医師国家試験 英語問題について 2023年3月記載
まえがき
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。このブログの読者には、医師・医学生のみならず医学部を目指す受験生やその親御さんもいます。普段は基本的にUSMLEを主なテーマとしていますが、米国での臨床留学を目指すのであれば、その前提として日本の医師国家試験に合格しないといけません。
そこで、今回はテーマをUSMLE(United States Medical Licensing Examination/米国医師国家試験)から少し離れて、「日本の」医師国家試験の英語問題についてお話したいと思います。このブログでも何度か国家試験については触れてきましたが、改めて最近(2023年)の動向を踏まえて英語問題について言及してみたいと思います。
・医師国家試験の英語問題について知りたい
・英語問題の対策方法について知りたい
・そもそも対策する必要があるかどうか知りたい
USMLEコンサルタント・合同会社U-Consultant代表
精神保健指定医
国立国際医療研究センター病院や亀田総合病院などの有名病院に精神科医として勤務。その後、日本人の臨床留学の夢を叶えるべく、一念発起しUSMLEコンサルタントとして独立・起業。YouTubeやTwitterなどを通じて精力的に情報発信をしている。著書「Dr.セザキング直伝!最強の医学英語学習メソッド」医学書院はAmazonでベストセラー1位を記録。
医師国家試験の基本情報:医師になるためには
日本で医師になるためには医学部に入学し、様々な試験に合格する必要があります。所謂「国試」と呼ばれるものは医学部6年生が2月に受験する医師国家試験になりますが、実際には国家が求める試験は他にも存在します。3~4年生が受験するCBTやOSCEも医学生全員がパスしないといけない試験であるため、一種の国家試験といっても過言でしょう。それら以外にも各大学が求める定期試験にも合格しないと卒業できません。医師・医学生は「一生勉強」というカルマから逃げられないのです。
医師国家試験とUSMLEとの共通点
さて、少し話をUSMLEに寄せますが、このCBTはUSMLEのSTEP1をモデルにして作られました。その共通点は、
・基礎医学の出題があること(STEP1は基礎医学メインだがCBTは臨床+基礎)
・受験生によって問題がランダム(国家試験は統一問題)
・受験日も受験生によって異なる(日本では大学単位)
のようになります。またOSCEも実は今は亡きSTEP2CSをモデルにしていると思われます。この流れを汲めば当然のことながら、「医師国家試験もUSMLE、特にSTEP2CKに寄せるのでは?」という疑問が生まれるでしょう。それは殆ど正解といって良いと思います。というのも、既に数年前より国試のCBT化をずっと議題に上がっており、その必要性も徐々に高まってきているようです。以下のソースもご覧ください。
STEP2CKをモデルにしようとしている資料
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/2021103012A-buntan6_0.pdf
厚生労働省の資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000693879.pdf
日本医学教育学会
国試はCBT化されるのか?
これらのソースを参考にすれば、お偉い方々は真剣に国試をCBT化しようとしていることが分かるでしょう。このご時世に同じ場所・同じ時間に、大量の医学生が集まって、「紙」を大量に消費する試験を行っているのは流石に時代錯誤に感じます。
このブログの読者の皆様が6年生になる時にはもしかしたらCBT化されているかもしれません。その場合には間違いなく導入前にトライアルが何年が施行されます。また、導入後には過去問が非公開となり出題される問題も受験生毎に異なるため、従来以上に実力の求められる試験になるかもしれません。
国試の英語問題の歴史
さて話を英語問題に戻しますが、この国家試験には2000年代より医学英語の問題が出題されるようになりました。実装当初は「緑内障=glaucomaって、ほら腫瘍ぽくない?」みたいな単語レベルの出題でしたが、近年ではそれこそUSMLE STEP2CKライクな臨床問題が出題されるようになってきました。ちなみに117回は以下のような問題が出題されました。
His consciousness was clear but he appeared restless. His body temperature was 36.4 ℃. Pulse rate was 84/min. Blood pressure was 136/80mmHg. Conjunctival hyperemia and tearing of the left eye were observed. There were no meningeal signs. MRI and MRA of the head showed no abnormalities. What is the most likely diagnosis?
