合格報告㉝~高知大S君のSTEP1合格体験記後編~
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。さて、前回の続きを進めていきましょう。前回は何故CBTで98位だったS君がUSMLEに興味を持ったのかというところで終わりました。今回は「成功した理由」についてお話をしていきます。では、ご覧あれ!
Q勉強を始めた時の目標は?
A.6月末前にマッチングの準備前にpassすれば上出来、関心のある家庭医や精神科のプログラムに引っかかる210あれば万々歳。
マッチングと並行して勉強することは、以下にも記述するマルチタスクになってしまうので、6月末まで、と決めておりました。
➡アメリカへの臨床留学に固執しない場合には、合格することを目標するのもありだと思います。スコアが何よりも大事と主張する人もいるかと思いますが、それは意地でもアメリカ留学を目指す人の価値観であって、留学に対する考え方も生き方も千差万別なので自分が納得するように選択していけばいいのです。僕はこれでいいと思います。
Q合格して思う勝因は?
情報収集や目標設定、継続などは他の方が書いており私もそれが勝因だと考えております。加えてコロナにより6年生の臨床実習が全てなくなり大量の時間を確保できたのも大きいです。
➡僕も継続するための方法をいくつか提案してきましたが、今回はS君自身がUSMLEの勉強を継続するため活用したメソッドを紹介してくれます。
ここでは私がどのように継続したか2点記述します。
○update法(深める)
徹底的にメンタリストDaiGoさんやブロガーのパレオなチャンネルからエビデンスに基づいた勉強法に加え時間術、運動・食事・睡眠の方法を勉強しました。夜はstep1に関する勉強はしないことを決めていました。
前提として、自分の価値観は「楽しく成長・チャレンジ」であるため、勉強時間を増やすことは最終手段で、それよりも効率を高めることが、継続する点、楽しく勉強する点で欠かせないと考えています。具体的には,UWなど解きながら、1時間ごとに記録して、課題を見つけ、フィードバックしておりました。夜にはstep1の勉強をせず。本やブログ、時に論文などから、自分に応用できそうなノウハウを見つけては次の日実践して、またフィードバックするよう心がけました。
おかげで、最初は勉強法も全く体得してなかったので、むしろその体得自体に時間を使ってしまうことが多かったですが、夜は趣味に没頭できるようになり、何より、step1受験後の勉強にも活きております。
➡この方法自体は知らなかったのですが、僕も学生時代に似たようなことをしました。それは夜に勉強しないことではなく、勉強をする前に「勉強方法自体を見直す」ことです。成績が伸び悩む人は自分のやり方に固執する傾向にあります。うまくいかないならさらに頑張るのではなく、一度立ち止ってうまくいかない理由を探してみることも大事なのです。ちなみに僕は茂木健一郎氏の「脳を活かす勉強法」を読み実践してみました。STEP1受験直前期に自分で問題を作ってひたすら解くというメソッドはこの本にルールがあります。
②モノタスク化(広げない、To doの断捨離)
人間が集中を注げるものには数限りがあることが科学的に実証されており、マルチタスクは創造性を発揮する時以外は悪手だと言われているようです。私も5年生の時に、統計の勉強や医学教育に関する論文を作ろうとしましたが、結局これらをやめました。理由はゴールの不透明さからです。回避することができない臨床実習では、勉強に使える時間を増やす目的で実習グループメンバーに承諾をもらい、大学で単位がもらえる範囲で、お休みをもらいました。(賛否両論あり)
もちろん患者さんと関わることができる実習は何よりも学びが多く、記憶に残る素晴らしい時間でした。時には2週間のローテーションの変わり目で患者の別れ際に、患者からもらい泣きをすることもありました。一方で、「自分の夢を叶えたい」という思いも捨てきることはできず、どうしても時間の確保が必要でした。関わってくださった皆様にはご迷惑をおかけいたしました。実習の空き時間で集中しにくい環境の時はANKIを使い分散学習を徹底しました。集中できる時にはUW等、問題数をこなしました。
以上をまとめると、1年という短期間で目標を達成することができたのは、全ての時間をstep1とその周辺の習慣の効率化に注ぎ、その他の課題を徹底して減らしたことが大きい、と考えております。「365日と6日 朝〜夕飯:step1の勉強、夕飯後 効率化の探究・趣味」を続けました。これらのことは時間的に余裕のある学生しか実行できませんかもしれませんが、医師の方でも少しは参考にして頂ける点があるのではないかと信じています。
➡つまり、何か大きな目標を達成するためには一つのことに集中すべきということでしょう。それは同意です。そして、さらにそのためには何かを犠牲にしなければならないこともあるということも事実でしょう。もちろん、他人に迷惑をかけすぎることは避けるべきですが、他人に迷惑をかけずに生きていくことも無理なのです。
良くも悪くも、僕を含めてUSMLE受験する方や臨床留学される方は自分の思いに忠実です。人の顔色ばかり窺っていては自分の夢など叶うはずもありません。もし、USMLEを受験されるのであれば、可能な限り自由時間を確保し、それのみに集中できるような環境を作ることに注力しましょう。
Q 全盛期の仕上がった勉強法は?
