- USMLEの難易度をAIに聞いてみた——現役コンサルタントがガチで検証
- 挨拶
- AIによる難易度評価(10段階)
- AIによる難易度まとめ
- セザキングによる実際の難易度評価と検証
- 難易度まとめ比較(AI vs セザキング)
- 最後に
USMLEの難易度をAIに聞いてみた——現役コンサルタントがガチで検証
挨拶
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。皆さんはUSMLEの難しさについて考えたことはありますか?
「USMLE、〇〇時間勉強して合格しました」
「Step 1、3ヶ月で受かりました」
「UWolrdだけで合格しました」
「国試より簡単でした」
——ネット上にはこういった合格体験談が溢れています。もちろんこれらは貴重な情報ですが、個人差が大きく、どこまで参考にすればいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は少し違うアプローチを試みました。AIに各試験の難易度を10段階で評価させ、その回答を10年以上USMLEコンサルタントとして現場で見てきた僕が改めて評価・検証するというものです。「AIが判断するUSMLEの難易度」と「現場のリアル」のギャップを通じて、各試験の実態をお伝えできればと思います。
なお今回比較する試験は以下の通りです。
- CBT(医学部共用試験)
- 医師国家試験
- USMLE Step 1
- USMLE Step 2 CK
- USMLE Step 3
- OET(Occupational English Test)
- おまけ:USMLE Step 2 CS(廃止済み)
日本の医学生の誰もが受験するCBTと国家試験とUSMLE・OETを比較する形になります。CBTはSTEP1をモデルとして作られた試験であり、国家試験も今後のCBT化に向けてSTEP2CKを参考しているようです。おまけとして過去最難関試験であったSTEP2CSの難易度にも触れています。是非、楽しみながら読んでみてください!
↓医師国家試験のCBT化に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/2021103012A-buntan6_0.pdf
↓USMLEに合格したいならCBTをないがしろにしろ!その理由は?
CBT:CBTについて考察してみた①~CBT受験生の箸休め~
AIによる難易度評価(10段階)
まずはAI(Claude)に各試験の難易度を10段階で評価してもらいました。以下がその回答です。
CBT(医学部共用試験):2/10
医学部4年生が受験する共用試験です。基礎医学の知識を問う試験で、合格率は95%以上と非常に高く、しっかりと医学部の授業に出席していれば合格できるレベルです。試験範囲は広いものの、深い理解よりも基本的な知識の確認が中心となっています。難易度は低く2/10と評価します。
医師国家試験:4/10
毎年2月に実施される、医師免許取得のための最終試験です。合格率は約90〜92%で推移しており、6年間の医学教育を受けた上で対策すれば合格できる試験です。出題範囲は非常に広く、暗記量は相当なものですが、試験の性質上、深い臨床的思考力よりも幅広い知識の習得が求められます。難易度は中程度の4/10と評価します。
USMLE Step 1:6/10
基礎医学の知識を英語で問う試験です。2022年よりPass/Failに移行しましたが、依然として合格するためにはしっかりとした準備が必要です。合格率はIMGで約60〜70%程度とされています。日本人受験者にとっては英語での長文問題への対応が一つのハードルとなります。難易度は6/10と評価します。
USMLE Step 2 CK:7/10
臨床知識を問う試験で、現在唯一の数値スコアが出るUSMLE試験です。合格基準は218点で、合格率はIMGで約60〜65%程度とされています。Step 1より臨床的な思考力が求められ、マッチングで重要視されるため高スコアが求められるプレッシャーもあります。難易度は7/10と評価します。
USMLE Step 3:6/10
独立した臨床判断能力を問う試験で、レジデント1年目以降に受験できます。合格率はIMGで約60〜70%程度とされています。CCSケース(Computer-based Case Simulations)という独特の形式が含まれる点が他のステップと異なります。難易度は6/10と評価します。
OET:7/10
医療従事者向けの英語試験で、ECFMG Certificate取得に必要です。CEFR C1レベル(TOEFL iBT 95点相当)が必要とされており、特にSpeakingとWritingの難易度が高いとされています。医療特有の表現・シチュエーションに特化した試験であるため、一般的な英語試験とは異なる対策が必要です。難易度は7/10と評価します。
Step 2 CS(廃止):8/10
2023年に廃止された試験ですが、かつてはIMGにとって大きな壁でした。アメリカ国内5都市でのみ受験可能で、渡航が必須でした。英語での患者対応を実技で評価する試験であり、問診・身体診察・カルテ記載が求められました。難易度は8/10と評価します。
↓地獄の試験STEP2CSとは
AIによる難易度まとめ
| 試験 | AI評価(10段階) |
|---|---|
| CBT | 2/10 |
| 医師国家試験 | 4/10 |
| USMLE Step 1 | 6/10 |
| USMLE Step 2 CK | 7/10 |
| USMLE Step 3 | 6/10 |
| OET | 7/10 |
| Step 2 CS(廃止) | 8/10 |
セザキングによる実際の難易度評価と検証
ここからが本題です。AIの評価を踏まえながら、現場で10年以上見てきた経験をもとに実際の難易度を評価していきます。
CBT:セザキング評価 2/10(AIと一致)
AIの評価通りというか、この2を基準としてきましょう。CBTに苦労する人が多いことは承知していますが、他の試験と比較すると難易度は低いと言わざると得ません。出題範囲が完璧に重複するわけでありませんが、そもそもCBTはSTEP1をモデルとして作られた試験であるため、その性質はかなり似通っています。似てはいるものの、問われる知識の深さが段違いです。無対策であればCBTで9割取れる人でもSTEP1では正答率4割程度になることがあり得ます。
CBT:CBTについて考察してみた①~CBT受験生の箸休め~
上記の記事でも熱く語っていますが、STEP1はCBTの上位互換とも言えるため、STEP1受験予定の方はCBT対策に注力すべきではありません。STEP1の勉強をしていたらおまけとしてCBTにも合格できる実力がついたというのが理想的です。
低学年の内からUSMLE受験を予定している人は、FAを手元に置いて大学の講義やCBTの勉強をすることをオススメします。最初から医学英語に慣れることができ、かつSTEP1で求められる知識レベルを把握することができます。
医師国家試験:セザキング評価 4/10(AIと一致)
医師国家試験の難易度は4となっていますが、こちらもAIの評価とほぼ一致します。合格率90%という数字だけ見ると簡単に見えますが、これは医学部6年間の教育を受けた上での数字です。6年間勉強し様々な試験をクリアしてきた人の中で90%しか受からないということは、それなりの難易度があるということです。実際に大学によっては進級が難しく多くの留年生を出すところもあります。
USMLEと比較した場合の最大の違いは「知識量 vs 臨床思考力」という点です。日本の国家試験は幅広い知識の習得が求められますが、USMLEは「なぜそうなるのか」という臨床的な思考プロセスが重視されます。さらにUSMLEの方がさらに一歩踏みこんだ細かい知識が問われます。具体的にはUSMLEでは細かな薬剤名とその機序や副作用の違いなどが問われるため、例えばベンゾジアゼピン系の薬でもそのカテゴリーを覚えるだけでは不十分で10種類近くの薬の違いを理解していることが求められます。
また国家試験は日本語で受験できるという大きなアドバンテージがあります。英語という障壁がない分、純粋に医学知識で勝負できます。
USMLE Step 1:セザキング評価 6/10(AIと一致・ただし補足あり)
CBTを2、医師国家試験を4とした場合にSTEP1の難易度は6とされています。僕の所感はAIの評価とほぼ一致します。学内で成績優秀者であってもSTEP1の勉強に非常に苦労している人を沢山見てきているため、少なくとも医師国家試験よりも難易度は上だと断言できます。但し、元々成績優秀ではなかった人でも対策次第でなんとか合格レベルには達することができることもよくあるため、その難易度は6ないしは7というところでしょう。
2022年にStep 1がPass/Failに移行したことで「簡単になった」と誤解している方が多いですが、そんなことはありません。合格基準が不明確になったこともあり、受験生にとっては求められる到達度を把握することが難しくなっています。
むしろPass/Failになったことで変わったのは「戦略」です。以前はStep 1の数値スコアがマッチングを左右していましたが、現在はStep 2 CKの高スコアが重要になりました。Step 1は「確実に合格する」ことを目標にしつつ、Step 2 CKに向けてエネルギーを温存するという戦略が現実的です。
日本人IMGにとっての最大のハードルは英語と基礎医学の知識です。英語に関しては、長文問題を制限時間内に素早く読み解く力が求められます。医学知識はあっても英語の読解スピードが足りないために失点するケースが多く見られます。早いうちから1問90秒で解くトレーニングをしておくことをオススメします。また基礎医学に関しては正直、大学の講義やCBTレベルの知識ではUSMLEの合格に求められるレベルには大きな乖離があります。多少基礎医学に自信がある方であってもSTEP1用に知識を入れ直す必要がありますし、そうでない方や、卒後年数が経過している方はいわんやをやです。
多くの日本人にとってチャンスがあるが、正直ある程度人を選ぶ試験であることも事実なのです。
↓可能性を最大化させたいならこのブログを熟読しましょう
USMLE STEP1対策・勉強法のまとめ~2024/8/29更新~
USMLE Step 2 CK:セザキング評価 合格6/10・高スコア(250以上)9/10(AIより細分化)
ここがAIの評価と最も差が出るところです。AIは「7/10」と一律に評価していますが、実態は「何を目標にするか」によって全く別の試験になります。
合格(218点)を目指す場合:6/10
臨床的な思考力が問われますが、方向性は掴みやすいです。特に臨床経験が豊富な医師にとっては、Step 1より取り組みやすいと感じる方も多いです。日本の医師が日々の診療で行っている臨床的判断が、そのままStep 2 CKの問題形式に近いからです。しっかり対策すれば合格できるレベルです。
このように聞くとSTEP1よりも難易度が低いように感じられるかもしれませんが、決してそんなことはありません。まず合格最低スコアが218とここ数年で上がり続けていることに加えて、合格するために必要な教材も増え続けていることで、受験生に求められる負荷が非常に高まっています。
加えて近年は問題文の長文化も話題に上がっています。母語ではない英語が長文化することは我々日本人にとっては当然不利に働きます。これらの事情よりSTEP2CKは決してSTEP1よりも簡単とは言えないのですが、それでも基本的にSTEP2CKの受験者の多くはSTEP1に合格しており、医学英語には慣れ、ある程度の医学知識も備わっている条件も考慮すると、難易度はSTEP1と同じ6でいいかと思います。
ハイスコア(250以上)を目指す場合:9/10
ハイスコアを目指すとなると話が全く変わります。何点からがハイスコアなのか決まった定義はなく、人や場面によっては様々ですが、250以上をハイスコアとするケースが多いように見えます。
「平均スコアが240台後半なのに、なぜ250がハイスコアなのか」と思われた方もいるかもしれません。これは非常に重要な点なので、少し丁寧に説明させてください。
まずよく引用される「平均245点」という数字の正体を確認しておく必要があります。この数字はマッチングに成功したNon-US IMGの平均スコアであり、さらに言えばAMG(米国医学部卒業生)の平均スコアも同様に240台前半〜後半で推移しています。つまりこれらはいずれも「合格者」かつ「AMGまたはマッチング成功IMG」という、すでに絞り込まれた母集団のデータです。
受験者全体——合否含む、AMG・IMG含む、マッチング成否含む——という広い母集団で見たとき、250という数字は決して「平均的」ではありません。全受験者の中での250点は上位に位置するスコアであることは間違いなく、ハイスコアと呼ぶに値します。
また250はレジデンシー選考におけるスクリーニングライン(足切り)として機能することが多いです。競争的な科(外科・皮膚科・放射線科など)ではさらに高いスコアが求められますが、まず250を超えることで多くのプログラムの選考土俵に乗れると考えてください。
つまり250は「高すぎて現実的でない目標」でも「誰でも取れる平均的なスコア」でもなく、しっかり対策すれば届く現実的な目標であり、かつ多くのプログラムで評価される十分なハイスコアです。だからこそ今回250をハイスコアの基準として設定しました。その250以上を目指すとなると、単に合格ラインを超えるだけでなく、上位数%に入る成績を取る必要があり、難易度は一気に跳ね上がります。少し細かく刻みますが240の難易度は8、250の難易度は9、260の難易度は10としましょう。ちなみに270を超えると日本一と豪語しても問題ないレベルです。
USMLE Step 3:セザキング評価 6/10(AIと一致・ただし補足あり)
AIの評価と一致しますが、補足があります。
