医学部の歩き方 1限目:多様化する医師のキャリア~アメリカ行く?カフェで仕事する?~

USMLE講演会三重大学医師医学生の教養

医学部の歩き方 1限目:多様化する医師のキャリア~アメリカ行く?カフェで仕事する?~

オリエンテーション

ハイ!ナイストゥミーチュー!医学部に入学したばかりの皆さん、おめでとうございます!きっと新生活に胸を弾ませていることでしょう。僕は米国医師国家試験(USMLE)のコンサルタントをしているセザキングと申します。

Dr.セザキング(瀬嵜 智之)
USMLEコンサルタント・合同会社U-Consultant代表
精神保健指定医
国立国際医療研究センター病院や亀田総合病院などの有名病院に精神科医として勤務。その後、日本人の臨床留学の夢を叶えるべく、一念発起しUSMLEコンサルタントとして独立・起業。YouTubeやTwitterなどを通じて精力的に情報発信をしている。著書「Dr.セザキング直伝!最強の医学英語学習メソッド」医学書院はAmazonでベストセラー1位を記録。

この記事では「お節介にも」医学部の新入生(または在学生)向けに医師・医学部の教養に関する講義をしようと思います。全6時限で構成していきます。

これから医学生になる皆様は

「他の大学ってどうなってるんだろう?」
「研修医の就職ってどうなってるの?」
「勉強ってどこまで大事なの?」
「部活って入るべきなの?」
「医師ってどんな働き方があるの?」

そんな疑問を抱えているのではないでしょうか?医学部入学後の世界は長く、そして奥深い、なのにそれを知る機会が与えられないのが現状です。むしろ一方的な偏った情報のみ与えられているかもしれません。

僕は10年以上前よりUSMLEコンサルタントとしての活動を続けてきましたが、その中で4桁人数以上の方の心の内に触れてきました。USMLEや留学に関することは当然のこと、それ以外にも各大学の違いや、医学生のリアルな悩み、時には医局の内部事情等、あらゆる「生の情報」が僕のもとに届きます。そんな内部に精通する自分だからこそ世の中に伝えられるものがあるのではないかと思うようになったのです。(最近自分の仕事は「人生相談」と答えています笑)

この記事では「自分が新入生の頃にこんなこと知っていたら良かったかもな」と思えることを散文的に綴っていこうと思います。多分に個人的見解を含みますし、科学的とも言えない内容もあるかもしれません。ただ、そうであっても誰よりも相談に乗ってきたという経験があり、そして自分独自の道を切り開いてきた自信があります。他では中々聞けない話もあるかと思うので、是非楽しみながら読んでもらえると嬉しいです。一限目は「医師のキャリア」について語ります。

以下が本講義のカリキュラムです。少しずつ書き上げていくので是非お付き合いください。

1限目:多様化する医師のキャリア~アメリカ行く?カフェで仕事する?~
2限目:医学部の違い~情報は山を越えない~
3限目:留学の種類~研究と臨床、あと大学院~
4限目:医学部の部活~もはや宗教の世界~
5限目:いかに勉強と向き合うか~大学が命をかけるCBT~
6限目:偏差値至上主義から抜け出せ

↓えーい!そんなことより留学したいんだ!USMLEについて教えてくれ!って方はこちらから

Error Page

USMLE STEP1対策・勉強法のまとめ~2024/8/29更新~

↓いずれ出版するつもりで書いているので是非うちで!という出版社がいましたらここからお問い合わせください(笑)

お問い合わせ

有名病院にいけば幸せ?

今は合同会社U-Consultantの代表として活動しておりますが、以前は大病院に勤める精神科医でした。そんな僕はカフェを巡りながら仕事をするという以前では考えられなかった生活を送っています。(記事書いたり、資料作ったり、相談にのったりしてるのです。フラペチーノを作ってるのではない。)

「医者で本当にそんな仕事をしている人がいるの?」

と思うのが当然の疑問でしょう。実は医師のキャリアは思っている以上に幅広いのですが、医学部入学後の世界は表層からではその深淵を覗くことができません。人によっては医師になっても気が付かない世界線もあるでしょう。僕自身も山形大学在学時には医師の仕事は臨床医と研究医しか知りませんでした。

