合格報告㉚~STEP1:和医大6年の崎山君が244で合格!~前編

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USMLE STEP1 合格体験記 和歌山県立医科大学6年 崎山智基

挨拶:和医大の講演会を振り返る

ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。久々の合格体験記です。今回もまた和歌山県立医大です。和医大で講演会をしたのは2018年12月なのでもう1年半以上も前になりますが、そこで出会った人たちが徐々にUSMLEを受験し、こうやってどんどんと合格していく姿をみると本当に講演会をやってよかったと思いますし、何よりほんの少しの刺激で人や大学は変われるものだと痛感しています。

講演会報告:12/15@和歌山県立医大
いや、「紀伊半島」が立ち上がって仲間になりたそうにこっちを見てるわけではないですが、、、いま和歌山が盛り上がっています! ハイ!病み上がりのDr.瀬嵜です。 和...

和医大は地方医大の中でも「県立」の医大であり国立ではなく公立の医大になります。つまり、地方の医療への従事という理念のもとに設立された医学部であるため、卒後にも地元に残る方が多いのです。しかし、そんな公立の医学部からこのようにUSMLEの合格者が輩出されるようになり、さらにUSMLEの部活まで設立されるようになったということが刮目ポイントだと思います。

USMLE受験生の中には海外進出を視野に入れた外向き志向の学生も含まれますが、留学だけが目的では地元を重視する医学部が部活の設立を容認するとは考えにくいです。それは、再三ブログや本で申し上げている通り、USMLEはただの資格試験ではなく、医師にとって必要な医学英語を効率的に学ぶ手段であることが前提にあるからこそ認められるものだと思います。

つまり、留学自体を推奨するのではなく、和医大を卒業した医師たちが国際的に活躍してくれることを望んでいるのでないかと。僕自身も、誰もが臨床留学すべきとは全く思いませんが、医学英語を「楽しく」学ぶこと自体は医師・医学生であれば多くの人にとって喜ばれることだと思うに至り、このように活動を行っているのです。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回は和医大6年の崎山君からSTEP1の合格報告を頂きました。しかも、スコアは244であり、日本人としてはかなりのハイスコアかと思います。

講演会の前日の夜に彼に会いましたが、彼の自信なさそうな表情を今でも覚えています。

「これは崖から突き落とすレベルで背中押さなかん!」(名古屋弁風)

と直感的に思い、死ぬほど煽った記憶があります。そんな彼が結果を出してくれました。うーむ、感慨深い。さて、その体験記を皆さんもご堪能くだされ。

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合格体験記

今回、USMLE STEP1に合格しました。周りで支えてくださった皆様、本当にありがとうございました。すごく頼りになる人たちに囲まれて勉強できた事はとても幸運でした。これからUSMLE の受験を考えている方にとって、少しでも役に立てたらと思い、この合格体験記を書かせてもらいます。

【勉強開始から受験までの簡単な流れ】

3年生

2018年2月:Q&A購入

2018年3月:松林先輩と出会い、今後のプランを決める

4年生

2018年4月〜2019年1月: Q&A1周

2018年12月15日:瀬嵜先生、和歌山講演会

2019年2月〜6月:Rx1周+間違ったところ

5年生

2019年6月15日:UWSA模試183点

2019年6月末〜9月末:UWORLD1周

2019年10月11日:UWSA模試224点

2019年10月〜11月末:UWORLD間違ったところ+BRS行動科学+通読(1回目)

2019年11月30日:NBME模試(Form20)209点

2019年12月〜2020年4月:UWORLDリセットして2周目+BRS行動科学

2020年1月24日:NBME模試(Form21)222点

2020年3月18日: NBME模試(Form22)229点

6年生

2020年5月:通読(2週目)+模試の復習+Free120(86%)

2020年6月1日:STEP1受験

2020年6月17日:結果発表244点

➡合計で2年ちょっとでしょうか。Q&A、Rx、UWをやったようですが、よく見ると1年かけてUWをひたすらやり込んだ様子が分かります。その結果、244というハイスコアを取得されている。やはり、UWを完璧にすることが何よりも大事だろうと思われます。

