高橋侑也先生:STEP2CS項目別対策方法
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。今回は高橋先生のCSの各項目の対策方法に関する記事をお届けします。既に皆さんもご存知のように、ECFMGよりCSが12~18カ月中止されることが決定しました。再開後には、オンライン試験になるのではというお話もでています。仮にオンライン試験への移行を目指す場合にもクリアすべき問題は山積みであり、実際にどのような試験になるかは未定です。試験の詳細は未定であるものの、「英語で診療ができるか」という点が問われること自体は変わらないと思いますので、試験の詳細が決定するまでは従来のCSを勉強してとにかくフレーズを暗記し、発音矯正等の基本的な英語力を磨くことが大切かと思います。
また、先日告知したMediGateのセミナーが定員間近のようなので希望の方はお早めに申し込みくだだい。(既に満員だったらすみません。)
【採点項目ごとの対策方法 for CS】
CSはUSMLEの中で最難関と言われています。合格すること自体が非常に難しいです。受験に掛かる費用も半端ないです。そのため、CSに関しては念入りな戦略が必要かと思います。特に、今まで日本生まれ日本育ちの方(俗に言う純ジャパ)は英語に関して特別な対策が必要です。自分もそうでした。ここではCSの3つの採点項目(ICE, CIS, SEP)に対して、僕がそれぞれどのように対策したかをまとめます。お役に立てば嬉しいです。各採点項目の定義については、USMLEのホームページか、「USMLE GO」で確認してください。
➡以下の記事を参照してください。
《ICE》医学知識
が必要です。
まず、問診に関して、です。主訴から鑑別を可能な限りたくさん思い付けるように暗記し、さらにその鑑別をrule in/outするための問診事項を暗記しておきます。これらがスムーズにアウトプット出来ないと、問診の途中で詰まって気まずい時間が流れてしまいます。
具体的な戦略として、臓器ごとの問診事項リストを作ってそれを暗記しておき、主訴に合わせて影響を受けていそうな臓器を絞ります。(胸痛なら肺と心臓、など。)それからリストを元に質問していきます。鑑別ごとに特有な質問もあるので、鑑別もちゃんと頭の中に挙げておきます。(例えばMigraine headacheならAuraを聞く、など。)
人によっては問診事項も鑑別も全てゴロを使って暗記しているようですが、その暗記能力は自分にはありませんでした。特殊なケースだけゴロに頼りました。暗記がある程度出来たら、あとはひたすら練習あるのみです。練習をする中で必要十分な問診を素早く行うことが出来るようになります。時間を常に意識しながらケース練習をしてください。1〜2分ほど余らせて終了できれば完璧です。
➡僕のマニュアルでは、鑑別疾患毎の語呂を紹介していますが、確かに実際にそれを全て暗記するのは非常に大変です。(暗記できてしまう人もいるのですが・・・)そこで、代替案として、鑑別疾患ではなく、臓器毎のフレーズを暗記するという方法をとっている人達が多いです。恐らく、Dr,Pumaが推奨している戦略と関係していると思われます。しかし、CSでは交通外傷や虐待などの特殊ケースもあるので、其の場合には語呂を作っておくのが良いかと思います。
身体診察は実際に友達と練習するのが一番です。細かく厳密な診察は必要ないので、基本的なことがちゃんと出来ていれば大丈夫かと思います。時間制限もあるので、的を絞った診察も大事です。腹痛で来ていたら腹部診察のみ、といった感じです。僕はルーティンで頭頚部と手の診察はしていました。このルーティンの間にどの部位を診察するか考えることができます。
➡ルーティンを作る人と作らない人がいるのですが、メリットとデメリットがあるでしょう。メリットはそれ自体が採点対象になり得ること、そして高橋先生が上述している通り、次に診察すべき部位について考える時間ができることでしょうか。一方でデメリットはそれ自体が採点対象にはならず時間が浪費してしまう可能性があることです。ただ、幸か不幸か本番はSPがかなり早口で話すので時間が余る傾向にあります。時間的な余裕がある人はルーティンを取り入れてもいいかもしれません。
カルテに関しても、とにかく練習あるのみです。ICEの採点はカルテがメインなので、極めましょう。FAのカルテを参考に、表現方法や文章の構成法などを学びます。自分は身体診察の書き方が苦手だったので、FAのすべてのケースの身体診察のカルテ記載内容を写経していました。結構効果的です。初めのほうは10分で書ききるのはかなりキツかったです。普通に20分とか掛かりました。しかし最終的にはFAくらいのボリュームのカルテを30秒余らせて書けるくらいになりました。練習あるのみです。
➡写経は非常に良さそうですね。10分という時間は本当に短く、相当に慣れないと書き切るのが困難です。まさに練習あるのみだと思います。マニュアルや「セザ本」では、この英語カルテの書き方を解説しています。
《CIS》コミュニケーション能力
といったことが問われます。
身体診察の際に今からやることを言葉で説明したり、最後のclosureでタバコや飲酒に関するカウンセリングをしたりすることもCISに影響するそうです。この採点項目に関しては、普通にコミュニケーションが取れていれば大丈夫なので、特別な対策は必要ないとも言われています。合格者の中には、共感を示す ”I’m sorry to hear that”などは1、2回言えば十分で、カウンセリングも全くしなかったという方もおられるそうです。逆にフレーズ暗記で共感を示す言葉を並べすぎると、roboticになってしまい不自然なので気をつけましょう。バランスが大事です。
最終的には笑顔を忘れず、自信を持って堂々とした立ち居振る舞いが一番大切だと思います!
