USMLE概要⑮:受験資格と受けられる大学~2023年最新版~2024年3月14日追記・修正

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USMLEの受験資格と受けられる大学~2023年最新版~

 

ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。今回は「USMLEを受験することのできる大学」についてお話をしていきます。正確に表現すると「在学または卒業することでUSMLEを受験することのできる大学(医学部)」について解説します。

2024年3月14日追記
2023年12月のECFMGからの衝撃発表があり、自大学がECFMGの認証を受けていない場合でも2024年以降も在校生・卒業生の受験が認められることになりました。これまでの10年以上の伏線はなんだったのか。。続報がありそうな予感はありますが、とりあえずは日本人にとっては朗報なのではないかと思います。ソースはここで確認してください。

以下の記事は古い内容になるので、話題になっていた2023年問題を理解したい方は目を通してください。

 

~超要点~
2023年以前:誰も受験可能
2024年以降:ECFMG(WFME→JACME)に認可された医学部の在学生・卒業生のみ受験可能(7年毎の認証が必要)という予定だったが2023年12月の発表で今後も全医学生が受験できることが可能になった。
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所属する大学のUSMLEの受験資格の有無

USMLEとはUnited States Medical Licensing Examinationsの頭文字をとった略称で、米国医師国家試験(アメリカでお医者さんをする資格を取るための試験)のことを指します。実は所属する医学部よって受験資格の有無が異なることをご存じでしょうか。所属する、またはこれから受験する医学部によっては将来の米国への臨床留学の道を絶たれてしまう可能性がゼロではないのです。

もし医学部受験生の方で、将来的に米国への臨床留学を考えている方は受験校選びに参考にして頂き、または既に在学・卒業している方には現状の確認方法と対策方法について解説したいと思います。「うちの大学では受験できなさそうだ・・」と嘆いている方、大丈夫です。まだ何ともでもなります!

受験方法④~改・USMLE受験方法完全版!!!~(2021.6.14更新)

2023年現在の受験資格

まずは基本的なUSMLEの受験資格についてお話をします。2023年1月現在、日本の医学生・医師であれば誰でも受験が可能です。ただ厳密の言うと以下のような条件があります。

▼STEP1/ STEP2CK➡3年生以上(=基礎医学履修済み)であれば受験可能▼STEP3➡ECFMG取得後に受験可能

STEP1とSTEP2CKはどちらからでも受験することが可能です。受験条件は医学部に2年以上所属し、かつ基礎医学を履修していることになります。ただ現実的に2年生の段階で受験するような人はいないので、基本的に「誰でも」と言っても良さそうです。余談ですが、最近はUSMLE受験の早熟化が進んでおり、なんと3年生でもう受験される方がいるようです。はやすぎー。

またSTEP3のみECFMG Certificate取得後より受験が可能になります。ECFMG Certficateは2023年1月時点では、STEP1/2CKの合格に加えて、OETというオーストラリアの医療系英語試験に合格すると発行されます。面白いのは紙の証書が自宅に届いた時点で受験が可能になるという点です。

OET①~OETとは?:基本情報とUSMLEの関連性について~ 2020.8.28更新
OETの基本情報とUSMLEの関連性について 挨拶:サロンメンバー全員への電話相談を始めました ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。 久々のエントリー...

医学生が全員知るべき「2023年問題」

さて、医学生・医師であれば現在は誰でも受験が可能なUSMLEですが、2010年頃にECFMGより衝撃的な発表がありました。

「2023年以降はECFMGが認証した大学の人しかUSMLEを受験させませんよ(=アメリカでお医者さんさせませんよ」

というもので、これは日本の全医学部を震撼させました。

https://www.ecfmg.org/forms/rationale.pdf

何故それほど、この発表に日本の大学は衝撃を受けたのでしょうか。言うまでもなく、日本の医学部はアメリカで働く医師を輩出するために存在するのではありません。そうであっても、「あの医学部に行くとアメリカには行けないらしいよ」とレッテルを貼られてしまうのは、特に私立の医学部にとっては重大なイメージダウンに繋がります。つまり、ECFMGに意向を決して迎合するわけではなく、ほぼ強制的に認証に向けて動く必要があったのです。

