マッチング対策2026年版——面接官も経験した医師が語る、採用される人・されない人の違い
挨拶
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。
毎年この時期になると、マッチングに関する相談が増えてきます。今年もサロンでは夏にマッチング対策会議を開催予定ですが、その前に一度まとめておこうと思い、久しぶりにマッチング記事を書くことにしました。
今回は少し自己紹介をさせてください。僕は国立国際医療研究センター病院や亀田総合病院といった、いわゆる有名病院での勤務経験があります。そして受験者としてそれらの病院のマッチングを経験しただけでなく、面接官としてマッチングに関わった経験もあります。つまり受ける側と選ぶ側、両方の視点を持っています。その経験を踏まえて、今日は「採用される人・されない人の違い」について率直にお話ししようと思います。
USMLEコンサルタント・合同会社U-Consultant代表
精神保健指定医
近畿大学非常勤講師/SAGAグローバルコースUSMLE担当
国立国際医療研究センター病院や亀田総合病院などの有名病院に精神科医として勤務。その後、日本人の臨床留学の夢を叶えるべく、一念発起しUSMLEコンサルタントとして独立・起業。YouTubeやTwitterなどを通じて精力的に情報発信をしている。著書「Dr.セザキング直伝!最強の医学英語学習メソッド」医学書院はAmazonでベストセラー1位を記録。本書は慈恵医大の教科書としても採用された。
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マッチングに「CBT9割必要」は真か偽か
マッチングに関して受験生が最も誤解していることは「成績が良くないとマッチできない」という思い込みです。これは完全に間違いです。断言しましょう。
もちろん成績が良いに越したことはありません。ただ臨床の現場を知っている人、特に指導経験がある人であれば分かってもらえると思いますが、成績と仕事能力はほぼ別物です。むしろ成績が良くて自信過剰になっていると、それが足枷になることすらあります。プライドが高い故に周りの助言に耳を傾けることができずに医療ミスに至った例も実際に見てきました。
では何故成績の開示が求められるのか。答えはシンプルで「国試落ち・留年リスクのある人を避けるため」です。有名病院が筆記試験を課すのも、優秀な人を選ぶためではなく足切りが目的なのです。(ごく一部の病院では学科試験の成績が重視されるようですが、そもそも成績で研修医を選ぶ病院が果たして良い病院なのかという疑問がぬぐえないっすわ。。)
一部の大学(というか地方)では「有名病院はCBT9割ないとマッチできない」という神話が流れていますが、CBTのスコアが選考の項目の一つとして参照されることはあるかもしれません。ただそれはあくまでも数ある評価項目の一つに過ぎず、決定打にはなりません。CBT9割だからといって必ずマッチできるわけでもなく、CBTが平均的でも他の部分で十分に挽回できます。
実際に有名病院にマッチしている人はCBTの成績も優秀なことが多いですが、これには理由があります。そもそも総合的に評価の高い人は成績も優秀であることが多いというだけです。つまり「優秀な人材が採用された結果、成績も良かった」というだけの話であって、「成績が良いから採用された」わけではありません。(何度も有名病院の採用担当者に質問しましたが「CBTの成績なんて見ちゃいない」との返答あり)成績と採用が相関しているように見えるのは、優秀さという共通の原因が背後にあるからです。研究実績や学会発表も同様です。原因と結果を取り違えないようにしてください。
では「優秀さ」とは何か
ある研修担当者がこう言っていました。
「我々は成績ではなく地頭の良さを見ている。それは質問にちゃんと答えることができているかどうかだ。」
これは非常に示唆に富んだ発言です。成績が良くても質問に的確に答えられない人はいます。逆に成績が平均的でも、質問の意図を正確に理解して的確に答えられる人は面接官の目に留まります。
ここで一つ注意してほしいのが、準備してきた内容を暗記して吐き出すことはナンセンスだということです。面接官はあえて質問を変えてくることがあります。「志望理由は?」ではなく「見学時に気が付いた当院の良さと課題は?」と聞いてくるかもしれません。