前置きしておきますが、この記事ではお医者さんの仕事の内容に優劣をつける意図は毛頭ありません。職業に貴賎なしです。この記事の狙いは「選択肢が沢山あることを知ってもらう」ことにあります。どんな仕事内容を選択しても自分が納得できればいいと思いますが、同じ選択肢を選ぶにしても、1個しかないところから1つ選ぶのと、10個をしっかり吟味して選択するのでは意味合いが全く異なります。

僕も学生時代は医師としてのキャリアに色んな疑問を持ちつつも、「良い病院」で働ければ充実した医師ライフが送れると思っていました(いや思い込んでいたのかも)。しかし、実際にあるブランド病院で働いている時にふと思ったのです。

「あれ、みんな疲れて見えるけど本当に幸せなのだろうか」

もちろん他人の心中は計り知れません。しかし、「偏差値が高ければ、いい大学にいけば、ブランド病院に行けば、幸せなれる!ってのは違うのかも」と疑問が強まる一方でした。

一方で地方の病院に研修に行ったときのことです。そこに最新の医療はないかもしれません。しかし、昼休みには将棋大会で盛り上がる医局、終業後は草野球、そして自宅に集まって飲み会、みんな楽しそうでした。もちろん皆真面目に仕事をします。なんだか田舎の方が医療者と患者の関係も温かいのに見えました。実際の幸福度を他者が知る術もありません。ただ、医学部入学前に医師になる前に描いていた幸福な医師像と現実は乖離があるのかもしれないと思ったのです。

ネガティブなところばかりに書いてしまいましたが、本当に楽しそうに仕事をしているお医者さんももちろん沢山いらっしゃいます。ここで改めて伝えたいことは、今の内から様々な医師のキャリア(ロールモデル)について知り、そして「自分はどんな医者になりたいのだろうか?」と想像し、悔いのない選択をしてほしいということです。

皆さんが想像している以上にあなたのキャリアは可能性で溢れ、将来様々な分野で活躍することができます。是非、様々な選択肢を知って頂き、これからの医学部生活を今以上にワクワクして過ごしてほしいと思います。

こんなにあるの?医師の仕事のメニュー

では具体的に医師にはどんな仕事があるのか、僕が実際に知り得たものをご紹介します。

臨床医(病院・開業)

大半のお医者さんはここに属します。僕自身も合計7年間は臨床医として働き、今も週に半日だけ精神科医として外来を続けています。

臨床医の働き方も多様です。大学病院に所属する人、市中病院で働く人、開業する人、海外で働く人。「臨床医」一つ取っても解像度を高めれば様々な働き方が見えてきます。

ここで個人的に一つだけ強調しておきたいのが「必ず初期研修を終えましょう」ということです。初期研修を修了して保険医となってから、ようやく本来の医師としての医療行為が可能となります。もはや医学部は実質8年間だとも言えます。実は自由診療であっても保険医であることが求められる可能性があるのです。法律的に問題がなくても、雇用側がリスクヘッジのために保険医を優先的に雇用するケースを見てきました。(逆に保険医でない人が解雇される)どんなに辛くとも2年間の研修生活を修了することをオススメします。

最近では初期研修後に直接美容系クリニックに進む「直美」も耳にするようになりました。保険診療と異なり実力主義の側面が強く、輝かしいインフルエンサーの裏では辛酸をなめている方も沢山いるはずです。どの業界でも光と陰はセットです。

海外で臨床するという選択肢もあります。このブログではアメリカでの臨床留学を達成するためのUSMLE情報をメインで発信しています。

研究医(大学・企業)

医師と研究は切っても切れない関係で、多くの医師はキャリアのどこかで研究に従事します。一般的には専門研修後に大学院に進み学位(博士)を得るというパターンです。

研究留学する医師もいますが、金銭的な問題を抱えやすい現状があります。学位がない場合(特に初年度)は無給になることもあり、貯金を切り崩すことになります。ただし奨学金や競争的資金(JSPS海外特別研究員、各種民間財団など)を獲得することで解決できるケースもあります。きれいごとではなく、経済的な理由でキャリアの選択肢が狭まってしまう可能性があることを知っておいてください。

臨床留学において実は学位は非常に重要です。特にフェロー(専門研修)になる際に学位や専門医が重要になることが多く、アメリカからすると日本人医師の技量を正確に判断するのが難しいため、学位や専門医のような外面的なもので質を担保することになります。実際に「学位を取ったら相手の対応が全然違った」という声も聞きます。