ここから日本の医学部は認証に向けて思い腰を上げることになります。噂レベルの話ですが、全国医学部長会議で「各大学のUSMLE受験者数調べ」があったようです。当時は今と異なり、「大学設立以来USMLE合格者ゼロ」の大学もまだありました。(在学中にSTEP1に合格して学長表彰されることもあった)そんな未知数の試験のために動かざるを得ない医学部のストレス・プレッシャーは相当のものであったでしょう。

USMLE概要⑩:ECFMGの2023年問題は2024年「頃」問題へ

現在JAMCEに認証を受けている医学部の数は?

ECFMGはその認証をWFMEという期間に委託しており、そのWFMEも直接日本の医学部を視察することは難しいため、JAMCEという日本の認証団体に実際に視察・認証を行っております。そして実際にJACMEが全国の医学部を視察しに回っているというのが現状であり、各大学の認証状況はJAMCEのHPで確認することが可能です。2023年1月現在では全82大学中67大学の認証が確認できます。

一般社団法人 日本医学教育評価機構
JACMEは我が国の医学教育の質を国際的見地から保証することによって、医学教育の充実・向上を図り、我が国の保健、医療、福祉、衛生、並びに国際保健に貢献するため、医学部・医科大学等における建学の理念を確認するとともに、世界医学教育連盟(WFME)の国際基準をふまえて医学教育プログラムを公平かつ適正に評価することを目的とし...

不正入試による認証取り消しや審議停止

それではどのような医学部が認証されるのか。認証条件を極めてシンプルに表現すると「ちゃんとした教育をしていること」です。読者の皆さんは少し前に話題になった「不正入試問題」を覚えていますか。2018年に東京医大の不正入試問題がニュースを賑わせていたことは記憶に新しいと思います。実は東京医大はどの大学よりも先にJACMEの認証を受けていましたが、この不正入試問題を理由に認証を取り消しされてしまいました。「不正入試をやっている=ちゃんとした教育をしていない」というレッテルを貼られてしまったのです。すると、当然の他の医学部の戦々恐々としてしまいました。

当然今回の件は氷山の一角であり、不正入試問題は日本の医学部の文化と言えるほど暗黙の了解として浸透していたのです。そういう背景もあり、そのような疑惑を持たれている大学(医学部)の学生・医師は「自分は受験資格があるのか」と心配し続けているのです。

JACMEのHPでは認証済みの大学しか確認できず、それ以外の大学の状況がわからないため、もし自大学が未認証の場合は学務課に問い合わせをするのもいいでしょう。

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質問コーナー⑲~医学部に差はあるか?①:国家試験の仕組みを添えて~

2023年問題による実習期間の延長

この認証問題は不正入試とは関係ないところでも医学部教育に大きな影響を与えました。医学生にとってクリティカルな問題はなんと言っても「実習時間の延長」でしょう。条件の一つとして「実習期間が72週以上であること」という条件が課されましたが、当時その条件をクリアしている医学部は殆どありませんでした(恐らく自治医大のみ)。

そこでどの医学部も実習期間の延長を図ろうとしましたが、そうなれば当然夏休みや教養期間などのそれ以外の時間が削られることになります。現在の医学部のタイトなスケジュールはこのようにして生まれました。個人的には人間の幅を広げる(可能性のある)教養まで削ってしまうのは、医学部の専門学校化をより促進してしまっているようでやや残念な気持ちです。STEP1を真似してCBTを導入し、STEP2CSを真似してOSCEを導入し、そして今度はECFMG様の命令に従う。ほんま日本はどこまでもアメリカの・・まぁいいや。(笑)

