フェローマッチ報告①〜40歳外科部長の挑戦〜

合格報告コラム

フェローマッチ報告①~40歳外科部長の挑戦~

まえがき

ハイ!ナイストゥーミーチュー!セザキングです。超久々の更新です。遅れてしまって申し訳ない。(毎回謝っている気がするがw)表面には見えていないと思いますが色々とやっております。今回の記事では、セザキング主催のオンラインサロンSMCのメンバーが見事移植外科フェローにマッチされたため、その体験談をご紹介させて頂ければと思っております。

この体験談で何よりも刮目すべきポイントは「40歳を超えてからの臨床留学への挑戦」です。これまでにブログでも当サロンのUSMLEの合格実績は何度か紹介させて頂きましたが、サロン開始から早3年以上も経過しており、合格のみならず様々なマッチ報告も頂くようになりました。しかし、本ケースは入会後から勉強を本格的に開始し、見事マッチされたという完全ゼロからのスタートという初のケースになります。

最近の傾向として、専門医取得後に留学を目指す方が増えてきている印象を受けます。(データがあるわけではないが、少なくともサロンメンバーは学生:医師の比率が3年間で8:2から5:5に変化している)おそらく世間でも似たような傾向があるのではないでしょうか。Old IMGが臨床留学を志す理由は様々であり(その理由を本記事では考察しませんが)一般的に卒後年数が経過すればするほど腰は重たくなっていくはずです。

結婚し、子供が産まれ、家を建て、家族に介護が必要となり、自分の健康問題に不安を感じるようになり、そして職場では重要な役職に就いてしまう。変化することに徐々に抵抗を感じるようになっていくはずです。それでも挑戦する方がいる。そんな方々に勇気と希望を持ってほしいと思い、今回体験談の寄稿をお願いさせて頂きました。挑戦することに躊躇っている方には是非ご一読して頂ければと思います。尚、ブログに転載するに当たり個人を特定できてしまうような内容はこちらの判断で改編させて頂いております。以下

オンラインサロンは質の向上のため定員を設けることにしました。詳しくは本文最後をご覧ください。

Sezaking Medical College(オンラインサロン)への入学案内~2024年11月11日受付再開します~
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40歳から臨床留学への挑戦

挨拶

43歳にして初めて、腹部移植外科クリニカルフェローとしてアメリカで臨床医を開始することになりました。40歳までの私は、3年後に異国の地でこのようなことになろうとは全く予想していませんでした。医師になってからずっと日本の市中病院で外科医として患者の手術に明け暮れ、外科部長としてそれなりに充実した日々を送っていました。一般的にはそろそろ将来のすがたも予想できるようになってきて、身の振りかたを考えながら残りの人生プランを立てて行く時期だったと思います。しかし医師になって10年以上が過ぎ、できることならもう一度新しいことに挑戦してみたい。そう一念発起して2021年から本格的にゼロから臨床留学を目指し、2年半で臨床開始の目処が立つところまで来ました。

臨床留学を志す動機やそのプロセスは人それぞれだと思います。私もこの過程でいろいろ思うことや紆余曲折がありました。この2年半の中で私の中で重要であったなと思うポイントがいくつかあるのでここで共有してみたいと思います。いま臨床留学の準備をしている方やまだ準備はしてないけど興味がある方、そして留学に限らず、これから新しいことに挑戦したいと思っている方に届けば幸いです。

→以前にTwitterで呟いた記憶がありますが、医師10〜15年目はキャリアを大きく変化させる最後のチャンスではないかと思っています。もちろん何歳になっても変化を起こすことはできますが、この卒後10年目というのは多くの医師にとって転機となりやすいのです。寄稿文にもあるようにこの時期はよくも悪くも「将来がぼんやり見えてきてしまう」時期なのです。医学生であれば想像してほしいし、医師であれば振り返ってみてほしいのですが、大学を卒業し研修医になった頃はどんな気持ちだったでしょうか。きっと期待と不安が混在し、日々生き抜くことに必死だったでしょう。その時点では「正解」など分かりっこないので、自分の所作を深く洞察する余裕もなかったのかもしれません。医学生は大学3、4年生にもなると「CBTでいい点数を取れ」と言われ、その後「国試に合格すること」「研修に慣れること」「後期研修医として日々生き抜くこと」を疑いもなく目指し、そして「専門医を取らないといけない」という価値観を刷り込まれてきたはずです。

