活かして料理を作り、病院(試食者)に食べてもらいますが、当然病院によって味の好みは変わります。病院がその料理を好めばめでたくマッチということです。
再三言ってきたことですが、マッチングは「マッチ」する場であるが故に、病院の求める人材にマッチする必要があります。これを今回は「病院の好み」と例えています。例え良い素材を持っていたとしても相手の好みの料理でなければアンマッチでしょうし、美味しいならもっと食べたいから採用と。大事なのは相手の好みを知ること。とてもシンプルな話です。
ある有名病院にて
このような考えに至った背景を説明しましょう。ある有名病院を希望する受験生がいました。彼の成績は平均的で、特に目立った研究実績や学会発表もありません。部活は積極的に行っていましたが、目を張るような実績があるわけでもありません。有名病院にいくと彼よりも優秀で実績のある旧帝大の人達がうじゃうじゃいます。さて、あなたならどう戦いますか?拳銃持ってる相手にこん棒で応戦しようとはしないですよね。でも、何故かみんなこれをしちゃっています。なぜでしょうか。それは、自大学という狭いコミュニティにいると外の世界の敵の戦闘力が見えないためです。余程自分に自信が無い限りは「研究や学会、部活というレッドオーシャン」で戦おうとすることは非常にリスキーなのです。
その受験生も当初はそうしようとしていました。しかし、一緒に面接練習をした時にもう1分くらいで気づいてしまいました。
「こりゃだめだ・・・」。
どう考えても他の受験生の下位互換になってしまっている。こうなれば、勝つためには全く違った特性をアピールするしかありません。確かに彼は王道では勝負できないかもしれませんが彼には誰にも負けない強みがありました。それは人間性です。人懐っこくいつも笑顔で優しい。これほど魅力的なアピールポイントって他に無いと思います。でも、彼はそれをアピールしようとせずに、苦手分野で戦おうとしていたのです。つまり、彼は「素材が活きず美味しくない料理」になっていたということです。
抜群の「接遇力」
確かにメインディッシュにはなれないかもしれないけど、誰よりも美味しいデザートにはなれるかもしれない。そう思って、徹底的に「接遇力」をアピールするようにアドバイスしました。動画でも語っているので是非参考にして欲しいのですが、彼はバイトをしていたカフェの店長に推薦書を書いてもらい提出したのです。医者以外からの推薦書というだけでも相当なインパクトがありますが、特筆すべきその内容は如何に彼が好青年だったかというものでした。僕は医療もサービス業と1つと考えています。どうしても患者の立場が低くなりがちな構図であるため忘れ去られがちですが、医療のサービス提供の中にも接遇も含まれます。ただ治療すればいいというものではなく、接遇を含めた医療を提供して喜ばれることがサービスの目的なのです。多くの上級医は医者が患者やその家族、また他職種と揉めたりしないかとひやひやしています。そのため、誰とでも心地のいい関係を築けるような「圧倒的な接遇力」は武器になるということです。
相手のニッチなニーズを察知しろ!
また、他の点でも勝負するようにアドバイスしました。これは病院の事情にも関するため詳しくは言えませんが、前述したように「病院の好みにマッチする」方法のこと指します。どの病院も何らかの問題を抱えています。それは外からは決して見えません。そして、その問題を解決してくれる人を常に欲しています。そのニッチに気が付き、それを埋めることのできる人材になり得ることをアピールすればいいのです。
具体例は出せないので抽象的に表現してみます。例えば、比較的忙しく若手医師がよく辞めてしまうような診療科があったとすると、その診療科が欲するのは間違いなく「辞めなさそうな人材」です。そのような場合は体力アピールが有効でしょうし、留学志向アピールはむしろマイナスになるのが分かると思います。別に留学志向があること自体は問題ないのですが、そのような場でアピールしてしまうのが問題です。何度も原点に帰りますが、「相手の好み把握してますか?」ということです。自分の好みを押し付けてないでしょうか?もし好みが分からないなら、見学の際によく観察することです。そして、研修医や上級医にどんな人材を求めているか、どんなことに困っているかよく質問するのが良いと思います。
彼はめでたくマッチして充実した研修生活を送っているというわけです。
「血の海」で戦ってませんか?