A migraine
B meningitis
C brain tumor
D cluster headache
E subarachnoid hemorrhage
ここでは問題の解説はしませんが、ご覧の通り普通に臨床問題が英語で出題されております。問われている内容は平易であるため、受験生間でそれほど差がついたとは思いませんが、ある程度英語が読めないと非常にストレスに感じるはずです。
それでは、「そもそも英語問題が解けないと国家試験には合格できないのでしょうか?」
安心してください。全く問題ありません。しかし、これには「但し今はね」という修飾語を添える必要があります。
英語問題の出題数・出題率
ここに現行の医師国家試験の出題基準を紹介します。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000128990.pdf
ご自身で探して頂ければと思いますが、なんと医学英語は全体の2%以下しか占めていないのです。しかし、気になるのは令和5年の現在でも未だに平成30年の出題基準が使われていることです。基本的には数年毎で見直されるはずなので、もうすぐにでも変更が来てもおかしくありません。
現在の「2%」がもし今後「5%」、そして「10%」となれば徐々に無視できない存在になっていくはずです。とはいえ、これは仮定の話でありそうならない可能性も十分にあります。ただ、従来の医師国家試験のUSMLEへの迎合っぷりを見れば、そうなっても全く不思議ではないと感じるのです。
英語問題の対策必要性の有無
さて、それでは対策の必要性があるのかと改めて問うと、正直答えはNOです。なんやねん!って感じかもしれませんが、「2%の為に時間を割きますか?」と聞かれたら、そりゃあNOでしょう。しかも、現状では英語が正確に読めなかったとしても、キーワードを拾いさえすれば何とか正答できてしまうような問題も多く、英語力の差が点数の差には直結していないのです。
敢えて医学英語問題を対策するなら?
誤解を恐れずに言えば、国試の英語問題の最高の対策教材はUSMLEです。しかし、当然国試の英語問題のためにUSMLEをやるなんてナンセンスです。むしろやめておくれ(笑)。ただ、それ以外に確率した対策方法が存在しないことも事実です。
余計な時間や労力、お金をかける必要はありません。そこで、僕セザキングのYouTubeチャンネルのコンテンツ「USMLEはじめの100問」を暇な時に見る、という方法を提案します。
この「はじ100」は元来、USMLE初学者向けに作成しているコンテンツですが、USMLE STEP1の中でも比較的解きやすい問題をピックアップし、かつ日本語で解説しているので、「国試の英語問題の対策全くどうしていいかわからない!」という方は勉強の箸休めとしてご笑覧して頂けると嬉しいです。頑張って100本出すので応援してください(笑)。
まとめ
今回は「医師国家試験の英語問題」の基本情報とその傾向、そして対策について言及しました。これを言っては元も子もないのですが、現行の英語問題は些少なので無視しても構いません。ただ今後の動向には注意です。CBT化されて、基準が変更された先には対策せざるを得ない試験になっているかもしれません。ただ正直な感想を言えば、半分くらい英語問題になってもいいのではないかと思っています。もちろん人にも依りますが、医者になると医学生の時以上に英語力が求められる場面に遭遇します。英語が読めないと、最新の医学情報にアクセスということすらままならないのです。
「英語勉強しておけばよかった」
何人の口からこれを聞いたでしょうか。(僕もそのうちの一人なんですが。)少しでも興味のある方はとりあえず「はじ100」から入ってみてはいかがでしょうか。もし、USMLEに興味があるのなら、是非以下の記事もご覧ください。
そしてUSMLEに本気で合格したい方、一生の仲間が欲しい方にはオンラインサロンもオススメです。
コメント