大事なのは質問をしっかり聞いて、相手の質問の意図を汲み取り、それに正しい日本語で答えることです。これができるかどうかが「地頭の良さ」であり、面接官が本当に見ているものです。
受験勉強では大量の知識を暗記することが求められ、他者と競わされます。しかし、社会に出て求められるものは暗記量ではありません。問題点を抽出し、それを解決していく力が必要です。この研修担当者は、面接を通じてそのような「頭の良さ」を見ていたのかもしれません。
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面接官として気づいたこと——「1番はいらない」の真意
面接官をしていた時に、ある研修担当者がこんなことを言っていました。
「正直1番のやつはいらないんだよ。2番とか3番の人に来てほしいの。」
最初は驚きましたが、話を聞くうちに納得しました。その病院では以前「1番の人たち」を積極的に採用していたのですが、彼らを扱うのが非常に大変だったというのです。個が強く、主張が激しく、Noをはっきり言う。社会人としてはむしろ正しい姿勢なのですが、研修医という立場では扱いが難しかったというわけです。
正直に言ってしまうと、多くの病院はいわゆる「お利口なYesマン」を求めています。これは聞こえが悪いですが事実です。サービス残業をいとわず、文句を言わずに働いてくれる人材を病院側は求めています。それを「修行」という言葉で表現することが多いですが、本質はそこです。
そしてここで一つ動画を見てほしいのです。
↓(YouTube:昭和すぎて面接で無双するニキ)
個人的にめちゃくちゃツボなのですが、ただ面白いのではなく本質をついていると思います。
令和になっても、正直現場で求められている人物像は、嫌な顔を一つせず仕事を引き受け「サービス残業を修行」と言えるような人ではないでしょうか。(それが良いとは言ってないが雇用側としては最高な人材と言わざるを得ない)働き改革が推進されている今であっても、医療現場で求められる仕事の総量はそれほど大きく減っていないはずです。こんな話も聞きます。ある病院では一昔前は研修医の仕事が非常に激務でしたが、労基が入ったことにより研修医がむしろ過度に守られることになってしまい、結果的に上の立場の医師(特に専攻医)しわ寄せがいってしまったというのです。結果的に専攻医の離職が増えたと聞きます。
そのため、このような人物像を面接で表現することが採用率を上げるための戦略になり得ます。しかし、そもそもそれが本意ではない場合は入職後にむしろ辛い思いをするかもしれません。理想としては心の底からそう思える職場や仕事を見つけて、偽りのない気持ちで「喜んで働きます」と言えることでしょう。(そんな職場がSSRくらいレアなのは知ってる)全てが最高の職場なんて中々ないので、少なくとも「この人と働きたい」「こんな人になりたい」と思えるような人(メンター)を見つけるのもオススメ。
マッチングは料理みたいなもの
面接を経験して辿り着いた結論があります。マッチングは料理みたいなものだということです。
受験者は料理人で、自分の特性(素材)を活かして料理を作り、病院(試食者)に食べてもらう。当然病院によって味の好みは違います。良い素材を持っていても相手の好みの料理でなければアンマッチですし、相手の好みにはまれば採用になる。大事なのは相手の好みを知ることです。
ある受験生のケースをご紹介します。彼の成績は平均的で目立った研究実績もありません。部活もやっていましたが特別な実績があるわけでもない。有名病院を志望していましたが、成績や研究などの王道のアピールでは旧帝大の優秀な学生たちに勝ち目がない状況でした。
彼と面接練習をして1分で気づきました。このままではダメだと。
そこで視点を変えてみると、彼には誰にも負けない強みがありました。人懐っこくて笑顔が素敵で誰とでも仲良くなれる、圧倒的な人間性です。そこで「接遇力」を全面に出す戦略に切り替えました。彼はバイトをしていたカフェの店長に推薦状を書いてもらい提出したのです。医師以外からの推薦状というだけでもインパクトがありますが、その内容が彼の人間性を余すところなく伝えるものでした。(他にも色々アドバイスした)
