USMLE概要⑫~2020年2月12日に発表された3つの重大な変更点:対策前編~

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前回の記事

ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。昨日、新潟大学講演会であったため更新が遅れました。講演会の報告はまた後日したいと思います!

前回の記事へのアクセスが想像以上に多く、今回の変更は本当に多くの方にとっての注目の的だったんだな、と認識しています。

USMLE概要⑪~2020年2月12日に発表された3つの重大な変更点:変更点と考察編~
USMLE:3大変更点 ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。 うむ、速報ですよ。速報。既に巷では超(?)話題になっているUSMLEからの発表についてで...

前回の記事では、今回発表されたUSMLEの変更点を詳細に解説し、その背景にある事情を考察してみました。そこで今回は、その変更に対して我々日本人はどのように対応していくべきかという視点で僕なりの意見を展開していこうと思います。かなりの長編になりますので、前半と後半で分けて解説していきます。

 

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変更点発表後の世間の反応

このような予想外のことがあると人は頭が混乱するものです。実際に既に数人より「今後どうしたらいいでしょうか?」という質問を頂いております。色々な憶測が飛び交い、その中にはさも真実かの如く書かれているような情報もありますが、それらに情報には慎重になる必要があります。

今回の件で言えば、STEP1の三桁スコアが廃止されることで「CKのスコアが大事になる」「3のスコアも大事になる」「研究実績がないといけない」「学生中にはせめてポスター発表をしないとだめ」「在学中の成績も大事か」等、枚挙にいとまがないほどの情報が飛び交っています。

これらの情報全てを真に受けてしまうと頭の中は当然混乱します。上記全ての条件を満たすのは現実的ではありません。そこで一度立ち止って冷静に再考してみましょう。そもそも「大事」ってなんやねん、って話なんです。

「大事」とは?

誰かが「○○が大事」と主張する場合、そのことは少なくとも「その人にとって」大事という意味を含みますが、「他の人にとっても」同様に大事とは限りません。例えば、仮にCKのスコアが大事だと主張しても、既に強力なコネがあり合格しさえすればいい人にとってはスコアなんか気にする必要はありません。また仮に研究実績が大事であったとしても、臨床をばりばりやっている人が実績を無理やり作るために研究を開始するのはどこか空虚です。実際にアメリカでは研究実績のみを求めて医学生が研究室に集まることがあり、本気で研究している人はそれを煙たく思っているようです。

つまり、多くの物事の重要性は「その人によって異なる」ということです。全員にとって大事なものなどありません。(生命に必要な空気とか水はもちろん除きますよ)。

「大事」や「重要」は人によって異なる
そもそも、全員が臨床留学する必要なんて無いですし、もちろん皆がガチでアメリカ永住を目指す必要なんてないのです。その人にとって「幸せ」なことをひたすら追求していけばいいと思います。自分の人生の舵取りは自分にしかできません。

USMLE受験生の4分類

さて、これから対策方法を考えて行く上では、上記のように各人のニーズを意識する必要があります。そこで、USMLE受験生を4つに分類してみることにします。カッコ内は僕が勝手にネーミングしたクラスターです。笑

① 合格狙いで準備しておく勢(準備勢=ライト勢)
② 研究留学中に臨床に移行する勢(研究勢=サーチ勢)
③ コネありのレジデンシー・フェロー狙う勢(コネ勢)
④ 良いレジデンシーのプログラム狙いのとにかくガチ勢(ガチ勢)

まずは自分がどれに当てはまるか考えてみてください。このような分類することで一気に視野がクリアになります。それでは①の準備勢が取るべき対策からお話をしていきます。

また敢えて再度ここで付記しておきますが、僕がUSMLEは全て合格しているものの、御存知のように日本でUSMLEコンサルタントの活動をしております。実際に臨床留学をしているわけではないため、自分自身のUSMLE受験・コンサルト経験に、実際に留学している友人や後輩からの情報を加えて、以下のように考察しております。もし、現実と明らかに異なる情報がある場合には是非ご指摘ください。

