STEP1合格報告:山口大学6年平田君
セザキングからの挨拶
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。今回も有難いことにSTEP1の合格報告を頂きました。こうやって全国各地より報告を頂けるのは有難い限りです。しかも、今回は山口大学でUSMLE勉強会発足の告知も兼ねているとのことであり、喜んで広報させて頂きます。コロナによる一時的なUSMLEブームは去ったような気はしますが、良いものは良いので、これが一時のムーブメントとして終わることなく、恒久的に日本の医学教育に根付いていけば嬉しいです。それでは、どうぞ!
USMLE STEP1合格者による具体的なUSMLEの教材や勉強方法の紹介。特にQ&AやRx、UW、Ankiなどについての情報を掲載。モチベーション維持や模試の活用方法まで網羅的な情報をご紹介。
【挨拶】
USMLE GOの読者の皆様はじめまして、山口大学医学部6年の平田海邦と申します。今回、山口大学でのUSMLE勉強会の設立の広報もかねて、自身の合格体験記を書かせていただけることになりました。USMLE受験を考えている方にとって少しでも役に立てたらと思います。
➡どんどん全国でUSMLE勉強会が増えています。大学間でかなり熱量の差がある気がします。何十人も勉強しているところもあれば、殆ど勉強している人がいないところもある。そんな現状でしょう。
【はじめに】
今回の合格体験記では、CBTや学校の成績がそこまでよくない人でも勉強すればUSMLE STEP1に合格できるという事と、勉強会や一緒に勉強する仲間の重要性について中心的に書いていきたいと思います。
➡おお、そのパターンですね。とてもいいと思います。元々成績が良くない人の情報は多くの方に勇気を与えます。前回の合格報告もこれに近しいものでした。
【基本情報】
・英語:1年間の語学留学経験あり、IELTS 7.0点
正直語学力に関してはSTEP1に関していえばそこまで必要ないと感じました。医学生向け海外留学プログラム応募のためにIELTSの勉強はしましたが、そのおかげで問題がスラスラ読めるという事はありませんでした。
➡英語力は平均的な医学生よりもかなり高いようですね。しかし、仰る通りSTEP1にはそこまで高い英語力は要求されません。結局、医学英単語を知らないと問題文すら読めないのです。ちなみに、恐らく「英国医学留学」のことを指しているのではないでしょうか。これには凡そILETSで7.0の英語力が求められます。
・医学:学年でもおそらく半分以下くらいで、全くもって優等生タイプではありませんでした。CBTでも確か学年で半分くらいの成績で、80%ないくらいでした。
➡最近はこれくらいの成績からUSMLEにチャレンジする人が多いですよね。ひと昔前は、USMLEは貴族の遊びならぬ、成績優秀者の特権のような印象がありましたが、最近はそのハードルがかなり下がり「大衆化」している気がします。
【勉強の大まかな流れ】
5年生8月~10月:Q&Aを1周 正答率50%未満(復習はなし)
5年生10月~6年生1月:USMLE Rx1周目 正答率50%
6年生1月~3月:Rx復習(間違えた問題とたまたま正解した問題を復習)
Rx付属の模試:200点台
6年生3月~4月:UWORLD1周目 60%
NBME受験:198点
6年生5月:UWORLD復習(時間足りずORGAN SYSTEMSの範囲のみ)
6年生6月~7月:溜まってたAnkiを消化
6月末、7月中旬にNBME受験:213点と225点
受験1週間前にUWORLD模試を同日に2連続で受験:241点と230点
受験5日前にサンプル問題(Free 120) 67.5%
7月末に本番を大阪で受験:230点台でPass
基本的には瀬嵜先生のブログを参考に進めていきました。STEP1で高得点を狙う必要がなくなった以上、このパターンを参考にしない理由はないとさえ思います。
➡大体1年で合格されたということですね。まずは「おめでとうございます!」と言わせてください。230超えでパスとは立派だと思います。この流れを見ていると、直前期にぐっと伸びたような印象ですね。Ankiをうまく利用できたのでしょう。
恐らくですが、彼は「大器晩成タイプ」ですね。定期テストのような「短距離走」はそこまで得意ではないかもしれませんが、USMLEのような所謂「実力テスト」だとパフォーマンスを発揮しやすいと思います。この流れを見るとそう感じさせてくれます。皆さんはどう思いますか。
【具体的な勉強法】
ここでは教材毎に具体的な勉強内容について記述していきます。
Q&A
オンラインでの問題集に抵抗があったのもありQ&Aから勉強を開始したのですが、確実にこの2か月間が一番きつかったです。慣れていなかったのもありますが1問に1時間以上かけることもありました。開始直後に進捗が悪すぎてやる気が出なくなってしまうのはおそらく皆さん共通なので、ここで諦めないのがとても重要です。
➡「一番きつかったです」という言葉が非常に印象的ですね。本当にその通りで、このQ&Aという最初の関門を乗り切れるかどうかがUSMLE受験の最大の鍵だと思います。継続さえすればSTEP1の合格は難しくないと、口を酸っぱくしてお伝えしていますが、STEP1にさえ合格してしまえば、あとは自然に他のSTEPにも取り掛かるものです。とにかく、最初の関門を諦めずに乗り越えることが大事です。
USMLE Rx
難易度的にはRxはUWORLDより易しいという風に書かれていることが多いのですが、勉強開始して3~5か月目のタイミングでは十分難しいので、正答率悪くてもあまり気にしすぎない方がいいです。
USMLE Study Tools & Online Test Prep | USMLE-Rx
➡「他のオンライン問題集と比較して」易しいのであって、CBTとかと比較すればかなり難しいです。決して簡単ではありません。購入する際の注意点ですが、RxとQmaxの2つの商品を慎重に選択する必要があります。Qmaxがオンライン問題集のことで、実はRxはQmax+講義動画などのセットのことを指します。模試やフラッシュカードは正直不要なので、講義動画を見たい方以外はQmaxで十分だと思います。
↓詳しいRxの情報は以下から
Rxの解説にはFAに該当ページが載っているので、Q&Aと比較してかなり勉強がしやすかったです。1周目はとにかく知らなかった知識をFAに記入していき、2周目・復習からAnkiのデッキ作成を始めていきました。
➡うむ、王道そのもの(笑)。Rxの最も良いところは「FAと対応していること」です。やりやすいのでストレスが少なく進めることができます。
Rxでは難易度による分類(easy, medium, hard)も可能なので、モチベーションが上がらない時にはeasyの問題を集中的に解くなどの工夫をして勉強を継続していきました。付属の模試は点数が高く出やすいので、そこで合格点を超えたからといって慢心しすぎないことが大事です。
➡Rxの模試は正直不要なので必要ないです。Rxの特徴の一つとして、testを作る際に難易度別で作成できることがあります。時間のない方はeasyとmediumだけ解いてUWに移行するのもありです。
UWORLD
とても解説が充実していて、FAには載っていないようなまとめや表が出てくるので、それらを漏らさずFAやAnkiに入れることが大事。UWORLDだけでも合格できるくらいに重要な問題集なので、しっかりと時間をかけるべきだと思います。
➡その通り。付け加えることなし。
またUWORLDから時間制限を気にするようにしました。UWORLDの問題文は本番と比較して長文だと思うので、UWORLDの問題を90秒以内に解けるようになっていれば本番の緊張を加味しても大丈夫だと思います。逆にUWORLDを解いてみて時間制限に間に合いそうになければ、自分の中で何か工夫することが必要だと思います。
➡確かにUWは本番よりは難しいです。時間が足らないということを認識するためにも、模試を受けることが重要です。
Anki
ネット上に存在するものも何個か試したが、RxやUWORLDをやっている際に自分で作ったものの方が点数アップにつながった風に感じられた。特に共通点や鑑別点を意識してカードを作っていた。以下にその1例を載せておきます。特にUWORLDではどう鑑別していくかについての問題が多くありました。
