Q-Assist精神科講義動画について語ってみる

CBT

挨拶:この記事の狙い

ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。皆さん。いつもQ-Assist(以下QA)をご視聴頂きありがとうございます。忖度かもしれませんが、編集部や視聴者より改訂版のご好評を頂いており、無邪気に喜んでおります。昨今の医学生は映像授業が学業の基本になっているかと思いますが、その作成背景を知ることもそうそうないかと考え、今回どのようにこの動画を作成したのか、そしてどのように活用してほしいか記述してみることにしました。

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勉強方法として参考になるかもしれないので、まぁ暇つぶしに読んでみてください。ちなみに今回の記事はUSMLEとはあまり関係ないので、あしからず。

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本改定の主な変更点

まずは今回の改定で変わったことを列挙します。

・最新の問題を追加し、重要度の低い問題を除外
・臨床像をイメージしやすいようにイラストを追加
・全体像を把握しやすくするため総論を大幅に変更
・書画カメラからGoodnoteへ変更
・可能な限り丁寧な板書
・より多くの体験談を追加

ちなみに今回で2回目の大幅改定になります。2回の改定を経てかなり進化していると自負しておりますし、そうなるように心掛けてきましたが、特に今回の改定では医学教育の移り変わりを如実に実感しました

大幅変更の背景

思い起こせば医学部を卒業して10年ほどになりますが、当時の映像講義はあくまで大学の授業の補助的な存在であり、5,6年生になって初めてオプションとして選択するものでした。そして、QA精神科の講義を開始した当初はそのようなスタンス(高学年向け)で作成していましたが、いまや予備校の講義の存在意義が大きく変わってしまい、そのようなスタンスではもはや通用しなくなっていることに気付かされたのです。

聞くところによれば、医学部の3年生の多くが予備校の講義を見ており、大学によってはカリキュラム自体にそれらが組み込まれているというのです。つまり映像講義は既に補助的な教材ではなく医学生の勉強の主軸になっており、映像講義を通じて初めてそこから色々なものを学ぶということになってしまいました。従って、QAの精神科講義もこれから初めて精神科を学ぶ学生を意識して作成し、喋らなければならないということです。

このようなことを意識すると、講義内で「これは当たり前ですよね」や「当然ですが」というような言い回しは使いにくくなります。「あぁ、これは医学教育の歴史の変革期かもしれない」と思いました。医学教育が医学部の中で完結されず、外部の機関に委託するようになっているのです。確かに、世には教授の趣向が強く反映される講義やあまりにも専門的すぎる講義もあり、「これが何のために勉強するのだろう」と思ってしまうことがあるのも無理はありません。しかし、外部に委託するようになった大学は今後どのようにして学生に教育を与えていくのか興味があるところです。

さて、それでは以上のような遍歴を踏まえた上で何故今回の改定で様々な変更をしたのか、その理由をもう少し詳しく説明していきます。

・最新の問題の追加

今回は直近の国試2回分の問題を追加し、重要度の低い問題を削除しました。医学は常に進化しており国家試験もそれを追いかけることになるため、これは当然の変更ではあると思います。過去の常識は今の常識ではないということです。国家試験の傾向で言えば、以前は薬の一般名が問われることはあまりありませんでした、例えば、ひと昔前は問題の選択肢には「抗うつ薬」や「SSRI」というようにカテゴリーとして記載されることが多かったのですが、今では「セルトラリン」や「パロキセチン」というように一般名で記載されることが多くなっています。そのため、「SSRI」までわかっても一般名の知識がなければ正答にはたどり着けません。そのため古い傾向の問題は優先度が低くなります。このようにして過去の問題を少しずつ「断捨離」していく必要があるのです。

また問題以外にも新旧の知識を整理しています。これは僕の本業に関することですが、僕はQAの動画を出す前に必ずUSMLEの問題集を一通り解きます。もちろん国試向けの動画を作成するわけなので、USMLEの対策教材にするつもりはありませんが、現実的にUSMLEの問題集を解くことで精神科の最近のトレンドを知ることができます。また、そこには「抗精神病薬の副作用4の法則(知りたい人は動画みてね笑)」のように国試にも使える知識が沢山存在しています。問題を解き自分自身の知識を再整理して講義資料を作成しているというわけです。恐らくUSMLE受験生の中には、「あ、これUSMLEの知識だ」と気づく人もいるはずです。また意識的に病態生理を多く含めていますが、これもUSMLEの影響によるもので、病態生理を理解することで知識が頭の中で有機的に繋がるようにするのが狙いです。

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・イラストの追加

精神科講義と切っても切れない問題は「臨床像がイメージがしにくい」というものです。他の診療科とは異なり、臓器や組織を用いて説明することが難しいため初学者にとってはその臨床像がイメージしにくいのです。実際、僕も学生時代に精神科の授業で文字のみの講義プリントを渡された時はそれはもう辟易しました。「アンビバレントとか言われても全くイメージできん」と。その経験より精神科では図や映像を見て臨床像をイメージ(せん妄でVラインを引っこ抜いている図とか)するのが大事と考え、ことあるごとに「精神疾患をテーマにした映画をみよう」とお伝えしてきました。かねてより講義資料の中にもイラストがあったほうが良いと思っていましたが、幸いなことにMEDICMEDIAにはイラストが得意な方が沢山いるため、今回の改定ではイラストを追加して頂いたというわけです。