勉強方法総論⑨~問題集を完璧にする方法:前編~
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【体験記】

  • 勉強について

僕がUSMLEに興味を持つきっかけとなったのは、海外基礎配属のシンガポールへの留学です。日進月歩で進む医学界に、英語でしっかりついていきたいと感じました。帰国後、とりあえずSTEP1のFIRST AID(FA)と、Q&Aを買って勉強を開始しました。この頃はまだ具体的にどうすれば良いかはわかりませんでした。とりあえず動こうと思い勉強を始めました。

しばらくした頃、ひょんなことから松林先輩(以前瀬嵜先生のブログで合格報告されています)に出会いました。松林先輩が事細かにUSMLEについて教えてくれました。と同時に僕の勉強プランまで考えてくれました。これほど後輩に尽くしてくれる先輩は果たしているだろうかと思うほど親身になって教えてくれました。

合格報告②~STEP1:松林優児君~
ファイ!ナイス!ツゥ!ミーチュ!Dr.瀬嵜です。我ながらもうむちゃくちゃだな。。。 前回の合格報告はここから! 今回は合格報告シリーズ第2弾です。非常に...

➡USMLEに興味を持ったきっかけは臨床留学したいからではなく、医師として活躍するためには医学英語が必要と感じたとのことでした。まさに、僕がこの記事の冒頭でお伝えした通りで、臨床留学を志すというよりも、「そもそも英語が国際共有言語になっている以上、医師として医学英語を読めないとね」ということが原点になっているということです。

また、何度もこのブログに登場している松林君がここでまた登場します。僕が山形大学の後輩にひたすらお節介をしたように、この和歌山では松林君の半端じゃない巻き込み力によって多くの後輩達が彼の耕した道を歩こうとしています。USMLEに合格することや、臨床留学すること自体は全く偉いことではありません。このように他人に喜ばれる存在になって初めて価値があるというものです。和歌山の人たちには、松林が灯した火を消さないように頑張って継承していってほしいと思います。

当時の僕の状況としては、臨床医学(循環、血液内科など)は一切学んでいませんでした。いきなり英語で臨床医学を勉強するのは難しいと考え、学校の授業進度に合わせて、ゆっくりQ&Aをやっていくことになりました。今振り返ると、この頃が1番大変だったように思えます。毎日の授業で大量の新知識を与えられ、それを消化しつつ、英語で問題を解くというのは、中々負担が大きかったです。ですが、昨日より今日、今日より明日と、負担がどんどん減っていくと信じて勉強を続けて行きました。

➡これはとても大事な話ですね。臨床医学の知識が十分でない時期に勉強を開始すると多くの人が「難し過ぎるから日本語を学んでからUSMLEを始めた方がいいのでは」と感じるようです。確かに、日本語で十分に学んでからUSMLEに移行するという手もありますが、それにはデメリットもあります。多くは「不安」が原因で英語と向きあうことを避けているので、どれほど日本語で勉強をしてもその不安を完全にぬぐい切ることはできずに結局USMLEに戻ってこられないこと、そしてもう一つは、どれほど日本語で勉強してもUSMLEに必要な知識が十分に身に付くことはなく、いつ始めても結局ある程度は苦しい思いをすることです。

つまり、医学英語という新たな分野を学ぶということは、大小有れども痛みが伴うということです。その痛みを越えた先に合格や、豊富な知識、深い理解が待っているのですが、その痛みを完全に避けることはできないと覚悟することも非常に重要となります。

この頃から月1回、当時の松林先輩を含む6年生数名と5年生の辻本先輩(以前瀬嵜先生のブログで合格報告されている)と4年生の僕で勉強会が始まりました。この勉強会が本当に素晴らしかったと思っています。先輩方の圧倒的知識量に驚愕しました。最初の頃は、主に松林先輩と辻本先輩がそれぞれ1問ずつ問題を解説してくれました。4年生の11月頃には僕もある程度問題を解いてきたので、解説する側にまわりました。自分より明らかに知識量や経験が勝っているであろう先輩方に教える緊張感は今でも忘れられません。解説する側に立って初めて、他人に教えるという行為が勉強にとって非常に重要な事だと気づく事ができました。これ以降も勉強会は継続してきましたが、自分が解説した問題や作成したスライドは今でも鮮明に記憶に残っています。和歌山医大では、こういった勉強会は今は正式な部活となって続いております。4年生の1月頃にQ&Aを終えました。僕はかなりの長期間Q&Aをやっていましたが、もしある程度臨床の知識がベースにある人は3ヶ月ほどで終わらせても良いかもしれません。