➡とてもいい戦略・戦術ですね。これは僕の提唱している「まとめノート」と「FA通読➡問題作成」と通ずるものはあります。いかにして暗記するかがポイントになりますが、多くの人がAnkiを利用されています。
薬剤名を覚えるのが苦手だったので、特に精神科の範囲では薬剤名だけのカードも作っていた。
➡綺麗に作っていますね。これは多くの方のstudying/learningに参考になると思います。ありがたや。ここでは「多血症の鑑別疾患3つ」を問題とし、下に答えを載せています。参考までに文字起こしもしておきます。
・abosolute= true increase in RBC mass
①Polythytemia vera=RBC, WBC, and plateletすべてで上昇、EPO低下
②secondary erythrocytosis=EPO上昇→only RBC上昇
due to hypoxia, EPO producing tumor
・Relative=normal RBC mass
③by dehydration, or excessive diuresis
模試
模試の必要性に関しては瀬嵜先生のブログで十分に語られていますが、本当にその通りでした。特に2連続模試を受けておくことで本番は幾分楽に感じられたのでお勧めです。
➡模試はマストでございます。連続模試も決して避けることなかれ。
Free 120の問題が本番でほぼそのまま出るという話を聞いたことがあったので、Free 120の復習だけでAnkiデッキを作成しました。実際に本番でもそれで解けた問題はあったのでおすすめです。
➡これもお伝えしている通りですね。サンプル問題は絶対やるべきです。そして、ここの正答率が本番のスコアと強く相関していると言われています。
NBME模試の復習は解説がないのであまり時間をかけすぎないのが大事です。わからない問題はそのままAnkiカードに入れるようにしていました。
➡個人的には誰かと一緒に受けるのがオススメです。解説が無いので復習しにくいのですが、一緒に受けることで御互いに補完し合うことが可能です。とても効率的なので、もし誰かと一緒に受験できるのであれば是非誘ってみてください。
【反省・改善点】
・問題集を解いているときに正答率を気にしすぎてしまっていて、それに大きくメンタルを揺さぶられてしまっていた。他の人の合格体験記を一々チェックしていたのですが、大体ネットにある人のデータは成績優秀なことが多いので、あまり正答率を気にしすぎない方がいいと思います。大事なのはどれだけ復習できるかです。
➡これ最近僕は強調していることそのものですねw
まさに「生存者バイアス」ですよ。見えないところで苦しんでいる方がたくさんいるのです。SNSはそういう意味で危険なので、過度に気になってしまう方は見ないようにしたほうがいいくらいです。
↓ここに似たことを書いてます。
・毎日の目標を問題数で設定していたので、問題をこなすようになってしまい、復習がおろそかになってしまった。問題数で設定した方が何月までに問題集を終わらせて、などの計画が立てやすくなりますが、それに気を取られすぎて復習を読むだけになってしまっていた。途中からは勉強時間で設定することでこの問題は解決することができた。
➡ここは個性も大きく関係しているかもしれません。僕がノルマをこなすことを提唱している理由の一つに、「拘り過ぎてしまい問題が進まずにやる気を失う」人達はたくさん見てきたからです。一方で確かに早く解く事だけを意識してしまうと、復習が疎かになってしまうリスクもあります。モチベーションを維持することができていれば、あとは個人個人のバランス感覚が重要になるかと思います。
・Ankiのカードを作成するだけで復習を後回しにしすぎていた。そのせいで最後1か月少し、Ankiを回すだけの地獄のような過ごし方をしてしまったので、少しずつ進めることが大事。実際にAnkiをちゃんとやるようになってから模試の点数が上がったので、できればカードを作った次の日には復習することができれば理想だと思います。
➡問題を解く時や、暗記カードを作成する時にも「暗記しよう」と心がけることは大事ですね。
【モチベーション維持の方法】