さて、卒後6.7年が経過し専門医取得はもう目前です。後輩達も出来て、一番の下っ端ではなくなってしまいました。ふと余裕ができた時に初めてこれまでの医師としての人生を中間決算することになります。そこで自分のキャリアに心から満足できるのであれば何の問題もありません。100点です。ですが、ここで一定数の方がこのまま敷かれたキャリアを歩むことに不安を感じるようになり、そして中には海外に想いを馳せるのです。

「将来が見えてしまうこと」に対する反応はおそらく個々人によって大きく異なるでしょう。むしろ安心する方の方が多いかも知れません。しかし、少なくとも僕を含めて「将来の安定」を嫌う人もいるのです。僕は精神科の常勤医として働いている時に、その20−30年後の将来像がはっきりと見えたのです。何なら「死」までが一本道で見えた気すらしたのです。それが起業して先の全く見えないコンサルトを始めた理由の一つでもあります。全く同じとまでは言わずとも、似たような気持ちの方もいるのではないでしょうか。もしかしたら本心は変化を望んでいるのかも知れません。

ECFMG

言い訳はいくらでもできる 言い訳しない環境作りを 

最初に臨床留学を意識したのは40歳を過ぎてからでしたが、当然ながら当初の実現可能性はかなり自信がありませんでした。というか、かなり悲観的でした。英語は受験英語しか知らず、今までUSMLEについて勉強したこともない私が今からできるだろうか。何年も前に渡米して成功している仲のいい友人に相談した時も、「お前なら頑張れば大丈夫だと思うけど、はっきり言ってお勧めしない」と言われました。しかも部長職を離れると言うことは、周囲からもあまり積極的に賛同されないだろうと予想されました。そんな状況だったので、当初は細々とコソコソと対策を始めましたが、やはり思うように進みません。その時にSMCの存在を知り、当初は匿名希望で参加し始めました。おかげでUSMLEの大まかな概要はつかめてきたのですが、やはりブーストされない。そこで瀬嵜先生に「名前を出して仲間を集めましょう」と言われて最初は気乗りしなかったのですが、いざ仲間と一緒に勉強会をやってみるとこれがかなり効果的でした。同じ目的を持った仲間がいるということでお互いが刺激しあい、監視しあうことができる。そして何より、自身のゴールを口にだす機会を作ることで自分の中での意識が大きく変わる。単なる希望であったものが明確な目標に変わり、より解像度が高く自分の意識に刷り込まれていく感覚がありました。この点、瀬嵜先生に感謝しても仕切れません。

→基本的なスタンスとして「勉強仲間を作ること」を推奨していますが、正直ケースバイケースでもあります。何故なら、万人に共通する勉強方法の正解は存在せず、結局各人が自分にとっての正解を探す他ないからです。そのため一人で勉強したほうが良い人もいれば、一緒に勉強することで成長する方もいます。また勉強仲間の「質」も非常に大事です。モチベーション、性格、バックグラウンド等が違い過ぎるとむしろ不協和音が生まれてしまいます。ここはコンサルタントの腕の見せ所で、勉強仲間のマッチングを行っていきます。烏合の衆では1足す1はマイナスにもなり得るのです。

