勉強方法総論⑪~伸びる人伸びない人~2024年8月22日追記・修正

CBTUSMLE概要

伸びる人伸びない人

挨拶 2024年版

ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。今回は改めて「成績が伸びる人伸びない人」というテーマを深堀りしていきたいと思います。この記事は2022年に出していますが、USMLEコンサルタントとして独立し、5年が経過した今、これまでのコンサルタント経験よりどうすれば成績が伸びるのかと言う点を以前よりも深く広くお話していきます。

2024年8月22日追記
本記事ではUSMLEをメインテーマとして扱っていますが、他の勉強にも通ずる勉強一般論だと思っています。CBTや国試、または大学受験でも、他の資格試験でも成績が伸びないのには共通する理由ががあるはずです。是非、何かしら参考にして頂けたら幸いです。

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何年勉強しても合格できない人

さて今回はタイトルにある通り、「成績が」伸びる人伸びない人のお話しです。このブログをご覧の方は御存知かもしれませんが、USMLEの勉強方針は非常にシンプルです。STEP1に関しては、極論を言えばFAを片手にUWを解けばいいだけです。受験生の中で使用する教材に大きな差はありません。しかし、そのアウトカムである成績にはびっくりするほど差がうまれるのです。さっと合格する人もいれば、何年経っても合格点に達しない人がいます。USMLEコンサルタントとしてこの差は何かと考えてきました。

実際に成績が伸び悩んでいる方の相談に乗る中で、成績が伸びない人にはいくつかの共通点があることに気がつきました。そして数年のコンサルタント経験を経て、以前に考察していた理由をさらに深堀することができるようになっため、今回の記事ではそのポイントをいくつかご紹介しようと思います。

0番目の問題

本題に入る前に教材選びについて少し言及します。このネット社会では情報で溢れかえっておりUSMLEに関しても例外ではありません。検索エンジンで一度USMLEと検索すればいくらでも情報が手に入ります。しかし、問題なのはそれらの情報は本当に玉石混交で、その取捨選択が非常に難しいということです。

未だにSTEP1のスコアがあった時代の勉強方法も見つかりますし、何よりオーガニック検索の場合は企業のドメインの強さや広告費により利用者の目に留まりやすくなります。アメリカのグーグルで検索したらKaplanが上位ヒットしやすいのですが、実際に日本人でKaplanを利用する人はほぼいません。

つまり情報が不足している場合、教材選びから間違えてしまい勉強方法どころではなくなってしまう可能性があるということです。当ブログではどこよりも正しく、そして一般化された情報を提供できるように心がけていますのでまずはここの情報を参考にしてもらえたらと思います。また不定期にオンラインサロンの入会を受け付けていますので、個人的に相談されたい方は随時ブログをチェックしてください。

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7つの主な問題点

その問題点は主に7つに大別されます。

①演習量がたらない(UWを1周もしていない)
②問題を解くスピードが遅い
③準備に時間をかけすぎ(2年以上)
④何故解けないのか追及していない
⑤アウトプットが足らない
⑥効率的に暗記できていない
⑦何を覚えるべきか把握できていない

①演習量が足らない(UWを1周もしていない)

成績が伸びない理由の中で特に多いのが「演習量が足らない」です。これは既に何度も言及していることなのであまり深堀りしませんが、「伸びない」と嘆く人の一定数は明らかに解いた問題数が少ないです。

試験にもよりますが、問題を解きながら知識を深め、そして全体像を理解していくスタイルは王道の一つだと思います。いかに頭が良くても初見の問題は当然解けません。解き進める中で類題と何度も遭遇し、徐々に解けるようになっていきます。そのため、問題集を1周しただけでは成績が伸びないのも無理はあります。ただそれは「全体像を把握した」のみに過ぎず、理解したわけでも暗記したわけでもありません。ただ把握しただけなのです。その後、復習を重ね、また他の問題集をこなしていくことでようやく解けるレベルに達するのです。