その後、各大学の努力の甲斐もあり多くの大学が徐々に認証されていきました。実際には殆どの大学が結局認証されていくと思いますし、そうでないと認証されていない大学は大きなイメージダウンを被ることになりかねません。また認証されなかったとしても再調査が可能なので諦める必要はありません。一方で7年毎に認証のし直しがあることも留意しておく必要があります。

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コロナの影響で「2024年問題」に

これまでに「2023年」問題と繰り返し言葉にしてきましたが、実際にはコロナの影響で施行が1年遅れて「2024年」問題になりました。2024年1月1日より施行とのことになっています。この記事を書いているのが2023年1月になるので、施行まで残り1年弱あります。未だに認証されていない大学の在学生や卒業生は、指をくわえて待つまたはそれまでに受験するしかないのでしょうか。

「2024年問題」の抜け道

いえ、実はそれ以外の抜け道があります。それは2024年までに「ECFMG ID作成すること」です。実はECFMGが認証大学の在学生・卒業生に認めていることは厳密の言うとアメリカの病院で医療をすることでも、USMLE受験をすることでもありません。それはECFMG Certificateの申請を行うことです。USMLE受験のプロセスにおいては、最初にこの取得申請があり、その後受験申込することが可能になります。従って、2024年1月1日になる前にこのプロセスさえ終えてしまえば、この問題に怯える必要はなくなります。今はまだすぐに受験する予定のない方でも、今後絶対に受験するという意志があるなら2023年中にECFMGのIDを作成して、オンライン公証を終えてしまうことを強くお勧めします。

また数年前にIDを作成して放置している方も今一度IDが有効かどうかを確認されたほうがいいです。改めてオンライン公証が必要な場合もあります。いずれにせよ一度公証まで終えておけば、ID自体が有効期限がないので好きなタイミングで受験できるようになります。

詳しい受験方法は是非僕の動画を参考にしてください。

医学部受験生へアドバイス

最後にこれから医学部を受験する方やその親御さんにもコメントをさせてください。これまでにやんや言うてきましたが、それほど過剰に気にされないでください。御覧のように大半の医学部が認証を受けており、また今後もその数は増えていくと予想されます。もちろん、認証されない大学も出てくるかもしれませんが、一方で合格した大学の認証が取り消しになったり、再認証の際に上手くいかないことも絶対に無いとは言えません。

アメリカでの臨床留学を最終目標地点と固く決めているのであれば、認証状況である程度受験校を絞るのもアリかもしれません。しかし、よほどの拘りが無い限りは、土地や、偏差値、受験科目などもっと他の要素で選んでいいと思います。結局、どこに行こうと日本の医学部は基本的にあなたの留学を応援してくれません。もちろん、そういう姿勢を見せる大学や一部の教員はいますが、医学部にとって何よりも重要なことは地域の臨床医の育成であったり、国家試験合格率であったりするため、結局CBTや国家試験、臨床実習を頑張らざるを得ないようなシステムが敷かれています。

どこにいってもUSMLE受験は孤独な闘いであり、自分自身で多くの壁を乗り越えていく必要があります。今は入学したい、または入学できる大学を目指してください。そして合格した際には、是非また僕のブログやYouTubeに帰ってきてください。

質問コーナー㉔~医学部受験面接ってどうしたらいい?~前編

まとめ

今回はUSMLEの受験資格と2023年問題(正確には2024年問題)について解説をしてみました。総じて述べてみると、僕としてはあまり心配するような問題ではないと思います。気になる方はすぐにIDだけでも作成してしまって、あとは目の前の勉強に集中してください。再度まとめると以下のようになります。

2023年以前:誰も受験可能
2024年以降:ECFMG(WFME→JACME)に認可された医学部の在学生・卒業生のみ受験可能(7年毎の認証が必要)
→未認証医学部でも2023年以前にECFMG IDを作成すれば受験可能

また新たな情報があれば更新していきます!それでは、しーや。

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