少数ではありますが一人で突き進むことができる人もいます。むしろ成功者の中にはそういう人が沢山います。私見ですが、そのような方は相当な能力の持ち主です。突き抜けて能力が高い故に、連まないというよりも連む理由がないのです。臨床留学される方の一定数は、医学部という精鋭の中でもさらに精鋭部隊であり、みたものを瞬間的に記憶してしまうような人もいます。「一緒に勉強するとむしろ周りの人に煙たがれる」と発言する人もいました。ただし、大半はそうではありません。独学では限界を感じる方は勉強仲間を探してみて下さい。その際には先述の「質」が大事となることを忘れないでください。また誰とでもすぐに繋がれるこのご時世で「仲間が見つからない」というのは言い訳になりません。そのような良縁を辿るのも各人に求められる能力の一つに過ぎません。

そしてその頃から、周囲にも私の目標を明確に伝えるようにしました。予想通り、最初は「なんで今更そんなことを?」「もの好きな。。」的な反応が多かったのですが、徐々に「まぁできるものなら頑張れば?」的な反応に変わっていくのを感じました。これは周囲が変わったのではなく、自分の意識が変わったのだと思います。言霊です。言葉にすることで実現可能性が格段に上がるのは、周囲が応援してくれるからというよりも、自分の中でハラが据わるからでしょう。結局、試験なんて自分が覚悟を決めて取り組むかどうか次第。他人には関係ないのですから。

→「周囲に宣言すること」の重要性は以前より何度も説いてきました。これにも様々な効果があります。退路を断つこと、協力を得ること、そして確かに言霊の力もあります。成功者ほど目標を明確に口にします。誰にも言わずに孤軍奮闘で頑張っている方も沢山いるのではないでしょうか。「うまくいかない」と感じる方は言霊に頼ってみるのもいいかもしれません。

同時に、家族のサポートは絶対必要です。そのために、家族にもメリットのある留学でないといけません。子供の英語教育や自然豊かな環境など、家族がみんなで留学に対してプラス要素を感じられるようにゆっくり時間をかけて話し合うことは非常に大事でした。そして、家族が留学にメリットを感じてしまってからは逆にもう後には引けません。その時点で、留学は家族のためにもなんとしても実現しないといけない目標に変わるのです。

→これは最近Twitterでも話題になっているテーマかもしれません。家族問題に関してはまた別記事で取り上げたいと思っておりますが、社会人が留学を目指す場合に切っても切れない問題が「嫁(旦那)」と「金」です。最近ではUSMLEというよりも、その周辺の家族問題や経済問題の相談を受けることが増えてきました。家族問題に関しては家族からのサポートはもちろん重要なのですが、当初は賛成していても時間経過と共に反対するようになっていくことが頻繁に見られます。なるべく周囲に理解を求め、可能な限り具体的なスケジュールを提案し不安を取り除いていく必要があります。

いろんな方法で自分の夢をみんなで共有し、言い訳のできない環境を作りつつ実現可能性を高めていくことが成功への近道だと痛感しました。その意味で、SMCはとても大きな役割を果たしてくれたと実感しています。

→ありがとうございます。このような素敵な方がより素敵になれるような環境を作り上げていきたいです。

鈍感力 情報の遮断で選択と集中

私はどちらかといえばスマートではないし情報処理能力も高くありません。容量も悪いしひとつのことを完遂するのに結構時間がかかります。そもそもそんなに優秀ならもっと早く留学していたはずです。そして実際に留学においては情報戦がすごく大事だと実感することも多いです(とくに就職活動において、いろんなプログラムの情報を詳細に入手することはとても重要です)。しかし私の場合、鈍牛の如くでスピーディな情報処理が苦手で、限られた情報をゆっくり吟味して一回忘れて次に思い出した時にやっと行動に移すくらいの感じがほとんどでした。