STEP1の場合では、一部の例外を除き合格レベルに達するためには早い人でも最低4000問(UW+模試など)は必要で、人によっては6000-7000問は必要というところでしょうか。経験上1000-2000問くらい解いた人が「成績が伸びない!」のような嘆きをしがちです。確かに、それくらい解くだけでも十分大変なのですが、実はまだ全体像を把握するような段階にすらいません。とりあえず問題集を1つ仕上げること。話はそれからです。

②問題を解くスピードが遅い

USMLEは1問あたり90秒以内で解く必要がありますが、特にCKでは問題文が非常に長く訓練なしでは時間内に解き切ることはほぼ不可能です。AMGですら問題文が長すぎると嘆くほどなので、我々日本人にとって時間内に全て解き切るのは相当厳しいです。恐らく勉強開始時であれば1問解くだけでも3-5分くらいかかってしまうのではないでしょうか。

「時間内に解き切ることができない」という問題は他のどんな問題よりも致命的かもしれません。仮に40問のうち、時間内に35問までしか解くことできなければ残りの5問は適当にマークを付けることになってしまいます。これはまさに致命的です。

この問題点への解決策は二つです。一つ目はシンプルに日頃から速読を意識することです。これは意外と日々の鍛錬により克服することができます。なるべく90秒以内に解けるようにしていきましょう。

もう一つは少し戦略的な話です。CKでは8ブロックで318問(を超えない)を解くことになりますが、実は試験開始前より1ブロックあたりの問題数を画面上で確認することができます。基本的に1ブロックは38問から40問で構成されており、38問または39問で構成されているブロックには必ず「長文問題」が含まれます。ここでいう長文問題というのは、ただの問題文が長い問題ではなく、「論文問題」と「薬の説明書問題」のことを指します。これらの問題は他の問題と比較して問題文が異様に長いのですが、他の特徴として時間をかければ解けるという性質があります。読解力を測る問題なので知識がなくとも解くことが可能です。しかし、絶対にやっていけないことは他の問題を解き終わらずにこれらの問題に時間をかけてしまうことです。必ず後回しにして余った時間を費やすようにしてください。

③準備に時間をかけすぎ(2年以上)

これはあまり世間では言及されないポイントですが、少なくともUSMLEに関しては1つの試験に対して2年以上かけてはいけないと思っています。恐らく他の試験でもあまりにも長期的な試験対策は功を奏さないでしょう。これにはいくつか理由がありますが、まずシンプルな理由として2年以上高いモチベーションを保ち続けて勉強することが難しいからです。多くの方は半年か1年くらいが限界ではないでしょうか。

また他の理由としては知識の定着を忘却が上回るからです。皆さんも忘却曲線というものを聞いたことがあると思います。

こんな感じのものです。試験合格に求められる知識量が少なければゆっくり勉強しても徐々に定着していくと思いますが、USMLEのように膨大な知識を頭に詰め込む必要がある場合はある程度の勢いが必要となります。目標は1日40問以上ですが、最低でも15~20問くらいはやらないと忘却が上回ってしまいいつまでも成績が伸びていきません。つまり、受験するのであれば覚悟を決めて無理矢理時間を確保するか、米軍病院に身を置くなどして勉強に集中できる環境を設定する必要があるということです。学生であれば在学中に合格してしまうのが一番です。

④何故解けないのか追及していない

これも非常に重要な問題です。僕の周りには多数のハイスコア取得者がいますが、中でも260を超えるハイスコアを取った方が仰っていたことが非常に印象的でした。

「問題を解く時には、時間をかけてもいいので何故自分はこの問題の正解に辿り着けないのかということ徹底的に追及する」

なんとなく解けた解けなかったではダメなのです。確信をもって正答に辿り着けた問題以外には、何らか学ぶべき課題があるはずです。全く知らなかったのか、見たことはあったが暗記できていなかっただけなのか、英文を理解できていなかったのか、など解けなかった、また迷ってしまったことには必ず理由があります。そこで得た課題を確実に潰していくことで理解が深まり成績が伸びていきます。とにかく問題を解き進めることだけに気が取られていた方は一度落ち着いて何故解けないのかという点を追求されてみることもお勧めします。

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⑤アウトプットが足らない

次に「アウトプットが足らない」です。どれだけ問題を解いても成績が伸びない、という方いないでしょうか。きっと沢山いるはずです。オンラインサロンでも同様の方が何人もいました。

そこで相談に乗ってあれやこれや試してきたわけですが、一番上手くいった方法が「誰かと勉強すること」でした。成績伸びない人の傾向として、孤軍奮闘しているという点が挙げられます。そもそもUSMLE受験生なんてそんなに多くないので独りで勉強すること自体は珍しいことではないのですが、それ以上に情報を遮断し自分の方法に固執しているイメージでしょうか。問題数を増やしても、それでもなお成績が伸びないのであれば何かを変えないといけません。しかし、それに気づかずにさらに問題数をこなそうとする。でも、結局伸びないのです。

UWを解き終えても正答率は50~55%から上がらず、覚えた気になっているのが、伸び悩む典型例です。このような方は問題集は何周もしているのでその同じ問題であれば解くことはできるのですが、模試などで少し角度を変えて問われると途端に答えることができなくなります。この打開策が「アウトプットの量を増やすこと」なのです。

同じような問題を解くことはもはやアウトプットにはなっていません。独りでアウトプットをする例としては、生化学の代謝経路を全て書き出してみるという感じでしょうか。それよりも効率がいいのか「誰かと一緒に問題を出し合うこと」です。勉強仲間との相性が合えばという条件はありますが、経験上この方法はかなり上手くことが多いです。この勉強方法では、相手が出した問題に答えることで新たな知識得られる、または知識を確認することができるのはもちろんのこと、実は相手に問題を出すという行為には非常に高度な理解が求められるということに気が付くことができます。

極端な例を挙げると講義動画「はじ100」です。僕自身も動画を作成する上で「自分で理解する(したつもりになる)こと」と「相手に説明すること」には圧倒的な乖離を感じ、その溝を埋めるべくかなり時間を費やしました。理解していると思っていても他人に説明しようとすると上手く言葉が出てこないのです。成績が伸び悩んでいて理解した気になっている人は例外なく上手に問題が出せません。むしろ、出せないことで初めて自分の知識が不十分であることに気が付きます。

オススメする具体的なグループ学習方法は受験時期の近い受験生2,3人のグループを作り、日々「自分が覚えたい」知識を問題にして他の方に出すことです。ポイントは「自分が覚えたいものを問題にすること」です。自らがある程度正確に深く理解していないと他人に問題に出すことができないため、問題を出すというアウトプットする過程で自らの頭に知識として定着させていくことが可能です。当然、相手からも多くの知識も得ることができます。これらのグループ学習を経て、何人もの方が正答率を5-10%上げて合格していきました。

まずは何とかしてオンラインでもいいので仲間を見つけてください。僕が運営するオンラインサロンも不定期で入会を受け付けることがあるので、希望される方は注意してブログをチェックし続けてください。

⑥効率的に暗記できていない

次に「効率的に暗記できていない」です。かなり抽象的な表現なので、もう少し具体的に解説していきます。勉強方法は千差万別なのですが、USMLEのような範囲が膨大な試験では問題を解くだけでは頭の中で知識がまとまっていきません。(例外はあります)

逆に知識をまとめることばかりに注力してしまっている人も問題です。典型的なのがAnkiカードばかり作っている人です。このような暗記カードは作るタイミングというものがあります。絶対やってはいけないのが最初からカードを作ること。これはもはや禁忌です。知識は主に2つに大別できます。「ストーリーで理解できるもの」と「単純暗記するしかないもの」です。

基本的に前者は何度も問題を解くことで自然と理解していくことができます。一方で後者がストーリー性が欠如しているため機械的に暗記するほかありません。問題をこなしていくと自然と後者の知識の定着しなさが目立ってきます。例えば薬品名とかです。この場合は力業で何度も見て無理矢理暗記する他ありません。