① 準備勢=ライト勢

ここはライト勢ともいえるでしょう。「将来留学のチャンスあるかもしれないし準備しておくか」というややライトな気持ちで勉強している人たちがこれに属します。以前にツイートしたように、「STEP1持ってたら留学のチャンスあげるけど、当然もってるよね?」みたいなチャンスに備えます。ここでは「何点とらないと!」みたいなプレッシャーは無いため基本的には合格を目標とします。もちろん、ハイスコアを取ることでチャンスは広がりますが、ハイスコアを取るために受験を延期するのは本来の目的に適いません。別に何度落ちてもいいのです。

この準備勢が取るべき戦略は「効率よく合格していくこと」なので、今回の変更点から受ける影響は殆どないはずです。普通にSTEP1➡CK➡CS➡3の順番で受験していきましょう。ただ合格のみを目指せばいいので、STEP1やSTEP2CKもそれほど大変ではありません。基本的にはオンライン問題集を一つマスターすれば合格には届くでしょう。学生の場合はもちろんQAから開始し、その後時間的な余裕があればRx➡UW、時間がなければUWのみでOKです。既卒であればUWのみで突撃してもなんとかなると思います。

ライト勢、というか誰にとっても最大の障壁はCSになります。公式なデータはありませんが、最近も日本人合格率はかなり低いです。恐らく5割は切っています。体感だと4割くらいでしょうか。CSの難しさは、他のSTEPと求められる能力が全く異なることです。そのため、STEP1と2CKがハイスコアでもCSで不合格になる方はたくさんいます。STEP1は250越えでCS不合格もざらです。具体的な対策方法は他の記事を参照にしてもらえればと思いますが、ライト勢のヤマはCSであることを留意しておいてください。例えCSがSTEP1合格後にしか受験できなくても今の内から準備しておくことは重要です。帰国子女以外は皆の発音の勉強から始めてください。

ライト勢は従来通り合格を目指すのみ!最大の山場はCS!

 

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② 研究勢=サーチ勢

このサーチ勢がとるべき対策は殆ど①と一緒になります。研究留学しているうちに臨床留学のチャンスが巡ってきたためUSMLE受験を開始する勢です。つまり、元より①であったならすぐにそのチャンスの飛びつくことができたのですが、準備してなかったために渡米後に受験開始というパターンです。

卒後数年以上経過しているため、忘却しきった知識を取り戻すのが特に大変なクラスターですが、研究や育児の合間をぬって勉強をしていくほかありません。特にSTEP1とSTEP2CKは①と同様に最短で合格を目指すのみです。

研究勢にとっても当然CSが最難関になりますが、実はこのクラスターこそCS受験に慎重になるべきです。多くの純ジャパは自分の英語に自信が無いため謙虚にCS準備に取り掛かることができますが、この研究勢は何年もアメリカで生活をしているだけあって自分の英語力に慢心してしまう傾向にあるのです。これに関しても何度も言及していますが、CS合格のためには「伝わる英語」では不十分であり、「完璧に近い英語」が求められるのです。研究中に関わる周囲のアメリカ人は教養がありインテリジェンスが高いはずなのでこちらの発する英語が完璧ではなくても意味をくみ取ってくれます。また。発音に問題があってもいちいち指摘してくれません。そのため「俺の英語は大丈夫」と思ってしまいがちですし、アメリカ人も「お前の英語は問題ない」と言ってくれてしまうのですが、それがまずいのです。ということで、研究勢ほど慎重にCS準備をしてください。

STEP3に関してはブログにかいてある通りにやればOKです。セザキング流で皆(僕よりいいスコアで)合格しています。

研究勢ほど自身の英語力に謙虚になるべし

 

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③ コネ勢

日本人の臨床留学を狙う人たちで実は一番多いんじゃないかと思っているのがこのコネ勢です。特にフェロー狙いの方に多いのですが、このクラスターではUSMLEのスコアは一切気にせず、とにかくコネによって臨床留学を実現させることが目的となります。