➡またブログで紹介した辻本君の登場です。本当に和歌山だらけだな。この皆で教え合うという文化が何よりも素晴らしいですよね。

やや哲学的な話になりますが。結局何をやらせても利己的な人は幸せになれないと思うんですよ。自分の経験をこうやって後輩達に還元していくという、利他の心が本当の意味で幸せを呼び込む気がします。そして、その幸せとは「社会的地位」とは全く別物です。成績が良かったら幸せになれる、偉くなれば幸せになれる、それらの願望は全て幻想です。むしろ、心が荒廃することすらあります。とにかく、「喜ばれる存在になること」が幸せになるキーだと思います。そういう点で和歌山に根付きつつある文化はとても素晴らしいと思います。

合格報告⑯~STEP1:和歌山医大の辻本君が伏線回収Part 1~
合格報告⑯ ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。久々の合格報告です。しかも、今回はただの合格報告ではありません。なんと、以前にこのブログで合格宣言をした...

少し時系列が前後しますが、4年生の12月15日に瀬嵜先生が和歌山医大でUSMLE講演会をしてくださりました。当時の僕はCBTまで残り1ヶ月程という状況でした。勉強としてはQ&AとCBTが1:9ぐらいの時間配分でしていました。今振り返ると目先のCBTに囚われすぎていたと思います。瀬嵜先生とお話しする機会があり、勉強状況について話すと「CBTの問題集は道頓堀に捨てろ!」と言われました、笑。当時の視野の狭い僕にとっては衝撃の一言でした。もちろん、文字通り捨てなさい、ということではなく、「もっと先を見なさい」と言っているのだと感じました。CBTでいかに高得点を取るかという事に対する執着が強かった自分ですが、瀬嵜先生や先輩方の話を聞いているうちに、その執着心が徐々に薄れていきました。また、気づいてはいたのですが、やはりUSMLEの1問は、CBTの1問と比較すると、比べものにならないくらい、質が高いです。以降CBTは直前の数日間を除いて勉強しませんでした。

➡ああ、僕が言いたいことを代弁してくれた!もう、このブログでも何度話題にしていますが、USMLE勢がCBTに捉われちゃいかんのですよ。崎山君が言う通りでUSMLEとCBTでは問題の質が圧倒的に違うんですよ。僕が言っても説得力が無いのかもしれないけど、このように体験者にいってもらうと実に心の奥底に訴えかけるものがあります。結局、USMLEを頑張っている人がCBTで落ちるわけがないのよ。

質問コーナー㉘~CBTで落ち込んでいます。どうしたら楽になれますか?~
質問コーナー㉘ 「セザ本」のこと ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。 「セザ本」がAmazonで予約受付開始となり医学書院の新着ランキングで1位も記録...

そして、「すてろ!」発言は冗談として、実際にこの崎山君のように僕の言うことをそのまま聞いてくれる人は全体の2割もいないんじゃないかなと思います。結局、皆「でもやっぱり心配で・・・」となり、流されてしまう。成功に必要な性質をもう一つ挙げるのであれば、それは「素直さ」です。人から聞いたことをまずは先入観を待たずに実行してみることができるか、それがめちゃくちゃ大事になります。僕も素直さだけは自信があります。とにかく聞いたこと読んだことをやってみるのです。それはいつか血肉となっていくと信じています。

さて、1回では収まり切らないので2回に分けてお届けしようと思っています。今回はこれにて。いずれはこのブログの「合格報告」のコーナーが和医大だらけになってしまいそう。。。(笑)

他の大学からの報告も待ってるぞよ!しーや。

↓医学英語に興味ある方は是非笑覧ください。勉強始める前の情報収集は超大事です。

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