産業医

産業医は企業に所属し、従業員の健康管理や作業環境管理などを行います。基本的に企業に常駐する専属産業医と非常勤の嘱託産業医に分類されます。嘱託産業医は月に数回の勤務で掛け持ちが可能なため、勤務医として働きながら産業医を兼業する方も増えています。

最近の産業医人気は目覚ましく、研修会の150名の枠が開始2分以内に埋まるほどです。「病院以外で働きたい」という医師の願望を表すものの一つではないかと思います。

行政医・官公庁

厚生労働省には「医系技官」という役職があり、「現場」ではなく「制度」から人々の健康を守ることが使命です。制度や政策に興味のある方にとっては非常に魅力的な選択肢です。当サロンにも厚労省での勤務経験のある方や、公衆衛生大学院留学後に外務省に入省された方がいます。

製薬企業・医療機器関連

患者一人ではなく社会全体に影響を与えられる点、英語力や国際経験を活かせる機会が多い点が魅力です。ライフワークバランスが良いため、夜勤が難しい境遇の方にも向いています。AI開発も医師の視点が必須な分野として注目されています。

医学教育(国家試験予備校講師・大学講師)

実は僕も以前、医師国家試験予備校で精神科の講義を担当していました。予備校講師と聞くと大学受験のイメージが強いかもしれませんが、医学部入学後には医師国家試験予備校にお世話になる方も多いはずです。

専業の予備校講師として働く医師は両手で数えるほどしかいませんが、家庭教師や非常勤講師として関わる医師はもっと沢山います。医師・医学生の教育は同じ医師・医学生にしかできない仕事です。国家試験を突破した経験と医療の知識、両方を持っているからこそできる社会貢献の一つだと思っています。

法医学

医師の中には法医学の道に進む方もいます。遺体の解剖や死因究明、法廷での証言など、医学と法律が交わる特殊な分野です。臨床の現場とは全く異なる世界ですが、社会正義に貢献するという意味では非常にやりがいのある仕事です。以前、僕のYouTubeチャンネルの「医者図鑑」シリーズで法医学の先生にお話を伺いました。興味のある方はぜひご覧ください。

https://youtu.be/zFNW4WXE8R8

オンライン医療相談

最近では、海外在住の日本人向けにオンラインで医療相談を提供するサービスも増えています。YOKUMIRUはその一つで、海外在住の日本人が日本人医師にビデオ通話で相談できるサービスです。300人以上の医師が登録しており、場所を選ばず自分のペースで働けるという点で、新しい形の医師の働き方として注目されています。臨床留学を目指しながら副業として携わる医師もいます。

https://yokumiru.jp/

起業

医師も起業して社長になることができます。手続き自体はそれほど難しくなく、自分の商品・コンテンツさえあれば意外と簡単に自分の会社を持てます。

僕は数年前に精神科常勤を辞めて起業し、現在6年が経ちました。USMLEコンサルタントとしての活動から始まり、今では人材紹介業、動画販売、キャリアコンサルトなど活動の幅が広がっています。

知り合いにはラーメン屋に挑戦した方も、元病理医でアイスクリーム屋さんをやっている親友もいます。医師はバイトすれば食いっぱぐれることがほぼないため、むしろ様々なことに挑戦しやすい職業と言えます。

USMLEコンサルタントなんて仕事はもともと存在しませんでした。しかし様々な相談を受けていくうちにそれが仕事になっていったのです。

↓長崎に行ったら是非アイス食べてみてね!

長崎アイス Dr.+Gelato

最後に

最近、自分の仕事は何かと聞かれると「人生相談」と答えています。実はサロンに来る相談の半分はUSMLEとは直接関係のない、「このまま病院で働き続けていいのか」「医師として何がしたいのかわからない」といった声です。

医師というキャリアを選んだ皆さんには、それだけの可能性があります。臨床医として患者さんと向き合うことも、研究で未来の医療を作ることも、海外で活躍することも、全く新しい仕事を作り出すことも、全部選択肢の一つです。

大事なのは「どんな角度で社会に貢献するか」「何をすることで充実を感じるか」を自分で決めることだと思っています。

色んな選択肢を知った上で、自分が納得できる道を選んでください。

それではまた、しーや。

↓佐賀県のグローバルコースや稚内病院の広報活動など、USMLE学習や留学に関するプログラムや人事に関するコンサルトもおこなっています。ご興味のある方はお問い合わせフォームより連絡宜しくお願い致します。(個別相談に乗ることはできないのでその点はご了承ください)

お問い合わせ

スポンサーリンク

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました