USMLE関連情報~5年間の変化まとめ~
見どころまとめ!
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。今回は「セザ本(改訂版)」の見どころ、言い換えると「発売から5年間の中で起きたUSMLE周辺情報の変化」についてお話していきます!是非、本記事で変化の大枠を掴んで頂き、詳しくは改訂版の中で確認して頂ければと思います!
黒と金が吉兆で「ポケモンの色違い」みたい!
改訂版までの詳しい流れや、潮流の変化に関しては別記事で詳しく言及していますのでそちらを併せてご覧ください!
↓改訂版の中でも紹介している唯一の初学者向け日本語解説動画はこちらから
「USMLEはじめの100問~完全版~」初学者必見!唯一のUSMLE日本語講義動画の紹介(400ページ弱のテキスト付)
①STEP1のスコア廃止
これはUSMLE界隈に激震が走るニュースでした。従来USMLEの中でも最も重視されていたSTEP1のスコアが2022年1月26日より廃止となり、その後は「合否(Pass/Fail)」のみで発表されるようになってしまったのです。厳密に言えば、内部スコアは残存しており、なくなったのではなく実際には「見えなく」なってしまいました。受験者だけでなく、採用するプログラム側もその内部スコアを見ることができないので、スコアで差別化することができなくなったのです。ちなみFailになってしまった場合のみ、スコアレポートにてスコア分布(数値は表示されない)を見ることが出来、自分の位置を確認することができます。
「何故スコアが廃止されたのか」、そして「公式発表とは別の思惑があるのでは」という点については改訂版の中で触れていますが、この変化はIMGの受験戦略に大きな変化を与えました。文字通り「命を懸けて」目指していたSTEP1のハイスコアが無くなってしまった後、IMGは果たしてどのような行動をとったのでしょうか。「ハイスコアを取るための戦略」と「Passするための戦略」には大きな乖離があり、少なくともスコアがあった時代の情報はあまり参考にならなくなってしまっています。
ここで簡単に触れておくと、「FAを丸暗記する」というようなハイスコア向けの戦略は今ではtoo muchになってしまいました。FAが重要な参考書であることは変わりないですが、どこまで読み込むかという点に大きな違いがあります。言い換えるとハイスコア(=正答率80%超え)ではなく、合格(=正答率65%程度)を狙う試験になったのです。もちろん今でも正答率8-9割を目指すのは個人の自由ですが、その後の試験のことを考えると流石にそれは非効率でしょう。「最大限の努力をしてハイスコアを目指す試験」から、「効率的に正答率65%超えを目指す試験」になってしまったのです。
②CKの重要性と勉強方法の変化
STEP1のスコア廃止によって、当然ながら注目されたのはSTEP2CKのスコアでした。CKのスコアは2025年5月現在も何故か存在し続けています。STEP1のスコアだけがなくなり、CKやSTEP3はそのまま、そして今度は受験生がCKのハイスコアを狙うという不可解な展開が生まれました。公式見解の一つによれば、「USMLEはあくまでも医師国家試験でありスコアで差別化することを目的とする試験ではない」とされているにも関わらず、今度はCKで差別化されるようになってしまったのです。現に今のマッチングではCKのスコアで足きりなどが行われており、CKのスコアは以前にも増して重要視されてしまいました。
これに伴い受験生の勉強方法にも大きな変化をもたらしました。詳しくは拙著で確認して頂ければと思いますが、「まぁ合格すればいいや」の試験から「ハイスコア狙い」の試験に変わってしまったことで、勉強方法から教材まで大きな影響を与えました。ここ10年以上は「CKはUWやっておけば十分」という認識でしたが、最近はその根幹すら揺るがすような変化が起きています。従来通りUWのみで勝負できる人もいれば、AmbossやCMSまで手を出すべき人もいます。選択肢が増えたことで受験生はより頭を悩ますことになってしまったのです。ちなみに僕は「AmbossのLibrary」推しです。FAが使いにくいCKでは、このLibraryの情報集約機能は非常に有用です。無料トライアルもできるので是非一度使ってみて下さい。
③問題の長文化とコミュニケーション問題の増加
②と関連する話ですが、これも受験生、特にIMGに多大な影響をもたらしました。ちなみにこの変化は公式発表ではなく、ただの僕の憶測ですので信憑性は定かではありません。あくまでも推測の域を出ないと思って聞いてください。