問題なのは勉強開始当初はこの二つの見分けができないということです。そのため最初からAnkiカードを作るとストーリーで覚えるような知識や、USMLE受験生にとっては常識的な知識まで入れてしまいがちです。それは非常に非効率です。そこで最初はカードを作らずに問題集をどんどん解いていきましょう。そして1周目を終えた後に2周目以降で復習をしながら、Ankiカードに入れないと記憶の定着が期待できないような知識のみをAnkiを入れていけばいいと思います。

 

⑦何を覚えるべきか把握できていない

これが最後の理由になります。僕は受験直前期には問題を解くのではなく暗記に集中することをオススメしてきました。知識には理解を深めることで身に着くものもあれば、単純暗記に頼らざるを得ないものもあります。例えば、薬品名などはどうしても単純暗記するしかない側面があります。人間は忘却する生き物なので、理解を伴わない単純暗記は時間経過とともに忘れてしまいます。そこで試験直前に一気に詰め込む必要があるわけです。

これまでに覚えたいけど覚えてこなかったものを1週間程度かけて一気に覚えていくわけですが、その時期に「何を覚えないといけないのかわからない」という問題で困る人がいるのです。それを防ぐためには勉強をしながら、「知識を仕分けていく」必要があります。問題を解く際には「これは今理解しよう」「これは単純暗記だから直前に覚えよう」というように知識によって、今理解を深めるのか、暗記を後に回すのか決めていきます。一番の悪手は何となく覚えた気になって、結局何が理解・暗記できていないのかが分からないままになってしまうことです。

それを防ぐためには問題を解くときに「理解して正答出来た問題」「正解したけど迷った問題」「不正解だった問題」の3つに仕分けをすることです。真ん中の「正解したけど迷った問題」はマークをしないとただの「correct」に仕分けられてしまうので注意してください。極論ではありますが、不正解問題とマーク問題がなくれば問題集の全てを理解したと言えるわけです。

そして、上述しましたがUWの2周目を終えた頃から、未だに暗記していないけど直前期には覚えたい知識をAnkiなどの暗記アプリに突っ込んでいきます。そして、本番直前1-2週間になったらひたすら暗記しましょう。これを全て覚えると問題集を全て理解したと言えるはずです。

またAnkiの使い方にはコツがあります。この使い方を間違えてしまうといつまでも効率よく暗記することはできません。Ankiを使う上で絶対にやっていけないこと、それは「AnkiにUWの解説文をコピペすること」です。本来Ankiに入れた知識とは、本番までに絶対に覚えたい知識のはずです。それなのにAnkiの回答に外部の情報をコピペする、つまり自分で答えを作成しないと、結局「答え切ることができない」問題になってしまうのです。

これはコンサルタントとして何度も経験しているので自信を持って言えることですが、Ankiの答えは「答え切れるものにすべし」です。成績が伸びなかったパターンのAnki例を紹介します。

Anki悪い例

ちょっと見にくくなってしまっているのは申し訳ないですが、左が問題文で右が答えになります。鮮明ではないものの、答えが非常に長文になっているのが分かるはずです。これが非常に問題なのです。問題を見てこの答えを全て答え切れるのであれば問題はありません。しかし、普通は難しいはずです。実際にこちらで問題を出してみると5割はおろか2,3割程度しか答えることが出来ませんでした。やはり問題はコピペをしたことにより「答え切れない問題」になっていることでしょう。

良い例は「○○の副作用5つ」というように答え切れる問題になっていることです。もちろん薬には数えきれないほどの種類の副作用があります。しかし、敢えて5つと答えを絞る、言い換えると自分が答え切れる量を設定することでその5つを100%答えられるようになっていきます。全てを暗記することはできません。そこで全てを暗記しようとするのではなく、「ここまで覚える!」と決めてそこだけは絶対に死守することです。

*最近はUWのフラッシュカードも注目されています。

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まとめ

以上がセザキンが考える伸びる人伸びない人の違いでした。2年前に考察した時にはその要因は3つほどしか頭にありませんでしたが、相談経験を重ねるにつれてその解像度が増してきています。これらの要因はUSMLEに限らず様々な試験勉強に通するはずなので是非色々な場面で応用して欲しいと思います。

それではまたシーヤ!

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