それでも留学を目指し始めた時はいろいろ情報を集めました。いろんな人に話も聞いたしブログを読みあさったりも。しかしだいたいインプットが終わった頃から、「これは思ったより大変そうだな」「留学したいと言っている人の中でも実際に実現した人は限られた人だけだな」「でも必要なことはコレとコレだな」という概要がつかめてきます。そこからは今度はやはり情報の遮断を心がけました。そもそも錆びついた脳みそを酷使して試験勉強するというネガティブになりがちな環境で、情報処理が的確にできて賢く先が見通せてしまうと、コスパの悪いこの挑戦は続けられなかったと思います。どうせやると決めたのだから都合の悪い情報はシャットアウト、鈍感力でやるべきことをゆっくりそしてつまずきながらもだけど歩みを止めない。Step1は2回受けたしOETも8回受けたけどでも前進。Pass or failだけだろうが点数が出ようが関係ない。結果が出た日に次の試験を申し込むことを2年間繰り返して気がついたらここまで辿り着きました。

この「情報の遮断」は素晴らしい戦略の一つだと思います。人は楽したい生き物なので、より効率良い方法を探し求めるものです。しかし、ここに罠が潜んでいることも多いのです。例えばネットサーフィンをすれば、STEP1受験において「UWのみで合格する方法」を見かけることがあります。確かに理論上は最重要問題集であるUWのみで合格できれば最も効率的ですが、この理想論を完遂できる人は多くありません。端的に言えば相当な学力(高IQ)でないと難しいです。経験的にこれを可能にするポテンシャルがある方は2割くらいでしょうか。大半の方にとっては難し過ぎて消化不良になってしまい、むしろ非効率的になるか、諦めてしまうことでしょう。非効率に感じるかもしれませんが、基本的にはRx→UWの流れで解き進め、かつFAを利用した勉強が多くの方にとってベストだと思います。

そもそも本当に重要な情報はネットには落ちていません。社長がゴルフに行く理由をしっていますか?それはそこでしか得られない情報、築けない関係性があるからです。情報は殆どの方が知らないものほど価値があります。「簡単に留学できる方法」がネット上に落ちているはずがないのです。

ちなみにOETの正攻法は「合格するまでひたすら受け続けること」です。英語力が飛びぬけている方を除いて、多くの方がリスニングで苦しみます。もちろん対策も必要ですが、運の要素も大きいため準備をすれば確実に受かるというものでもありません。そこで落ちたら申し込むという乱れうち戦略が最近の主流となっています。「そんなお金はない?」。(少なくとも社会人にとって)資金調達力も本人の能力そのものなのです。

このやり方が正しいかどうかはわかりません。私がもう少しスマートだったら、不合格だったときにちょっと立ち止まって試験勉強の方法を変えたり、次の試験を申し込む前にもう少し情報集めて対策を練りなおしたりしたと思います。そもそもギリギリで受かるような状況では受験したりしないでしょう。しかし賢さや容量よりも、愚直に「やり切るチカラ」で乗り切るしかないと思っていました。結局、この試験は自分との戦いであることが多いので、立ち止まってあれこれ考えるよりやり切るチカラがあるかどうかだけ。この愚鈍さが、孤独な戦いの時間が多いUSMLEにおいての最も大事な要素のうちのひとつだったかもしれません。

→辞める言い訳はいつでも見つけることができます。成功する方はそれこそ愚鈍にやり切る力があるのです。もちろんモチベーションは変動しますし、有限でもあります。しかし、周囲に公言する等して退路を断ち自ら継続せざるを得ない状況に持ち込めた人が最後は勝つのです。

USMLE STEP1対策・勉強法のまとめ~2023/4/27更新~

今の自分を後進に譲って軽やかにステージを変える 

私は控えめにいっても、日本で仕事に関して非常に恵まれた環境にありました。手術は初期の段階から多くの執刀ができたし、多くの外科医から手技を学ぶ機会にも恵まれました。血液透析のバスキュラーアクセスに関しては手術そのものだけでなく地域連携を強化して件数を増やし、地域全体のクオリティを上げることにも貢献できました。院内で腎移植を立ち上げるにあたっても各方面から多大な協力をいただいてかなり成功したと思います。さらにはアフリカで腎移植手術を指導しに行ったりもしました。本当に貴重な経験をたくさんさせていただきました。

