USMLE概要⑧~日本の国家試験とUSMLEの違い(後編)~さぁUSMLE始めてみますか

STEP2CS対策USMLE概要

日本の国家試験とUSMLEの違い後編

ハイ!ナイストゥミーチュ!Dr.瀬嵜です。

和歌山講演会、東大セミナー等に参加者が増えつつあります。とてもありがたいことです。

講演をする上でとにかく意識していることは参加者に少しでも「参加してよかったな」と思ってもらうことです。頑張りますのでよろしくお願いします。

さて前回の記事の続きをやっていきましょうか。前回は国家試験をズバズバ切ってしまいましたが、今回はUSMLEの問題を見ていきます。

さてどれほどの違いがあるのでしょうか。

STEP1の問題

では最初にSTEP1の問題からいきましょう!

少し問題を改変しております。

A 75-year-old man comes to the office due to severe insominia for the past several months. He has trouble falling asleep and feels tired and irritable during the day. The patient is otherwise well. He has a history of hypertension and a cerebrovascular accident with residual right leg weakness. Medications include aspirin, rosuvastatin, and lisinopril. In addition to non-pharmacologic interventions for insomnia, short-term pharmacologic therapy is being considered. Which of the following medications is the best initial pharmacotherapy for this patient?

A Alprazolam

B Amitriptyline

C Clonazapam

D Diazepam

E Diphenhydramine

F Quetiapine

G Ramelteon

さぁ解いてみよ。答えは以下。230-40狙うなら正解しておきたい問題です。

 

 

 

 

 

 

 

答えはGのRamelteonです。

まずね。選択肢を見て驚愕されたと思う。むしろしてほしい。

そうなんです。USMLEでは薬の名前が分かっていないと解きようがないんです

日本って「SSRI」とか「抗精神病薬」ってのが正解になりますけど、そんなの全然役に立ちません。

これは僕が研修医に時に経験した実際の話です。精神科ローテーション中でその日はオンコールだったんですがある時看護師さんから電話がかかってきました。

看護師「先生、〇〇さんが眠れないって言ってます。」

国家試験的には「睡眠薬」なら正解である。

しかし

看護師「指示にはマイスリーとブロチゾラムがありますけど、どっちにしますか」

せざぼーい「。。。え?(何が違うん?)」

である。そうなんです。薬の違いが分からなければ正確な処方なんてできるわけがない。そしてUSMLEでは薬の名前とその一つ一つの特徴を覚えざるをえないようになっているので、勉強していく中で自然と身に付いていきます。

「国家試験だって薬の名前でるやん」

確かにその突っ込みは正しい。しかし選択肢をよく見てみると、

ジアゼパム、ハロペリドール、バルプロ酸・・・・などと全く作用の異なった薬が並ぶだけであり、選択に悩むことはないのである。

一方でUSMLEではベンゾジアゼピンが答えだと分かったとしても正解には至らない。ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラムなどベンゾジアゼピンの中からより最適なものを選択して初めて正解になるのです。

どちらがより実践的で役にたつのか一目瞭然でしょう。

一応解説もしましょうか。まず僕はこの選択肢を見た瞬間に全ての薬がどのような作用を持つか把握できます。何度も言いますけど、精神科医だからわかるのではなくこれくらいなら学生時代でも暗記していました。

高齢者の不眠に対しては転倒を起こしにくい非ベンゾジアゼピン系の薬を選択するのが定石ですが、選択肢の中で非ベンゾの睡眠薬はGのRamelteonしかないのでGが答えです。

「そんなのしらねーよ」っていうあなた。

この薬商品名はロゼレムって言いますけど、色んな科でめちゃくちゃ使用されてますよ。こんなに使用されているのに、何で日本の国家試験では一切問われないのか理解できません。なんで?

STEP1では薬の名前を正確に理解していないと正解できない

STEP2CKの問題

では続いてSTEP2CKの問題に挑戦してみましょう。

A 35-year-old woman comes to the office for the follow-up. Medical therapy is significant for mild psoriasis and bipolar I disorder. The patient was diagnosed with bipolar at age 20 following a manic episode and has a history of 2 hospitalizations at age 24 and 33 for major depressive episodes. Her mood has beeen stable on valproate for the past 2 years; she takes no other medications. The patient recently got married and has been functioning well. She hopes to become pregnant and would like to stop her oral contraceptive in the next few months. During pregnancy, she would like to continue to take medication for bipolar disorder due to her concern about relapse. Which of the following is the most appropriate recommendations regarding pharmacological management in this patient?

A Maintain valproate at the lowest effective dose

B Switch to carbamazepine

C Switch to haloperidol

D Switch to lamotrigine

E Switch to lithium

F Switch to sertraline

では解きたい人はどうぞ。答えは下です。

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、言い忘れたけど制限時間90秒ですからね。笑

 

どうでした?全然わかんないでしょ。失礼かもしれないけど日本の国家試験しかやってこなかった人には絶対解けない問題です。

でもこのレベルの問題を90秒以内で解くことを8時間続けるのがSTEP2CKです。

無理だって?そんなことはないです。それを可能にするのが日々の鍛錬です。

つまり毎日タンタンと問題を解くことです。

さて問題の話に戻りましょうか。答えはDです。正答率は約50%。

まず正答するためには当然各選択肢の薬のことを知っている必要があります。名前をみて瞬間的にどんな薬が分からなければならない。さらにそれらの代表的な副作用、特に妊娠に関するものを知っている必要があります。

その上でこの状況ではどうするか判断する必要がある。極めて実践的な問題です。今回のケースでは最も妊娠への影響が少ない気分安定薬であるLamotrigineにスイッチするのが答えとなる。

しかしそれだけで満足してはならない。今回はこれから妊娠する場合だからそうするのだが、実臨床では既に妊娠してしまっている場合もある。ケースバイケースなのだ。そのあらゆるパターンに対応していく必要がある。

そんな実臨床を何度も何度もシュミレーションするのがSTEP2CKなんです。

これを何千回を繰り返すことで得られるものは決して小さくない。間違いなく医師としての糧となります。

STEP2CKでは非常に臨床に則した問題が出題される

国家試験の問題再掲載

さてさて、ここまで長々とUSMLEの問題を見てきたが、ここで再度国家試験の問題をみてみましょうか。

うつ病に最も適切な治療薬はどれか。

A モノアミン再取り込み阻害薬 B ベンゾジアゼピン C バルビツレート系薬

D 抗ヒスタミン薬 E 抗コリン薬

・・・・・・・う、うん。

はい。まだまだ可能性に満ち溢れた皆さん。

これからどのような選択をしますか?答えは自分で決めてください。

僕はいつでも背中押しますよ。しーや。

 

あ、ちなみに最近は国家試験でもいい問題も見られるようにはなってきてますからね。ただUSMLEと比べちゃうとまだまだあれですが。一応フォローさせてください。笑

 

 

 

コメント

  1. […] 次回はSTEP1と2CKの問題を紹介しますね。しーや […]

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