A.4phase法
以下のような4phaseに分けてやってました。直前期は毎日無理なく100問くらいコンスタントにこなしていました。ポイントは③の解説と④の再言語化を分けていることでしょうか。
①output phase:ANKI 主に朝イチ(約2時間) 7:00~9:00
(間に1時間ほど運動)
②問題こなしphase:主に午前中 数問セットで解く(2時間) 10:00~12:00
(お昼休憩)
③解説phase:30秒ルール
30秒以内に理解できるものはすぐ終わらせる、30秒以上かかりそうなものは、わからないポイントを因数分解してメモに保存(1時間) ~14:00
④再言語化phase:主に午後の時間 わからない問題に対し、じっくりFAと照らし合わせ、問題を作りANKIへ(3時間)→①の準備 ~17:00
コロナの影響で6年生の3月〜6月の間ほぼ毎日休日だったので大体こんな毎日を過ごしてました。その他ルーチンとして以下の5点を行なっておりました。
・作業場はスタンディングデスクとステッパーで運動しながら(BDNFという物質が作られ記憶力up)
・基本的には25分work 5分restのポモドーロタイマー(それ用にapple watch購入)
・If集中力切れたら→then 散歩5分or 瞑想5分
・1時間ごとに進度を記録、勉強法の課題を見つける
・夜は絶対に勉強しない(勉強法の探究、趣味)→8時間睡眠
➡すごいな・・・(笑)超徹底的ですね。好みは人それぞれでしょうが、きちっとスケジュールが決まっているほうが勉強しやすいのであれば(そもそもある程度フリーな時間ができないと真似できないのですが。)、このように時間割を作ってみてもいいかもしれません。個人的にも運動を取り入れるのはとてもいいと思います。バランスとても大事。あと、このやり方だと1問1問にそこまで拘らないと進めるので、その点も良いと思います。