しかし実は私は基本的にはサボりたいのです。新しいことにチャレンジすることは好きなのですが、それがある程度軌道に乗って大きなエフォートを割かなくてもよくなれば、できるだけラクしたい。今まで自分がやっていたことを、他の人にもできるようになってもらって極力かわりにやってもらいたい。怠けたいと同時に執着も少ないのだと思います。腎移植立ち上げに至っては何年もかなりの労力を割きましたが、後半はできるだけ若いひとたちにバトンタッチしようと心がけました。

→ここも超重要です。お医者さんになってからの挑戦は常に時間との闘いになります。どれほどやる気があっても忙しすぎては絶対に勉強も留学準備もできません。従って、時間を作る工夫が必要となるのですが、仕事を抱え込まずに他者に分散する方法は非常に妥当と言えます。人によっては大胆にも職場を変えてしまう方もいます。

しかし怠惰なはずなのに、余力ができるとまた新しいことに挑戦したくなってしまします。これは自分としてはとても残念な性格だなと思うのですが、おかげで今こうして新しいステップに立てているとも言えます。皮肉にも、サボりたいために今まで自分がやってきたことを自分以外にもできるようにすることで新しいことに挑戦してしまいます。それによってどんどん自分は違うステージに行けるし後進に道を譲れる。結果的に余ったエフォートで新しいことにチャレンジする環境がいつもできあがっているのだと思います。

留学に際して問題になりがちなのは、日本で積み上げた実績を捨てなければいけないサンクコストとして語られることも多いと思います。しかし私のこれは少し違う気がする。自分がやってきたことを捨てるのではなく、自分の手から離すことでフリーな状況を作るのです。実際、私が日本でやってきたことは、若い人たちが周囲の協力を得ながら引き継いでさらに大きく育ててくれています。特に私のようにある程度の仕事をしてから渡米する人間にとっては、この考え方は軽やかにステージを変えるのに非常に役に立ったと思います。

→非常に同感です。何かを得るためには何かを手放さなければならない。世の常だと思います。リスクを取らずに挑戦などできません。僕自身も自分の時間を可能な限り自由に使うために「安定しているがそんなに好きじゃない仕事」をどんどん削ってきました。

運を掴むのはきちんと準備をしたものだけである

これは実際の渡米の話ですが、チャンスはだいたい唐突に訪れます。私は臨床を始める前にリサーチフェローとして渡米しました。このリサーチフェローの話も、「数ヶ月以内に渡米できますか」でした。実際にはビザの手続きが少し長引いて半年ほどかかったのですが、臨床に入る前に渡米できたことはとてもプラスでした。もしあの時にYesと言えなかったら今の状況はなかったと思うと本当に運とタイミングは大事だなと思います。そしてその運を掴むために粛々と準備をすることも。普段から家族と話をし、職場とも話をし、自分の希望を言葉にして伝えておかないと、チャンスが来た時に慌てて根回ししても遅いです。そして準備ができていないとチャンスが来づらいしそもそも来たとしてもそのチャンスに気づかないことも多いと感じます。

私は子供の中学受験のタイミングなどもあって、行くならできるだけ早く行きたいと考えていました。ちょうどCOVID19が猛威を振るっていた時期だったので、長期になりそうな仕事は穴を空けると迷惑がかかるので極力避け、院内にあった大規模なCOVID19臨時病棟でシフト制の診療に携わりタイミングを待地ました。リサーチでの話をいただいた時点ではStepは一つもクリアしていなかったのでその点では全く準備できていたとは言えませんが、フットワークだけは軽くしていたことは功を奏したと言えるでしょう。