さて、うまくいかなかったケースを振り返えると。やはり自分の個性をアピールできずに「学力や部活動などのレッドオーシャン」で勝負してしまったようなケースが目立ちます。中でも学力アピールは最も危ういので、以下でその危険性に関して言及します。
一部の大学の中では「CBT9割神話」が聞かれます。それは「有名病院はCBT9割じゃないとマッチしない」というものですが、これは全くの嘘。完全に否定しておきます。そんな基準を設けてる病院なんか一度も聞いたことがありません。実際のところは、有名病院にマッチする人は成績「も」優秀な人が多く、CBT9割超えはざらだし、学内1位もよく見かけるというだけの話です。学力は「付け合わせ」みたいなものであって、メインディッシュではなりません(極一部の病院を除く)。
偏差値教育の功罪
「マッチングにおいて学力はそれほど重要視されない」ということを何度言っても中々伝わらないことはよく承知しています。我々は10年以上も成績至上主義の世界で生きてきたので、成績で評価されることが当然になってしまっています。医学生なんかその勝者とも言えるわけですが、奇妙なことに社会は全く違うんです。一度社会に出ると学校の勉強ができることなんて誰も評価してくれません。もちろん国家試験に合格してもらわないと困るので、マッチングでも学科試験が課されますが、その成績を根拠に採用の可否は決定されないのです。よって、そんな付け合わせをアピールしてもあまり意味がないのです。「実際有名病院の研修医は成績優秀な人ばかりじゃないか」という声が聞こえてきそうなので、亀田時代のことをお話ししましょうか。確かに当時の研修医は優秀な人ばかりでした。でも中にはそれほど成績が優秀でない人もいました。それでは彼らの中に共通していたものは何か。それは「やる気」と「コミュニケーション力」でした。もうとにかく一緒に仕事がしやすいのです。「あぁ、これだ」と思いました。彼らは研修医に必要なものを揃って身に着けていたのです。
リスキーな部活アピール
レッドオーシャンの話に戻すと、部活動のアピールも結構リスキーだと思います。何故なら最も多くの人がアピールするところだからです。以前に面接官をした時も、大半の受験生が部活のことをアピールしていましたが正直印象にはあまり残りませんでした。本人がとても努力をしてきたことは理解できるんですが、どうしても部活のスタメンになったとか、団体メンバーになったとか言われても印象に残りませんでした。もちろん、偶然面接官に同じ競技をやっている人がいるとかであれば話は広がるかもしれないですし、東医体優勝くらいになればアピールになるかもしれないです。もし部活をベースに組み立てる場合でも、相手の印象に残るようなエピソードが必要です。その努力の中にきらりと光る他の人には無い何かがありませんか。
アメリカのマッチングでも・・・
少しだけアメリカのマッチングにも触れます。実際、アメリカのマッチングでも印象に残るってことがめちゃくちゃ大事だと痛感してます。最近だと救急科レジデントになった人はバックパッカーしてた話がめちゃくちゃうけたと聞きましたし、寿司握れるアピールに皆食いついていたみたいな話も聞きます。実際に「お前は印象的だったから連絡した」みたいなメールもよくあるようです。勉強や成績でアピールできるのはごく一部ということです。
まとめ:困っているならこれをせよ
さて、まとめます。これからマッチングを受ける人は是非参考にしてください。まずは病院の好みを把握すること。相手が辛いのは好きじゃないっていってるのに、韓国料理とかエスニックの料理を出しても喜ばれませんよね?好みを知るためには最初に潜入調査(見学)しましょう。そこで、研修医の雰囲気を掴みましょう。そして、実際にどんな人材が求められているのかよく聞きましょう。また、何に困っているのか聞くのもいい手かもしれません。
次に相手の好みが分かったら自分のどの素材を活かすか考えましょう。メインディッシュで勝負できないなら、前菜でアピールするとかね。是非「接遇の神」の話も参考にしてください。ちなみに個人的に体力アピールは万人受けすると思います。どの社会でも病んでドロップアウトしてしまう職員がいることに頭を悩ませています。そんな中、根性がありそうで屈強なイメージを与えることができると間違いなくプラス評価です。一方で、がり勉の印象を与えてしまうと敬遠する病院もあるかもしれません。
最後に素材が無いなら作るしかありません。今年のマッチングとなると時間的にかなり厳しいかもしれませんが、1年以上あるなら何かしら人と差別化できる何かができるはずです。そもそも僕は「人生はネタ作り」だと思っています。ただ何となく生きるのか、意識して自分の人生に色を付けていくのか、それは個人の自由です。しかし、僕が面接官なら後者と一緒にしたいと考えるでしょう。
マッチングに関する情報は多岐に渡るため一気に語りつくすことはできません。また改めてUSMLE受験生にとっても病院選びについてもお話しができたらと思っております。またblogや動画でも引き続き情報発信していきますので、チャンネル登録も宜しくお願い致します!
それではまた。しーや。
コメント