アメリカではマイナー外科や放射線科は大人気なのでIMGがそこに割って入ることは極めて難しいとされています。そこでUSMLEのスコアが求められにくく、コネが絶大な効果を発揮するフェローを狙う人が多いというわけです。一旦フェローになってしまえばまた状況は変わるようです。中にはフェローからレジデントになるという「逆戻りパターン」をする人もいるようです。

実例をあげると放射線科医である僕の教え子はフェローになるためにひたすらコネづくりをしていました。もちろんそれに平行して英会話の勉強を続けていましたが、彼は完全にコネ勢でした。元々医局の教授が「フェローとして留学させてあげるよ」と言ってくれたことがきっかけでUSMLE受験を開始しましたが、途中でそのコネが不確定的なものになったために、彼は途中から国際学会にいってはアメリカの日本人医師に話しかけまくるという作戦をしていたようです。そんな熱意と、(英会話の)準備が相手に伝わり無事フェローの座をゲットしたのです。さらに放射線科(サブスぺは不明)はレジデントを経ずとも専門医資格を取れるとのことで、彼はまさにコネ勢の鏡となったのです。しかも、彼はCKで一度不合格になっていたのにも関わらず、でした。

さて、このコネ勢が取るべき対策は何か。そりゃ当然コネづくりですよ。こういうことを言うと「コネの作り方を教えてくれ」って聞かれますが、そりゃ人によって千差万別ですよ。そもそも留学していない僕に聞く質問でもないような気がしますが。笑

 

もう少し実例をあげるのであれば、

ある日本人は見学中にそこの教授に「うちは日本人はとらない」と、明言されたようですが、ひたすら懐に入っていき熱意を伝え無事にレジデントになれました。
またある人は、学生留学中にプレゼンすることを自ら志願し、積極的に診療に参加し推薦書をゲットしていました。

僕に関して言えば、現時点では実際に留学はしていないもののある大学の教授に推薦状を書いてもらうことを確約してもらっています。以前に2週間ほどあるNY州の大学病院の精神科を見学したのですが、そこで僕がとった作戦は「お世話になった先生全員におしゃれな箸をプレゼントする作戦」でした。そう、もので釣る作戦だ。なんと、セザキングは小賢しいやつだ。

かなりお洒落な箸なのでプレゼントすると大体のアメリカ人はかなり喜びます。すると必ずどこかに日本好きな人が隠れています。そんな人を見つけて日本食レストランに行けたらチャンス。お酒の席でさらっと推薦状の話を出します。僕場合はあっさりOKをもらいました。偶然ですが、彼はレバノン人であり「僕もアメリカではマイノリティだったから就職には凄く苦労したんだ。日本人の君の気持ちはよくわかる。」と言ってくれたのです。医者としての実力を十分にアピールできたわけではないので、推薦状の内容もどうなるか全く不明ではありましたがこのようにして「人たらし」を実行したのです。役に立つかどうか分かりませんが、もし是が非でも推薦状が欲しいという方がいたら真似をしてみてください。責任は一切取りませんけど。笑

さて、かなりの文字数を割いてコネについてお話をしてきました。この③は「コネ」での留学を狙うことが前提となるクラスターであるため、全力でコネづくりをしつつ、USMLEではスコアはあまり気にせずに合格していくことがリーズナブルでしょう。ただいずれにせよCSで落ちていると「こいつの英語やコミュ力は大丈夫かな」という心配の種を産むことに成りかねないのでなるべく全部、特にCSは一発で合格しておきたいところです。

コネ勢はスコアはあまり気にせず効率よく合格し、あとは全力でコネを作るべし!ただし、CSは1発で受かるべし!
さて、次の記事では注目の④ガチ勢の変更点に対する対応方法をお伝えしようと思います。長くなったのでここで一旦切りますが、次回は以下のような項目に配点をして、対応方法の考察をしていきます!
・コネクション(推薦状含む)
・STEP1スコア
・STEP2CKスコア
・STEP3スコア
・研究実績/学会発表
・ボランティア
・STEP2CS合否
・英語力
・卒後年数
では、また!しーや。
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