USMLE概要⑦~日本の国家試験とUSMLEの違い(前編)~初心者はまずこれを見て震えるべし

STEP2CS対策USMLE概要

日本の国家試験とUSMLEは似て非なるもの!

ハイ!ナイストゥーミーチュ!Dr.瀬嵜です。

明日撮影です。なんのかって?それは後日お話します。

現在、講演会やセミナーの参加募集中なので、参加予定者の中でこのブログを除きに来ている人もいると思います。

中にはUSMLEのことを全然知らない低学年の人もいると思われますので、今回の記事ではいかに日本の国家試験とUSMLEが似て非なるものかお伝えしようと思います。ずっとやろうと思っていた企画でした。

多分これを見ると強い焦りが生まれるのではないかと思います。むしろ焦らないのではあれば少し感覚が鈍っているのかもしれない。

医者の数が増え、様々な病院に労基が入る昨今。

医者の「ホワイト化」ならぬ「サラリーマン化」が進んでおります。ぴんとこないでしょうけど。

つまり今後どんどんと医者の特権が無くなり、「忙しくもなく給料ももらえない」医者が生まれつつあります。そんな世の中では自己を差別化する何かが必要となるでしょう。

これから医師になる、または既に医師である皆さんが少しでも「良い」お医者さんになるためには実用的で汎用性のある医学知識を幅広くもっておいたほうがいいです。

その知識が今後の生活をより豊かなものにしてくれるかもしれません。

ではまいりましょう。

国家試験の問題:1問目

まずは国家試験の問題をご覧ください。その後、STEP1➡STEP2CKと進んでいきます。

うつ病に最も適切な治療薬はどれか。

A モノアミン再取り込み阻害薬 B ベンゾジアゼピン C バルビツレート系薬

D 抗ヒスタミン薬 E 抗コリン薬

はぁ。。。。溜息がとまらない問題である。

正解を選ぶなら当然Aだが、何が「最も適切」なのか。状況に応じて薬は使い分けられるし、実際に上記のどの薬もうつ病患者に使うことはある。

こういう類の問題で危険なのが医学生の頭の中に「うつ病の治療=モノアミン再取り込み阻害薬」としか残らないことである。他の薬も使いうるなんてことは一切頭に入らない。

まだまだ突っ込みどころはある。まず一般問題であるがゆえに診断までのプロセスが無い。もう一般問題なんて廃止すればいいのに何故残っているのか理解に苦しむ。

そして個人的に気になるのが敢えて「モノアミン」と書いているところである。素直にSSRIと書いておけばいいのに、「お前らモノアミンって書いたらわからんやろー」みたいなつまらぬメッセージがこめられているようで気持ち悪い。

では、医学生の皆さん想像してみましょう。この知識はどこで役に立ちますか?

「ふむふむ。この患者はうつ病だろう。そうだ。うつ病の治療はモノアミン再取り込み阻害薬だ。んでどの薬選択したらいいの?教えて偉い人。」

・・・・・・これでええのか?または、

「うつ病ですね。この薬を飲んでください。これが最も効きます。」

1週間後、「先生。全然気持ちが良くならないんです。」

「え、おかしいですね。ではこっちの薬にしましょう。」

・・・・SSRIの効果発現には早くても2週間かかり6週間までは待つのが定石。これは精神科医だけが知るべき知識ではなくアメリカの医学生なら全員が覚えるべきもの。

僕なら以下のように説明する。

「この薬を飲んでください。しかし効果が出てくるまで最短でも2週間。遅いと6週間かかる人もいます。また効果を感じられるのは2/3の方です。効かない場合は次の薬を試すことになります。また副作用として気持ち悪さが出る人がいますが9割以上の人は自然に治ります。」

この説明文は全てUSMLEで出題された問題から得た知識より作成している。これが「活きた」知識なのだと思う。そして驚くべきことにUSMLEを合格した医学生ならみんなが持っている知識なのである。

日本の医学生の皆さん、このレベルの説明ができますか。残念ながらまず無理でしょう。

みんなが悪いのではなく、日本の医学教育が追い付いていないと言わざるを得ない。

国家試験の問題は臨床に「活きる」問題がまだまだ少ない

ではもう一問。

国家試験の問題:2問目

抗精神病薬の副作用はどれか。

A 歯肉の肥厚 B 乳汁分泌 C 小脳失調 D 多毛 E 下痢

当然答えはBなんだけど、これもなんだか物足りない問題である。

医学生だった時の僕はこれらの国家試験の問題を見て愕然とした。

簡単というよりもなんだか「薄っぺらい」のである。

国家試験では「抗精神病薬の副作用=錐体外路症状、無月経、乳汁分泌、悪性症候群」みたいな暗記が求められる。単純暗記である。しかしこれで正答できてしまうところに問題がある。

USMLEではこんな簡単な問題は絶対に出題されない。

本来ここで勉強すべきは

・抗精神病薬の作用機序:主にはドーパミン受容体阻害

・脳内のドーパミン経路:主に4つある。

・脳内のホルモンの相互作用:ドーパミンがプロラクチン分泌を抑制していることとか。

上記を知ったうえでその各経路でドパミン阻害が起こるとどうなるか検討するのである。そこから高プロラクチン血症による乳汁分泌や無月経が起こると「理解できる」。

覚える」のではなく「理解できる」のである。

問題は「覚える」のではなく「理解する」ことが大事

ここにおおきな隔たりがある。単純暗記ではそれ以上に考察が膨らむことはない。しかし、基礎的な知識があればそれを基にどんどんと考察することができるのである。

そしてUSMLEの問題自体でも単純暗記では太刀打ちできない問題が散見される。そして暗記すべき量も段違いに多い。

このようにSTEP1を経験していると必然的に「基礎医学的な観点」から患者をみるようになる。これは決定的な違いだと思う

STEP1を勉強することで基礎医学的な視点を得ることができる

少し長くなったのでここ一旦切ります。

次回はSTEP1と2CKの問題を紹介しますね。しーや

 

コメント

  1. […] さて前回の記事の続きをやっていきましょうか。前回は国家試験をズバズバ切ってしまいましたが、今回はUSMLEの問題を見ていきます。 […]

  2. […] ★USMLEって何?という初心者さんは:日本の国家試験と比較した記事、又はUSMLE概要から。全体像を把握できます。まずはそこからね。 […]

  3. […] ★USMLEって何?という初心者さんは:日本の国家試験と比較した記事、又はUSMLE概要から。全体像を把握できます。まずはそこからね。 […]

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