Q. 何故最初にQ&Aを使わなかったのか?
FAのどこに該当するのかわからなかったから(でも少し後悔)。Q&Aは購入して2,3問でやめました。解くたびにFA内の該当箇所を探すのがめんどくさかったのが1番の理由です。FAに情報を一元化することが最適な勉強方法だとすると(先人のお伝え)、Q&Aは効率が悪く、入門としてはRxの方が優れているのでは?と仮説を立てて、Rxからスタートしました。
しかし、Rxをやっていて壁が現れました。「難易度エラー」です。英語の多読には90%以上の単語を知っている状態がベストだというデータを見たことがあります。Rxスタートでは知らないキーワードが多すぎて、確かにFAのページがわかりますが、キーワードがわからないのか、内容がわからないのか、わからないことだけでモチベーションが下がりました。
結果、Rxを2ヶ月で中断して、FAの通読に入りました。 1ヶ月ほど全体像、そしてキーワードを掴む作業に費やしました。理解度としては20%ほどにおさえ1ヶ月ペースで通読しました。結果、Rxのモチベーションも回復して、それ以降は適度な難易度でこなせました。
振り返ると、「step1勉強スタートはQ&Aがベスト」だったと考えております。問題が非常にコンパクトで情報過多にならず、モチベーションの維持にちょうどの難易度だと思うからです。「FA一元化」は確かに重要だと思いますが、スタートとしては、FAを全く使わず、Q&Aを理解度30%程度でも最速で一巡して、なんとなくの全体像を作ってから、RxやUWに取り組むのが「難易度エラー」を引き起こさない、すなわち継続のコツかなと。
➡ああ、なるほど、そういう理由でしたか。まさにこれは僕が提唱している理論ですね。「世界標準的」にはQ&Aは使わないのが正解なのですが、医学英語に精通していない日本人にとってはQ&Aから入ったほうが心的なハードルが下がりやすいのです。
世にはモチベーション曲線なるものがあり、人は簡単すぎるものにも難し過ぎるものにもやる気が出ないものなのです。そのモチベーションの継続という高いハードルを越えるため、つまり「USMLEに慣れるために」Q&Aをすることを推奨しています。ただ、最初から非常にモチベーションが高い場合や、医学英語の抵抗が少ない場合にはオンライン問題集から入るのもアリですし、僕もそれを提案することがあります。勉強方法はオーダーメイドなのです。
(しかし、いい加減に改版してほしいところ。。。)
Q.2020/6/21当日の様子・注意すべきことは?
A.結論から言うと100%の力を出せました。当日の様子は瀬嵜先生のブログにあるものとほとんど変わりません。強いて上げるなら、8時間耳栓をつけ続ける苦しさを本番になって知ったことです。休憩があるとはいえ、8時間ほどつけるシミュレーションをしてなかったので、3時間ほどで、痛くなり、用意してあるイヤホンでごまかしておりました。ぜひシミュレーションを。
➡言われてみると確かに少し耳が苦しいかもしれませんね。それは耳にフィットした耳栓を探すことでも回避できるかもしれません。笑
Q.当日の流れと100%のパフォーマンスができたのはなぜ?
A 2連続模試。試験1ヶ月前にUW模試を2セット連続で受けました。2連続で受けることで、本番より1セット多い状態になります。 これは瀬嵜先生のブログで拝見したものですが、必須レベルだと感じました。心理学的に「コントラスト効果」というもので、8時間を経験していると7時間は比較的楽だと錯覚することによる恩恵が大きいと思われます。
➡これは必須ですね。まじで必須。最近は殆どの方が実践している気がします。
○その他の要因は?
A 儀式!以下のように普段からやっているいろんな儀式を配置して、当日も同様に行ったので、適度な緊張と緩和で100%のパフォーマンス、すなわち普段通りのパフォーマンスを発揮できたのだと思います。
前日の夜:19:00東京到着(コロナの影響で便が変更してこんな時間に)、ホテルにてイクスプレッシブ・ライティングで前日の不安をノートの書き出て瞑想。いつも通り深い睡眠3時間超の8:30睡眠(apple watchで計測)
朝:6:30起床 15分散歩、10分ヨガ、15分瞑想、4分タバタ式トレーニング、開始直前にカフェイン等集中力を上げるサプリ
休憩中:トイレ引きこもり→5分の間の瞑想or5分間のスクワット 次セットに向けて情報のシャットアウトが重要かと思います。
4セット終了後:カフェインサプリと10分アウェイクフルレスト いわゆるコーヒーナップです。コーヒーナップは疲労を回復し100%に近い集中力に回復すると言われています。軽く果物食べる(朝食はとっていない)
試験中: 10問やるごと or緊張を感じたら 深呼吸、肩甲骨開きという儀式、「もう合格していて、それを持続する試験」と唱えるようにしてました。
指折り法で1分で次の問題に移り(例えば問題のとき終わりに残り48分40秒だとすると、指を4本にして次の47分40秒までに解く)、40分以内に1周(8割以上旗がついている)、次に30秒で2巡目、最後に(2割程度の残った旗を1分ずつくらいで処理)
時間飢饉の感覚を減らすことでパフォーマンスをあげるよう努めました。どれも有効でしたが、コーヒーナップと指折り方が効果が最も高かったと思います。
➡ここまでルーティンを持っていた人は聞いたことないですね。人によって合うものは違うと思いますが、確かに本番に力を出し切ることは極めて重要なので、何かしらの工夫をする必要はあるでしょう。僕は本番前に2連続模試を受けることと、本番は休憩毎に必ず休むと決めていたことくらいでしょうか。まぁ、実は僕も祈りの儀式みたいなものがあるのですが、具体的なことは秘密にしておきます。
Q.合格発表(2020/8/11)後、今後の方針は?