結果、彼はめでたくマッチしました。
メインディッシュで勝負できなくても、誰よりも美味しいデザートになれればいい。そういう発想の転換が重要です。
究極の質問——「あなたを採用するメリットは何ですか」
どんな面接でも、常にこの質問に答えられるように準備してほしいと思います。
「あなたを採用するメリットは何ですか?」
これが究極の質問です。面接とは自分の意見を主張する場ではなく、採用する側にとってのメリットを伝える場です。この認識を持てるかどうかで、面接の準備の質が全く変わります。
参考までに、僕が実際に答えた内容を紹介します。

「私を採用していただけたら、臨床現場の中から問題点を見つけ出しそれを解決することができます。私は社会人に求められる能力は問題提起力と解決力だと考えています。学生のうちは予め答えが設定されている問題を解けば良しとされますが、社会に出ると誰も問題も答えも与えてくれません。私はUSMLEという目標を立て、勉強グループを結成し、全員をハイスコアで合格させることができました。この経験から、問題を提起し解決する力とリーダーシップがあると自信を持って言えます。」
こんな感じです。大事なのは「相手に得をさせる」という利他の精神です。体力アピールでも接遇力アピールでも構いません。相手がそれを求めているかどうかが全てです。(ある地方の病院では飲み会=面接なんだとか、そうかそこではそれが重要ってことなのね)
病院のニーズを読む方法
では、病院のニーズをどうやって把握するか。答えは見学です。
見学に行ったら研修医にどんな人材が求められているか聞きましょう。上級医に何に困っているか聞くのも有効です。また研修医の雰囲気をよく観察してください。そこにいる研修医たちが「その病院が求める人材像」そのものだからです。
一つ注意点があります。留学志向のアピールは病院によってはマイナスになります。研修医がよく辞めてしまうような科では「辞めなさそうな人材」が求められます。そういう場で留学志向をアピールすると「すぐ辞めそう」と取られてしまいます。相手の好みを押し付けていないか、常に確認してください。
たまに「マッチングのためにUSMLEの合格を目指す」という方がいます。しかし、受験生と面接官双方の立場を経験した身としては、「USMLEは資格の一つに過ぎない」(厳密には資格ではない)という結論に至っています。USMLE合格が意味するものは①国試に落ちないだろうという学力の証明②早期に海外に行ってしまいそうな雰囲気③外国人対応してくれるかもという期待④扱いにくい人物かもというわずかな不安でしょうか。結局、雇用側にとってのメリットに直結しないのです。USMLEに興味があればやればいいだけでしが、マッチングだけのためにやるのは費用対効果がうーむという感じというわけでおじゃる。
病院の倍率で戦略を変える
もう一つ重要な視点をお伝えします。病院の倍率によって戦略を変えるべきだということです。
倍率がそれほど高くない病院を志望する場合、正直なところ大きなミスさえしなければマッチできます。そういう病院では無難なアピールで十分です。(体力がある、コミュニケーションがとれる、国試に落ちないの3要素をアピールするだけ)奇をてらう必要はありません。むしろ変に差別化しようとして印象を悪くする方がリスクです。
一方で人気の高い病院、いわゆる有名病院や競争率の高い診療科を志望する場合は話が変わります。そういう場では優秀な受験生が大勢集まります。全員が似たようなアピールをしてくる中で、同じことをしても埋もれてしまいます。実際に面接官をしていたからこそ分かりますが、それが本人にとっての強みだとしても、同じようなアピールが続くと「本当に」誰が誰だか分からなくなって点数に差をつけようがなくなるのです。だからこそ、数人の中で1番になるためには面接官の印象に残るような差別化が必要なのです。
先ほど紹介したカフェ店長からの推薦状のエピソードも、まさにこの差別化戦略の一例です。競争が激しい場だからこそ、他の誰もやっていないアプローチが刺さったのです。
まず自分が志望する病院の倍率と競争環境を正確に把握すること。そこから戦略を考えてください。
(ドラゴンズはバントばっかりすんなし)
有名病院=良い病院ではない——見るべきポイントは?