なかなか具体的な話が出るまでは準備は難しいものですが、いつ呼ばれてもいいように心構えだけでもしっかり持っておくことです。私のようにそのために環境を変えて待つというのはリスクも高いですが、そのリスクを取れるかがどれだけ真剣に留学を考えているかを反映しているようにも思います。そして最低限の条件(治安、給料など)は普段から家族で話し合い、もしチャンスが来たら不確定要素(業務内容、勤務形態、業績など)があっても最低限の条件をクリアしていればYesと即答するくらいのつもりでいることが可能性を大きく広げると思います。チャンスの神様に後ろ髪はありません。

→以前にどこかでこんな話をしました。ある外科医局での出来事です。

「○○がクリニカルフェローの受け入れをしてるんだけど、確かお前STEP1には合格しているよな?」「いえ、、、学生時代にやっていたのですが、その時点では留学する気がなかったのでやめてしまいました・・・でも、いまからやります・・・!」

神様はどこかにいってしまいました。

最後に

これら4点が、この2年半のあいだに実感痛感したことです。私は幸いにも今回臨床フェローのポジションを得ることができましたが、これはまだはじめの一歩にすぎません。勝負はこれからです。初心に帰って頑張りたいと思っています。

しかし以上で述べた点は留学に限らずどんなことにも応用可能な重要な点ではないかと思います。留学に挑戦し始めた頃はこのような思考の整理はできていませんでした。これらはこの2年半のあいだにSMCの仲間と語りあいながら自分を見つめ直すことで醸成されたものです。SMCはこれからも新しいことに挑戦する人をいろんな面でサポートするチームであってほしいと願っています。

→体験記の寄稿、本当にありがとうございました。ここでは体験記を匿名で公開しておりますが、グループ内では積極的に情報をシェアして頂き大変助かっております。

まとめ

最後に4つの要素を改めて振り返ってみましょう。
言い訳はいくらでもでき 言い訳しない環境作り
鈍感力 情報の遮断で選択と集中
今の自分を後進に譲って軽やかにステージを変える 
④運を掴むのはきちんと準備をしたものだけである

これが40歳の外科部長がクリニカルフェローのポジションを得るまでの3年という年月を経て見出した成功の要素になります。読者の皆様はどこまでこれらの要素を満たしているでしょうか。成功の秘訣はこれに限りませんが、少なくとも参考にする価値に溢れた金言であることには間違いないでしょう。

僕はこれまでにUSMLEコンサルタントとして数百人、もしかしたら1000人以上の受験生と関わってきましたが、成功する人にはある共通点があるように感じています。それは本文でも挙げられている通り「継続力」というところに集約されます。その要素は上記の4つのようなものに還元されるのかもしれません。

昔こんな話を聞きました。あるOld IMGがレジデントになったそうです。その方は(確か)イラン人でなんと御年50を超え、母国では開業されていたそうな。50歳を超え、生まれ育ち開業までしたイランを飛び立ちレジデントになったんです。

その方が言いました
「It’s never too late.」

年齢・卒後年数・環境を言い訳に挑戦することを避けていませんか?僕は決して臨床留学を勧める立場ではありません。しかし、自分の本心と向き合い挑戦を避けていると将来後悔する方が沢山いることだけはよく知っている身です

では、また次のマッチ報告でお会いしましょう。しーや。

「言い訳できない環境」を求める方はこちらへ
(2023年8月17日現在171名の方が在籍していますが、その内ECFMG取得者が41人のため受験生は130名になります。メンバーの質と提供できる時間・質を保つために受験生の定員150名(残り20枠)を設けることにしました。定員に達した後は空きが出るまでメンバーの紹介以外は一切受け付けることができませんのでご了承ください)

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高校時代英語偏差値30台だったのに、USMLE(米国医師国家試験)で最高スコア!?精神科医かつUSMLEコンサルタントであるDr.セザキングが最高の医学生と医学書を作るチャンネルです「なんかとってもエリートそう!」という印象とは裏腹に、医者とは思えないほど自由に生きているセザキングが色々な情報を楽しくお届けします!主な...

 

 

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