特に地方の大学とかだと、USMLEの勉強会がなくて一人で勉強しているという人が多いと思うのですが、そういった方は特にモチベーションを維持するのが一番難しいと思います。勉強会の重要性に関しては瀬嵜先生のブログでも語られていますが、身に染みて感じました。いずれUSMLEを勉強しようと考えている人は何よりもまず勉強会の人間を集めることが重要だと思います。
僕自身は、将来米国に臨床留学したいという明確な目標があったので、実際に臨床留学されている先生方の体験談を調べたりしていました。またUSMLE用にTwitterのアカウントを作成してUSMLEの勉強をされている人をフォローすることで、モチベーション維持に加えて情報収集にもなりました。
➡繰り返しまくっていますが、USMLE受験を成功させるために最も重要なことは「モチベーションの維持」です。周囲に勉強仲間がいなくとも、工夫してそれを維持していくのが必須です。
【試験本番】
本番は大阪で受験したのですが、会場では受験生には一人一個ロッカーが用意されていて、そこに荷物をしまいます。机は用意されておらず、共同の長ソファーが用意されています。僕はエナジードリンク、水、ラムネ、パン、耳栓、FAを持ち込みました。
本番は1・2ブロックと3・4ブロックを連続で、後は各ブロック間で休憩を取りました。休憩では必ずトイレに行き、わからなかった問題をFAで調べました。会場ではUSMLE以外の試験も行われているので、少し恥ずかしかったですが、実際に調べた分野から問題が出たりもしたのでやってよかったです。特に後半のブロックになると早く終わらせたくなってきますが、焦らずちゃんと休憩を取るようにしました。
➡以前は休憩中に勉強することは頭にありませんでしたが、多くの人がそれを推奨しているので僕もそれのほうが良いと思うようになりました。間違いに気づいてショックを受けすぎてしまう人でなければ、逐一調べたほうがその後の取りこぼしが少なくなるでしょう。
服装に関して、ポケットが多くて大変だったという話を聞いていたので、できるだけポケットの少ない服装で臨みました。2連続模試のおかげで本番はあまりきつく感じなかったので2連続模試は本当におすすめです。また休憩の使い方もこの時に決めておいた方がいいです。
➡ポケットが多かったのは僕だけかもしれん(笑)。2連続模試は必須なのだ。
【最後に】
今回の経験で勉強会の必要性を感じたので、自大学でもUSMLEの勉強会を設立したいと考えています。もし山口大学でUSMLEに興味があるという人は連絡ください。
山口大学6年 平田海邦 u083eb@yamaguchi-u.ac.jp
➡少しでも興味のある方は是非連絡してみてください。USMLEを勉強して損はないことを僕が保証します。むしろ、あまりにもUSMLEが奥の深い教材なので、「これまでの勉強は何だったのだろう」とすら思えてしまう人もいるでしょう。百聞は一見に如かず。まずは1問目に取り掛かってみましょう!
最後に、瀬嵜先生などUSMLEの情報を発信してくださる方々のおかげでスムーズに、効率よく勉強を進めることができました。これは一人で勉強している自分にとってはとても貴重でした。本当にありがとうございました。これからは僕自身も情報を発信していけるように頑張ります。
また、僕がUSMLEの勉強を継続できたのは、同級生や先生方のさりげない応援の一言のおかげです。大した成績も実績もない私を信じて応援してくださり本当にありがたかったです。この場を借りてお礼申し上げます。今後も精進してまいりますので是非ともよろしくお願いいたします。
➡合格するだけでなく、こうして後続の方々に手を差し伸ばしていることが真に評価されるべきポイントだと思います。今後多くの山大(ちなみに山形大も山大)の方々が合格されることを心より祈っていますし、応援しています。コロナが落ち着いたら山口にも遊びにいける日が来たらいいなとこっそり思っております。本当にありがとうございました!今後も色々な方々の体験記をお待ちしております!次の合格者は君だ!
それではまた!しーや。
↓ちなみに金先生も山口大学出身だぞよ。
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