Step 3はUSMLEの最終試験であり、これまでの全ての知識が動員される最も高度な試験となっています。それなのに話題に上がりにくい理由は、スコアが重要ではないことに加えて、ECFMG Certificate取得後の試験であるため試験というよりは作業に近い感じで受験される方が多いためでしょう。受験者全員はECFMG Certificate取得者という猛者であるため、高度な試験であっても難な合格していきます。
AIが触れていなかったポイントとして、CCSケース(Computer-based Case Simulations)の対策が独特である点があります。これは実際の臨床判断をシミュレートする形式で、問題演習とは異なるトレーニングが必要です。CCSの感覚に慣れるまでに時間がかかるため、早めに練習を始めることをお勧めします。
STEP3対策⑫~基本情報や対策方法の変更点まとめ~2024年3月6日追記・修正
OET:セザキング評価 3〜8/10(AIより低め・個人差が最も大きい)
ここはAIの評価(7/10)と大きくずれます。
OETの難易度は英語力次第で大きく変わります。英語が得意な方にとってはそれほど高いハードルではなく、しっかり対策すれば(帰国子女であればほぼ無対策でも)比較的早期に合格できます。一方で英語が苦手な方にとっては、合格まで時間がかかるケースも少なくありません。そのため、AIの「一律7/10」という評価は実態を反映していないと感じます。
OETはUSMLEのような医学試験でなく、「医療をテーマとした」英語試験です。どちらかというとTOEFLやIELTSに近く、医学知識ではなく純粋に英語力が求められます。基本的には対策することで合格に近づくことができますが、Listeningは非常に癖が強く多くの受験生を苦しめています。また4科目全て同時に合格することも難易度を上げている要因になっています。
OET①~OETとは?:基本情報とUSMLEの関連性について~ 2020.8.28更新
おまけ:廃止されたStep 2 CS:セザキング評価 9/10(AIより高め)
AIは8/10と評価していましたが、僕は9/10と評価します。
かつてこの試験は日本人IMGにとって最大の壁でした。アメリカ国内5都市でしか受験できず渡航が必須、さらに費用面でも大きな負担でした。試験の内容も独特で、英語での問診・身体診察・カルテ記載(Patient Note)をこなす必要がありました。
CSを最も困難にしたのは「SEP:英語力」でした。どれほど過酷だったかというと、TOEFL100超え、TOEIC990、欧米や豪州での医療経験者が「英語が」理由で落ちる程でした。それほど英語が得意ではない日本人にとっては地獄のような試験だったのです。実際に何度受験しても合格できずに最大受験回数を超えて諦めるような人もいました。とはいえ、日本人でも3-4割は合格している印象であっためCK250と同等の9としておきます。
この試験の廃止によってIMGのハードルが大きく下がったことは間違いなく、今の受験環境は当時と比べると格段に整っています。
USMLE受験費用は100万円超え!?それでもハードルが下がっている理由は?
難易度まとめ比較(AI vs セザキング)
| 試験 | AI評価 | セザキング評価 | 差異 |
|---|---|---|---|
| CBT | 2/10 | 2/10 | 一致 |
| 医師国家試験 | 4/10 | 4/10 | 一致 |
| USMLE Step 1 | 6/10 | 6/10 | ほぼ一致 |
| USMLE Step 2 CK(合格) | 7/10 | 6/10 | やや低め |
| USMLE Step 2 CK(250以上) | 7/10 | 9/10 | 大きく高め |
| USMLE Step 3 | 6/10 | 6/10 | 一致 |
| OET | 7/10 | 3〜8/10 | 個人差が大きい |
| Step 2 CS(廃止) | 8/10 | 9/10 | やや高め |
最後に
AIは試験の概要や一般的な難易度をまとめるのは得意です。ただ「日本人IMGにとってどこが特に難しいか」「合格と高スコアでは全く難易度が変わる」「OETは英語力次第で個人差が大きい」といった現場の実態は、AIだけでは掴みきれない部分があります。難易度の分析にもまだまだ甘さがあると感じました。情報収集のツールとしてAIを活用するのは非常に有効ですが、戦略を立てる際には現場の経験者の意見も参考にしてみてください。
そして是非、皆様にはこの難易度を知った上で挑戦して欲しいと思っています。世界で最も信用された、日本の国家試験よりも何倍も難しい医学試験と聞いたらなんだかうずうずしてきませんか?
それではまた、しーや。
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