立場上、多くの受験生から生の声を聴くことができますが2024年春以降多くの受験生が「問題文が長い」「コミュニケーション問題が多い」と嘆くようになりました。特定のある時期を過ぎてから、かなりの多くの割合の受験生がそういう感想を述べているので確からしいのではないかと思うようになりました。
実は数年前に「問題の中身の変更」が公式発表されたことがあります。その時には「コミュニケーション問題の出題率が増える」という内容で、実際に出題率が数パーセント増えました。今回の変更(と思われるもの)は公式発表はないものの、恐らく変更されたのであろうと推察するだけの裏付けがあります。
その理由は改訂版で詳述しているので、是非手に取って確認して欲しいのですが、一つだけ言及すると今回の騒動も「IMGの流入制限」の流れを汲んでいると思われます。ここ10年間で起きているUSMLE関連のあらゆる変化は、移民の制限を目的としてしているように思えてならないのです。コミュニケーション問題の増加、(廃止前の)CSの難化、問題の長文化等、明らかにIMGに不利な変更が繰り返されてきました。今回の件も実際に問題文が長文化されたことにより、多くの日本人受験生はその変化に対応しきれずにいます。しかも、この長文化には「無駄な問題文が増えた」という特徴があり、速読力がないと解答とは無関係の英文を読み続けることになってしまうのです。これまでは英語力が足りなくとも知識とテクニックである程度カバーできましたが、長文化に伴いどうしても速読力(+語彙力)という英語力の要素が強まってきてしまったのです。
さらにこれらの変更にUWのみでは対応しにくくなってしまったという問題もあります。未だに最重要問題集であり続けているUWですが、その欠点に「検索機能の不便さ」「コミュニケーション問題の網羅性の低さ」があります。それをAmbossが補っているような現状になっているのです。
④CSの廃止とOET導入
他の変更と比較しても、恐らく「CS廃止」がIMGに最も大きな影響を与えた変化でしょう。これは本当にUSMLE受験界隈に激震が走るような発表でした。OSCEのモデルとなったSTEP2CSは模擬診察により受験生のクリニカルスキルを測るものであるため、受験生と模擬患者が濃厚接触することになります。2020年当時はあれが問題となっていたため、3月に中止となり、後日完全廃止の発表がなされました。それが現在OETで代替されているのですが、STEP2CSとOETは似て非なる試験なのです。
OSCEを経験された方であれば想像しやすいと思いますが、CSはいわば英語版OSCEです。(実際はOSCEが日本語版「簡易版」CSです)。当然、英語で診察にすることに加えて、カルテ作成も求められました。ここでその難易度の詳細は語りませんが、とにかく激難鬼畜試験だったのです。それはシンプルに英語の評価が極めてシビアだったためです。TOEIC990やTOEFL100超えの受験生が「英語」が理由で落ちたり、海外での臨床留学経験者が「英語」が理由で落ちるような試験でした。ある日本人グループが受験したところ全滅だったという話もあるほどでした。その詳細や具体的な対策方法は初版で言及しています。この最難関試験が廃止されOETが導入されたのですが、このCSとOETは全く異なるものなのです。端的に言えば、CSは臨床能力を見る「医学試験」である一方で、OETは医療をテーマにした「英語試験」です。その為、後者は基本的に医学知識を問われることがありません。さらに英語に関しても、圧倒的にCSのほうが判定がシビアでした。この変更によりECFMGの取得難易度は大きく下がり、時には「ECFMGのバーゲンセール」と揶揄されることもあります。しかし、このOETでの代替はいつまで続くかも不透明であり、下で言及するようにそのECFMGに有効期限が付くようになってしまったのです。
OETの具体的な対策方法に関しては改訂版のほうで詳しく解説しています。リスニング対策が肝になることは読書のみなさんであればご存知かもしれませんが、これに関してはSOLOさんの記事も大変参考にさせて頂きました。是非、ご一読ください。

④Pathwayの開始とECFMGの有効期限