・総論の大幅な変更

前回の改定では第1章に総論を追加しましたが、今回の改定ではその総論の内容を大幅に変更しています。特に全体像が把握できるように意識しました。全体像を見渡すことができるようになると頭の中で知識が整理されやすくなるため、今回は診断基準であるICD-10をベースに総論をはじめとする講義資料を作成してみました。実際、国試の精神科では診断基準に準拠して問題が作成されるため、QAの動画もICD-10という診断基準の順序通りに並べることで全体像が把握しやすくなるのではと考えてみたのです。動画内でも繰り返しお話ししていますが、国試用に紙面上で精神疾患を診断するためには診断基準に則るほかありません。もちろん診断基準を信用しきってしまうことで実臨床で誤診を招く危険性はありますが、国試という試験の性質上、診断基準準拠になってしまうことは止むを得ないためQAの講義の順番もICD-10通りとしています。総論ではICD-10の概要を説明し、続いて各論でその内容を詳しく解説していきます。

さらに、元々総論に含まれていた薬物療法は後半に移しました。各疾患に関する知識が十分にない状態で薬の総合的な知識を与えられても消化不良になってしまう可能性があり、さらに低学年が視聴していることを考慮すると、薬に関しては各論➡総論(まとめ)のほうが知識が整理されやすいと考えたというわけです。

・Goodnoteへの変更

これも時代の変化によるものです。もう紙で勉強する時代ではなくなってしまったようです。いや、もちろん紙の良さは未来永劫変わらないものですし、今でも紙媒体で勉強される方は沢山います。しかし、少なくとも今の医学生の主流は電子媒体を用いた勉強法なのです。それも当然頷ける話です。そもそも紙は重いし、情報量も有限です。電子であれば使いこなしさえすれば無限に作り変えていくことができます。僕も紙での勉強に慣れてきたとはいえ、いつまでも紙のみの勉強に固執し、そればかりを推奨していてはただの「老害」になりかねないため、自分でも電子媒体を用いた勉強法を取り入れようと考えました。実際に、USMLE界隈でも今や半数以上が電子書籍で勉強しています。紙の良さ自体は変わりありませんが、良いものは良いものとして積極的に取り入れていく姿勢が大事でしょう。

・可能な限り丁寧な板書(笑)

さて、電子の良さはそれら以外にもあり、拡大することで板書しやすくなるというメリットがあります。僕は致命的に字が汚いのですが(どれだけ頑張っても綺麗には書けない)、goodnoteを使って資料を拡大することで何とか人様に読んでもらうことのできる板書になったはずです(それでも読めなかったらごめんなさい)。

・体験談の追加

先にもお伝えしたように精神科では臨床像をイメージできるようになることが超大事です。各疾患の特徴的な症状を文字面だけでイメージするのはきっと難しいはずです。よって、QAでは僕自身の臨床経験をふんだんに盛り込むことにしています。これは開始当初からの変わらぬスタンスなのですが、今回の改定ではさらに多くの体験談を追加しました。これによって少しでも視聴された方が臨床像をイメージしやすくなってくれたら嬉しいです。

さて、どのように活用していけばいいか

これらが主な変更点になりますが、実際にどのように活用していけばいいのか言及してみます。口を酸っぱくして言いますが、「国試の精神科は診断基準の暗記が大事」です。感覚で診断できてしまう方には必要がないかもしれませんが、鑑別診断が苦手な方は診断基準を正確に覚えるようにしてください。

また、精神科では「イメージで乗り切れる分野と単純暗記を必要とする分野を明確にすること」も大事です。例えば統合失調症やうつ病のようなメジャーな疾患は実習でも受け持つ可能性が高く臨床像もイメージしやすいかと思いますが、違法薬物や心理検査などは実体験することが難しくイメージが困難です。その場合は、暗記に徹することが重要です。単純暗記が苦手な方は多くの場合、本当に記憶力が悪いのではなく「暗記するための時間を設けていないこと」が問題です。つまり、なんとなく暗記するだけでは不十分で、徹底的に単純暗記するだけの時間が必要なのです。例えばQA精神科では、違法薬物や心理検査、そして(機序は説明しているものの)薬物療法に関する分野は徹底的な暗記が必要です。QAを一通り見たら表を丸暗記するつもりで暗記に取り組んでください。

視聴者の皆様にメッセージ

基本的には、QA精神科で学んだことの7-8割を理解・暗記してもらえたら国試レベルの問題は殆ど解けるようになると思います。しかし、このQAには「臨床に出てからも役立つ知識を」ということも意識しているため、研修医になってからも役立つ知識が沢山あるはずです。特にせん妄は卒後にほぼ100%の方が遭遇することになると思うので、もし困ったときがあったらQAの講義プリントに帰ってきてください。

このQA精神科が少しでも視聴者の皆様の人生を豊かにすることに貢献出来たら講師冥利に尽きるというものです。応援しています。しーや!

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