IELTS(or TOEFL)の勉強をします。正直、瀬嵜先生も推奨されているstep1→step2CKの流れが勉強効率、国家試験との並行、初期研修への応用の面からからベストだと考えております。しかし、それでも尚IELTSをするのは以下の理由です。
(短期)
・単純に英会話を勉強したい
・行きたい病院では英語を使う機会が多いので、英会話能力のベースがないと、学習に支障が出そう
(中期)
・初期研修において、モチベーションの点でCKに比べ英会話の勉強するのは困難を極めそう
(長期)
・CSの3つの評価項目の一つであるIntegrated clinical encounterへの長期的な対策
・遠い先の話だがMPH, MBA,アメリカ以外の臨床留学等で英語試験の成績が必要
・英会話、なんか夢がある
この先ECFMG取得に限定せず、step1で培った学習ノウハウ、習慣を生かして、楽しく勉強を続けていきたいです。ですが、すぐ気が変わると思いますので、瀬嵜先生、その時はまたご指導よろしくお願いいたします。
➡僕はIELTSのことは詳しくないのでよく分かりませんがTOEFLではなくIELTSなんですね。ちなみにIELTSやTOEFLを学ぶことで役に立つのはICEではなくSEPです。もし、医療英会話を本格的に習得するのであれば、CS受験がベストな教材ではあることを付記しておきます。
⚫️最後に
step 1の勉強。はじめはCBT98番の私が、、、とは思っておりましたが、留学で刺激をうけ、アメリカの臨床留学に関心がないながらもstep1の勉強を始めました。すると効率よく勉強しフィードバックがもらえる素晴らしいonline教材、瀬嵜先生を始め、多くの方が発信する生きた情報があることに気づき、勉強中に知り合う刺激的な友人とも出会い、たくさんの新たな刺激をstep1 勉強の過程で得ました。
瀬嵜先生を始め、自分の勉強方針を模索するべく、厚かましくも重ねて質問の連絡をしたり、大学の実習で、メンバーに迷惑をかけたりと、ご迷惑をおかけしました。なんとかCBT98番のような成績からでも、関わってくださった皆様のサポートあって合格することができました。この場を借りて御礼申し上げます。今後とも精進して参りますので、よろしくお願い致します。
➡CBT98位からのSTEP1合格はとてもインパクトがあると思います。きっと、多くの方に勇気を与えることができたのではないでしょうか。是非、この経験で得たものを他の方々に還元してください!
⚫️参考著書(参考文献が多くて、すぐ読めるものをpick up!)
脳を鍛えるには運動しかない!!最新科学でわかった脳細胞の増やし方 (John J. Ratey)
ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45(鈴木裕)
最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法 (DaiGo)
人生を変える 記録の力(DaiGo)
➡Amazonのリンク先を貼っておきますね。勉強も大事ですが、読書もとても大事です。個人的には読書なしに成功無しとまで思っているほどです。たった1000円足らずで超重要な情報が得られるなんて格安です。行き詰った時にこそ本を読みましょう。
まとめ
改めまして、S君合格おめでとうございます!学力と英語力のアドバンテージが無い状態からのSTEP1受験は本当に大変だったと思います。しかし、きっとこの経験で合格以上のものを得たのではないでしょうか。
合格体験記は読者の胸を打ちます。しかし、それはどこかに共感する部分があってこそだと思います。「自分でもやれるかも」と思えることで夢を抱くことができるのです。とても手が届かないような話は、「すごいけど自分には無理」とどこか他人事のようになってしまいがちです。ダメな自分をさらけ出すことは、実は強さでもあり、そしてそれこそが他人の勇気になるのです。
さて、これからもみなさまの合格・失敗体験記をお待ちしています。
ではまた!しーや。
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