➡CISは最近も記事で取り上げたように難化傾向にある可能性があります。従来であれば普通にコミュニケーションがとれたら落ちることはありませんでしたが、「CIS貯金を使う」という戦略が出来たためか、CIS落ちする人が散見されるようになりました。とにかく柔らかい表情で余裕ある立ち振る舞いをすることが肝要です。
《SEP》英語能力(最重要!!!)
これのせいでCSが最難関と言われています。帰国子女の方など、英語圏に住まれていた期間が長い人にとってはここで悩むことは少ないと思うので、かなりのアドバンテージです。CSの勉強をある程度すると気づきますが、これは完全に英語能力の試験です。医学的な内容は普通に対策をすればあまり問題になりません。AMGの合格率が98%と非常に高いのもそれが一つの大きな理由だと思います。
➡本当にその通りで英語の試験です。しかも、めちゃくちゃ厳しい英語試験です。明確な根拠はありませんが、あまりにもSEPの壁が高いためIMGには圧倒的に不利であり、基本的にはIMGの流入を増やし過ぎないように調整している試験位置と考えてもいいかと思います。
まず始めに、参考までにCS対策開始前の僕の基礎英語力について説明します。元々英語自体は好きだったので、大学受験の時から一番の得意科目ではありました。入学時TOEIC は845点とまあまあでした。MRIで3ヶ月イギリス、選択実習で1ヶ月アメリカに、ごく短期ではありますが留学しました。5年夏に受けたTOEFLは101点です。ですので、対策開始前の基礎英語力としてはそこまで悪く無かったと思います。ただし、流暢に喋れるわけでもなく、リスニングも苦手でしたので、CSに向けては特別な対策が必要でした。
➡TOEFL101は日本の医学生としてはトップレベルです。笑
恐らく、それに至るまでに相当な努力をされてきたと思います。ただ、非常に参考になる数値でもあり、TOEFL100程度の英語力があれば在学中にECFMGを取得することも不可能ではないとも言えます。TOEFL80程度での準備次第で合格可能ですが、準備にもう少し時間がかかってしまうため、在学中に3つ合格するのは少し難しいかもしれません。
具体的な戦略としては、瀬嵜先生が提唱されている「フレーズ暗記と発音矯正の徹底」です。先生のブログを参照されるのが一番かと思いますが、encounterで喋ることは全て予め用意しておき、可能な限りアドリブは使いません。自分の拙い英語に頼るのは非常に危険でした(泣)。
➡TOEFL101であっても全く慢心していないことがポイントです。これくらいの英語力の純ジャパが一番危険で、英語に自信がある故に対策が甘くなる傾向があります。TOEFL80程度ですと、自信を持ちようがないので徹底的に対策する人が多いです。しかし、CSはとにかく残酷なほど難しい試験でTOEFL100くらいの英語力の人が自由に英語を喋るとほぼ間違いなく落ちます。特に発音の判定が非常にシビアなので帰国子女以外は徹底的にフレーズ暗記と発音矯正をすべきです。
発音に関しては、練習に付き合ってくださった帰国子女やネイティブの方々に細かいミスまで指摘してもらって矯正しました。個人的には帰国子女の方のほうが発音の指導を上手にしてくださるような気がします。ネイティブの方は英語と日本語の違いが分からないので、発音の説明がとても難しそうでした。我々日本人も、日本語の発音を外国の方に教えるとなると苦労すると思います。チャレンジングクエスチョンに対する回答も、質問パターンをFAやAMBOSSを参考に集め、それらに対する回答フレーズをワードにまとめてから暗記しました。暗記したフレーズを頭の中で切り貼りして組み合わせて答えることで乗り切りました。
➡非常に難しい問題で、日本人の僕らが外国人に日本語の発音方法を体系的に説明することが難しいように、彼らも英語の発音方法を具体的に説明することが難しいのです。またフレーズに文法的な問題があった場合、違和感は分かるもののその問題点を明示できません。よって理想的には英語教師を生業とするネイティブに指導してもらうことがベストですが、難しい場合には高橋先生のように色々な方から指導を受けるしかないでしょう。
『セザ本』にはCSで使用する具体的なフレーズの一部も紹介しています。
こうした対策のお陰か、試験が近づいて来たころには発音に関する指摘は殆ど無くなりました。現地に行って練習したり、模試を受けたりした時にも、「英語に関しては全く問題ないよ。」といった評価を頂くことが出来ました。
最終的に不安の種となったのはリスニングでした。大体は聞き取れていましたが、やはり早口で喋られた時に聞き漏らしが増えます。また、早口で質問されて聞き逃してしまった場合、大体聞きたがっていることを予想して、それを元にフレーズで乗り切る必要がありました。リスニング能力は短期間ではどうしようも無いので、早いうちから対策をして下さい。僕はジムで運動している時にNetflixで海外ドラマを観て、ナチュラル英語を聞き取る訓練をしてました。
多くの日本人受験生がSEPが原因で不合格となっています。決して自分の英語能力を過信することなく、謙虚に取り組むべきです。
➡もう僕の口から言うことは何もありません。「謙虚に」取り組むしかありません。
今回で完結編になるかと思っていましたが、もう2回続きます。(笑)次回は、CSの結果を考察していきます。そして、最終回は国試編です。お楽しみ。
というわけで、今日もお疲れ様でした。しーや。
コメント