CSの廃止とOETの導入と同時に、ECFMGが無期限有効から有期になってしまいました。以前までは受験生がSTEP1とCK、CSに合格すると自動的に自宅にECFMG certificateが届くにようになっていましたが、変更後はSTEP1とCK、OET合格後にPathwayというものに申請する必要があります。Pathwayには数種類存在し、申請すべきPathwayは受験生毎に異なります。(日本人は基本1)ここでの大きな違いは、繰り返しになりますが有効期限が付いたことです。基本的に発行3年後の年末までが期限になります。具体例を挙げると、Pathway2025の場合は2024年5月より申請が開始となりますが、これを取得すると有効期限は2027年12月末までとなります。そして、これを無期限に変更するためにはその期限内までに1年以上の臨床経験をする必要があります。(詳しくは本書にて)さらに、以前は自動的に発行されていたcertificateですが、今はPathwayに申請する度に1000ドル弱の費用が必要となります。CSにかける費用は節約できたものの、(場合によっては複数回の)OETの受験費用であったり、Pathwayの申請費用により課金要素は決して減っていません。(ちなみにOETは英語能力を見る試験なのでAMGは受験不要。なんでAMGだけ楽になってんねん。)
⑤その他
それ以外の変更点に関してもいくつか言及していきましょう。
数々の値上がり
実は受験料が年々値上がりし続けています。受験料だけなく申請費用など、あらゆる費用が高騰していることに加えて、近年の円安も相まってIMGには大打撃となっています。USMLEのことではないですが、コロナ後はマッチングのインタビューがオンラインで実施されやすくなったことは数少ないお財布には優しい側面かと思います。
受験生の増加?
これは実数の把握が困難であるため確証はありませんが、SNSや医師・医学生からの生の情報を基に考えるとUSMLE受験生は増えているように感じます。少なくとも認知度は上がっており、10年前の「USMLEってなにそれ」から、「USMLE聞いたことあるよ」レベルにはなっていると思います。その証拠の一つとして、実は慈恵医大では1年時の英語の授業で「セザ本」が指定教科書になっています。これだけでも100人以上の医学生にUSMLEが認知されることになります。また、様々な大学や病院が留学プログラムを提供するようになっています。僕が関わらせて頂いているSAGAグローバルコースはなんと県が発案者であり、プログラムの中身にはっきりとUSMLE対策が明記されています。また、実はUSMLEの教材を提供しているある外国企業が今日本のUSMLE市場の調査をしています。(これは事実です)これは日本のUSMLE市場が拡大しつつあることの証左の一つでしょう。
SAGA(佐賀)臨床研修グローバルコースの紹介!~2024年5月8日説明会~
このように受験生も増え(ていると思われ)る中であっても、未だに環境による情報格差は大きいようです。現に、未だにSTEP1のスコアが廃止される前の情報を参考して勉強を進めているような受験生もいます。正直、この世は本当にどこまでも情報戦です。インターネットが普及した今、必要な情報は何でも手に入ると思ってしまいがちですが、本当に重要な情報は簡単には手に入りません。そして、数多な情報を取捨選択する力が求められるのです。USMLEに関する情報も刻一刻と変化していきます。5年前に自信を持って世に送り出した最新情報も今では大きく様変わりしてしまっており、著者の僕としても古い情報を提供してしまっていることに歯がゆい思いをしていきました。この改訂版には僕が知る限りのUSMLEに関する情報の全てを詰め込みましたので、最初に拙著にて情報収集をして頂き、その上で勉強を開始して欲しいと思っています。
読者へのメッセージ
この記事では主に5年間で起きた変更点についてご紹介させて頂きました。この改訂版には情報が刷新されたことに加えて、大学の恩師からの熱いメッセージ、そして著者である僕からの強いメッセージが込められています。それは本当に充実した人生を歩んで欲しいというものです。詭弁のように聞こえるかもしれませんが、これは僕のためでもあります。誰かに喜んでもらえることは自分の喜びでもあり、そしてそのような人たちに囲まれて生きていきたいと思っているからです。
英語がめちゃくちゃ苦手な僕でもここまでたどり着くことができた。その事実自体が大事なのではなく、そこで得たノウハウを皆に知って喜んでもらって初めて社会への貢献を感じます。英語や勉強、自分自身に自信がない方にこそ手に取って欲しいです。それでは本の中で、そしていつか直接お会いできることを楽しみにしています。
しーや。
直接コンサルを希望される方はオンラインサロンへの入会をご検討ください。現在入会者多数のため、条件付きの受付となっております。↓
コメント