テーマ Pathwayは長く続かない
挨拶
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。USMLE受験生の皆さん頑張っていますか?全くの主観ですがUSMLE受験生はさらに増加傾向にある印象です。さて、そんな受験生の皆さん、もしかして受験手続に困っていないでしょうか。恐らく多くの方が頭を悩ませているのではないかと推察します。
そこで今回の記事では何故今多くの方がそのような手続きに頭を抱えているのか、という観点から「このECFMGのpathwayスタイルは長く続かないぞ」というお話しにまで展開してみようと思います。既に過去に「今ECFMGで起きていること」に関しては言及してきましたが、今回は改めてその事象を時系列で解説していきます。
↓ちなみに動画でも受験方法に関しては詳しく解説しているのでご覧ください。
コロナウイルス感染拡大によりCSが中止となる
ご存知の通りCSは密室で受験者とSPがキャッキャ(?)する試験形式でしたが、それが故に感染リスクが極めて高いと判断され2020年3月に開催中止となりました。USMLEのこの判断は相当迅速なものであり、さすがアメリカと言いたくなる一方で、「渡米中に開催中止になり帰国を余儀なくされる受験生が多発する」という残念極まりない結果になってしまいました。
一方日の出国では、大した感染対策もせずに従来通りの試験(国試やCBT)が継続実施されております。いや、しかしそろそろ紙ベースの試験スタイルやめんのかな?資源の無駄だし、なんか本当古典的だと思う。まぁ米国迎合スタイルは日本のお家芸なのでそろそろCBT化されるだろうけど。
話が逸れましたが、CSが中止となったわけです。
OETで代替される
CSが開催されないとなると、いつまで経ってもECFMG certificateを取得することができません。これは困った。そこで、OETというオーストラリア留学のための試験で代替することになりました。その際に生まれたのが所謂Pathwayになります。
世間がPathwayと呼んでいるものは、文字通り「道」のことを意味しますが、これは正確に言えば「ECFMG certificateを取得するための経路」と表現することができます。現在このPathwayは6つ用意されていますが、昨年は5つでした。(mini-CEXに関しては別記事でご紹介します)
かなり細かい話になってしまうので、詳細は割愛しますが、重要なポイントはどのpathwayでも「OETの合格が必須」であるということです。(これも絶対利権が絡んでいると思うけどまぁいいや笑)これにより、USMLE受験生はOETに合格しなければならなくなりました。
Pathwayに関する問い合わせが殺到
ここが話の肝となりますが。この前代未聞の経路を用意したことにより色々な綻びが生じます。公式ページを見ていただけると分かりますが、記載されている取得条件が複雑かつ、やや抽象的であり、それらをどのように解釈したらいいのか甚だ困ることになります。そこで、世界各国の受験者がこぞってECFMGに問い合わせをするようになり、ECFMGの業務量がパンクする事態に陥ってしまいました。
あらゆる受験手続に必要な期間が倍化
このパンクにより、あらゆる事務作業が滞りUSMLEの受験申請は完了までに約2倍の期間を要することになってしまいました。EMSWP加入かどうかによりその期間は前後しますが、最悪の場合Form183の受理に2~3カ月かかってしまっています。
このため多くの受験生が予定していた時期に受験できない、なんてことが起きてしまいました。
USMLE受験生からの問い合わせ殺到(笑)
となれば、USMLE受験生も「あれ申請してからもう2か月も経つのに一向に進まないぞ」と不安になり。ECFMGに「どうなってるんですか」と問い合わせをします。この負の連鎖によりECFMGはついに感情を露わにします。
まずメールを送っても自動返信メールが来る設定に変わりました。実際には届いていますが、とりあえず「今は無理です」と牽制しておく必要があったのでしょう。最近はその深刻さが増し、いよいよこのようなメールが送られてくるようになってしまいました。(メールの一部を抜粋)
We are experiencing a significant increase in demand for many of our services, especially those related to ECFMG Certification. As a result, we currently are exceeding our typical processing times for exam applications and credentials. In some cases, these requests may take six weeks or more to process.
If, after reviewing the preceding resources, you must contact us by e-mail, please do not send duplicate e-mails. Duplicate e-mails limit our ability to respond in a timely fashion.
あれ、これちょっと怒ってないか。(笑)恐らく、あまりにも手続きが進まないので受験生も何度も問い合わせを繰り返してしまっているのでしょう。こんな感じでECFMGはまさに「カオス」に陥っています。
これからどうなるECFMG
さてこれはECFMGの現状ですが、この状況から何が見えるか。それは「このPathwayは長く続かないだろう」ということです。システムを安定させる上では、継続性のあるものに設定する必要がありますが、問い合わせすら返ってこないこの状況ははっきり言って異常事態です。恐らく現場の方も経験したことないほどの業務量に追われており、相当ストレスフルな環境にいることでしょう。精神科医の僕は分かる。絶対に適応障害になった人がいて、さらに一人当たりの業務量が増えているんだと。
従って、この散々たる現状を知りつつ、我々は今どう立ち振る舞えばいいか熟慮する必要があります。一番のポイントはOETの代替は今年限り(または来年限り)かもしれないということでしょう。OETによるECFMG certificateのバーゲンセールはもう終わりだということです。来年以降のECFMG取得条件は一切に公開されておりません。そのため注視していくほかありませんが、全く違うスタイルになる可能性があることも考慮しなければならないということです。
僕は以前よりOETは長く続かないかもしれない、新たなCSが導入されるかもしれないと呟いてきました。その疑念が、このECFMGパンク事件によりさらに現実味を帯びてきた感じがします。
OETが簡単なのはいいことなのか?
やや話が逸れますが、CSに合格されて留学されている方からは「CSは辛い試験だったけど、最低でもCSに合格できるくらいの英語力が無いとかなり大変」とよく聞きます。つまり、OETに代替されてより多くの方が(期限付きの)certificateをゲットするチャンスが生まれたが、そのハードルが後ろに下がっただけということになります。
このような観点からも、感染リスクも低く、利便性の高い適正な難易度のバーチャル版新CSの導入が期待され、結果としてCertificateも再びpermanentなものに戻るのではないかと予想するわけです。
ECFMG取得にかかる費用の謎
ちなみに、CSは恐らくUSMLEの大きな収入源だったと愚考していますが、今は実はこのPathwayで賄っていると思われます。「仮の」certificate取得申請のためには一人当たり900ドル必要です。これは取得のためではなく、取得申請なので結果として条件を満たさなかった場合でも支払う必要があります。CS中止以前は合格すると特に手続きもなく無料でcertificateが発行されました。果たしてこの900ドルは何の費用何でしょうか。CSの受験料は約1500ドルですがこれには会場維持費や人件費(SPは役者なのだ)も多く含まれていたと思います。今はそれらが大きく排除されても尚900ドルです。
さらにこれは期限付きであるため、今年マッチしなかった場合はまた申請する必要があります。つまり門戸を広くする(=OETにする)ことで、申請者のマスを増やそうとしているとも考えられます。邪推かもしれませんが。。。
しかし、その結果陥ったのは「問い合わせ地獄」でした。ちゃんちゃん。最初から入り口を狭めておけばいいのよ。
てなわけで、何か動きがあるという前提で準備しておきましょう。今渡米可能なら早くOETを受けるべきだし、もしすぐにいけないなら準備すべきはOETではなく基礎英語力の向上でしょう。
それではまた。しーや。
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