ところで、そもそも有名病院が人気なのはなぜでしょうか。最も単純な理由は「有名だから」です。USMLEコンサルタントという立場上、色々な病院や大学に所属している方と密接にコンタクトをして、時にはその内部の情報を垣間見ることがありますが、やはり「有名だからって良い病院ってわけじゃないよな」ってのが正直な感想です。(大体公では言えないようなことばかり。)
病院の質は、トップが変わると全く別物になることがあります。部長や院長が交代した途端に雰囲気が変わった、優秀な指導医が去って研修の質が落ちたというケースは珍しくありません。ブランドは過去の実績であって、今現在の現場を保証するものではないのです。
そのため、見学時には可能な限り上層部の人を意識的に観察することをオススメします。診療科のトップや病院のトップが尊敬できる人か否かが重要です。組織の腐敗はトップを起始とし、そして優秀な人材ほどすぐにやめていきます。有名病院のレッテルを目の前に盲目にならないようしましょう。
情報格差ー情報は山を越えない
さらに見落とされがちな問題があります。地方の医学生は病院の実態を知ることが難しいという現実です。
情報は山を越えません。令和の世であっても都会と地方では圧倒的な情報格差が存在します。東京や大阪の学生であれば、先輩のコネクションや見学の機会を通じて様々な病院のリアルな情報を得やすい。しかし地方の学生はそうはいきません。結果として「知っている病院=有名病院」という構図になりやすく、必然的に有名病院を志望する傾向が強くなります。
これは情報格差の問題です。有名病院が本当に自分に合っているかどうかではなく、「知っているから」という理由で志望してしまっているケースが少なくありません。
公開情報を鵜呑みのするのも危険な場合があります。定員以上の受験者がいても何故か充足せずに二次募集をかけるような病院があります。外表的な情報のみで判断して受験しても結局徒労に終わるということもあり得ます。
だからこそ、できる限り早い段階から自分の足を使って気になる病院の情報を集めていきましょう。地方にいても、SNSやブログ、オンラインでの情報収集で実態に近い情報を得ることはできますが、本当に大事な情報は「絶対に」表には出てきません。だから必ず見学に行って自分の目で判断しましょう。是非、研修医の顔を見てください。生き生きしているか、疲弊しているか。それが今のその病院のリアルです。ブランドに惑わされず、自分の目で確かめることをお勧めします。
SAGAグローバルコース——こんな研修コースがあります
最後に少し紹介をさせてください。「SAGA臨床研修グローバルコース」です。
このコースは佐賀県が主導する非常にユニークな初期研修プログラムで、通常の臨床研修をしながらUSMLEやTOEFLの対策ができるという日本でも珍しい取り組みです。主な特徴としては以下の通りです。
英語学習に必要な費用の助成
USMLEコンサルタントによる個別コーチング
プロによるキャリアコンサルティング
海外研修(国際学会・ラボ見学・病院見学など)の費用助成
SMC(オンラインサロン)への特別枠参加(費用はプログラム負担)
受講費用は原則無料です。臨床留学を目指しながら研修病院を探している方にとっては非常に魅力的な選択肢だと思います。
↓詳細はこちらの記事をご覧ください。 https://usmlego.com/saga%ef%bc%88%e4%bd%90%e8%b3%80%ef%bc%89%e8%87%a8%e5%ba%8a%e7%a0%94%e4%bf%ae%e3%82%b0%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%90%e3%83%ab%e3%82%b3%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%81%ae%e7%b4%b9%e4%bb%8b%ef%bc%81%ef%bd%9e2024/
↓今年の採用情報はこちら

まとめ
今回ご紹介したマッチングに関する情報はあくまでもセザキングの主観に基づくものです。単純に点数化されるものではないため、その評価尺度を一概に説明することはできまん。様々な意見もあるでしょう。しかし、多くの方からマッチングに関する相談を頂く中、有名病院にマッチをして、面接官をしたという経験を還元すべく、個人的な意見を述べさせて頂きました。
さて、今回のポイントをおさらいしておきましょう。
②面接の準備は必要だが当日は面接官の質問をしっかり聞いて答えよう。
③どうしても採用されたいなら「サービス残業万歳」を手の変え品を変えて表現せよ。
④「自分の強み」=「雇用側のメリット」を見つけよう。
⑤面接とは「私を採用するとこんないいことがありますよ」と自身をセールスする場である。
⑥見学時にはどのような研修医が働いているのかをよく観察しよう。
⑦ヒットを狙うのか、ホームランを狙うのか、状況によって戦略を変えるべし。
⑧組織の良し悪しはトップで決まる!
⑨本当に大事な情報はインターネットには落ちていない。
マッチングは「マッチ」する場です。縁もゆかりもない場所に無理に行く必要はありません。もし準備を尽くしてもマッチしなかったなら、それは相性が悪かっただけのこと。「マッチした病院が最高の病院」という気持ちで、その病院の良さを見つけていってください。
毎年夏にサロンでマッチング対策会議を開催しています。興味のある方はぜひ。
それではまた、しーや。
↓希望者多数のため入会条件を設けています。動画視聴も条件に含まれています。



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