医学書院「セザ本」オンラインセミナーの最終案内
ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。ご無沙汰しております。今週末に医学書院で開催されるオンラインセミナーの準備に追われておりました。今回のセミナーでは、普段のUSMLEとは少し趣向を変えて、「セザ本」の活用方法について詳しく言及しようと思っています。また、参加者全員がUSMLEを受験されるわけではないと思うので、英語での診察方法を、CSを通じてお伝えし、普段の診療にも役立てて頂けるような内容にする予定です。まだ参加可能ですので、興味のある方は是非以下よりお申込みください。
USMLE勢にとっての国家試験とは
USMLE合格者でも意見は異なる
さて、今回は恐らく医学生にとって注目の記事になると思います。これまでに、議論尽くされてきたテーマを取扱います。チープな結論だが是非最後まで読んでほしい。
それは「USMLEと国家試験の関係性」です。さらに詳しく言えば、「USMLEを勉強している人はどのように国家試験に取り組むべきか」となります。僕は以前より、「STEP1を合格している人であれば国家試験は余裕だ」とお伝えしてきました。この意見に賛同してくれる方も多いのですが、少数派ではあるものの、「そんな意見は真に受けずに国家試験に多くの時間を割くべき」という意見もあります。どっちの意見が正しいか判断するのは後回しにしますが、基本的にSTEP1に合格した人が国家試験に落ちることは殆どありません。しかし、今後USMLE受験するかどうかを考えている人が、これらの相反する意見によって行動を左右されていることが問題だと思うのです。果たして、真実はどこにあるのか。本当に余裕なのか、はたまたそうではないのか。これらの議論がSNS上では毎日のように展開されているのが現状です。
僕は多くの合格者からの意見をヒアリングし、一つの結論を出したいと考えてきました。最初は非常にもやもやしており中々明確な答えを出すことができませんでしたが、多くの受験生の声を聞くことでようやく視野がクリアになってきました。そして、その結論は受験生の一人の意見では決してたどり着くことができないものだと気が付きました。
この10年間で一般・臨床落ちしたUSMLE合格者はいるのか
結論を急ぐと、USMLE勢にとって国家試験が余裕かそうではないかというと、それは各人のメンタリティに依存するとなります。客観的にみれば、USMLEに合格した人が国家試験に落ちることはまずありません。しかし、「これまでに誰も国試に落ちていないのか」と問われたら、それも偽りであり、実際に必修落ちした人がいることは確かです。ただ、落ちた理由がマークミスであるなど、もはやUSMLEとの因果関係があるとは言い難いものでした。そして、平常心や常識的感覚が問われる必修とは異なり、学習量や知識量がそのまま繁栄されやすい一般・臨床で不合格になったUSMLE受験生はこの10年間で一人も聞いたことがありません。(いるかもしれないですが)
以前に、一般や臨床で不合格になる人の割合は下位5%にも満たないと記載した記憶がありますが、常識的に考えて、出題範囲が異なるとはいえ、STEP1に合格できるような勉強をしてきた(=何千問も解いてきた)人がそんな下位に含まれるわけがないのです。STEP1に合格するってのはそれだけ大変なことなのです。
上記より、経験上は「STEP1に合格している人はマークミスなどにさえ注意すれば国試に落ちることはない」と言えるはずです。僕はそう思っていたので、このように伝えてきました。それでは、何故「STEP1に合格していても国家試験は余裕ではない」と言う意見が絶えないのでしょうか。その原因は、各人のメンタリティに他ならないのです。
「やばい」かどうかはその人の○○次第
分かりやすい例をあげましょう。試験前になるときまって、「やばいやばい」と言う人がクラスに一人はいることを誰もが経験されていることかと思います。確かに本当に「やばい」人もいるかもしれませんが、クラスの成績の良い人が「やばい」と言っていたのに、蓋を開けてみるとめちゃくちゃいい成績だった、なんて経験をしている方も多いはずです。でも、恐らくその人にとっては本当に「やばい」と思っていたのであって、周りを煽るつもりなどなかったのだと思います。つまり、「やばさ」とは常に主観であって、そこに客観性は無いということです。
国試の話しに戻しましょう。例えば、国試の模試で偏差値30を取ってしまったら「やばい」でしょうか?恐らく、殆どの人は「やばい」と答えると思います。では、偏差値60だった場合はどうでしょう。今更言うまでもないですが、国家試験は9割の方が合格する試験です。偏差値で言えば35くらいであれば当落線上ですが、偏差値50であれば合格率は9割を超えるでしょうし、偏差値60もあればもう言うまでもありません。でも、問題なのは偏差値が60であっても「やばい」と思う人がいるということです。一方で偏差値50あれば大丈夫と割り切れる人もいるのです。
だから、そもそもUSMLEと国家試験の話をする時に、「やばい」とか「余裕」という主観的なワードを使うこと自体が問題なのです。本来であれば、ここは客観的事実で語るべき論点なのです。
だから、客観的な話で語るとすれば、「(セザキングは)STEP1合格者で一般臨床で落ちた人は誰もしらない」「マークミスで必修落ちした人はいる」「一般臨床は下位数%しか落ちない」「偏差値50あれば落ちる可能性はかなり低い」、となり、そのため、「STEP1に合格している人は国家試験に落ちる可能性は極めて低い」という結論を導くことができます。
受験に「確実」なんてものはない
しかし、いかにここに客観的な事実があったとしても、それに意味付けをするのは各人というわけです。そして、もう一つ忘れはならないことは、「どれだけ勉強しても100%にならない」ということです。落ちることは不安でどれだけ勉強しても、合格率が95%から96%になることはあっても決して100%にはならないのです。これは銘記しておかなければならない。
「USMLEも国家試験も確実に合格するためにはどうしたらいいでしょうか」という質問を受けますが、その前提が既に間違っています。USMLEと国家試験に関連性があることは間違いありませんが、相違点ももちろんあるため、多少はトレードオフな要素もあるということです。よって、どっちかを重視すればもう一方に多少のリスクは負わなければなりません。
実際には、STEP1に100%注力して合格後に国家試験を勉強する戦略が、両方の合格の可能性を最もあげる方法なのですが、そもそも最初から「どっちも確実にうかりたい」という人は、「STEP1にフルコミットするのは怖いから国家試験もやっていいよね」というエクスキューズが背景にあり、それを肯定してほしいだけということが多いのです。そのような人に、「国家試験を確実にしてからUSMLEを始めなさい」とアドバイスしたらどうなるでしょうか。絶対にたどり着けない「安心」という名の「確実」を追い求めて、ずっと国試の勉強をし続けるのが関の山なのです。だから、もし「USMLEの前に国家試験をある程度やるという方針」を取るのであれば、「動画を全部見る」とか「QBを1周する」のように明確な目標を立てるべきであり、「確実なものなんて無い」ということを知り、覚悟を決めてUSMLEに進むしかないのです。つまり、覚悟をきめることができるかどうかが大事なのです。
メンタリティー別USMLE受験の心得
では最後に、「USMLEに興味のある受験生はどうすべきか」という点を場合分けして解説していきます。上にも述べたように、戦略はその人個人のメンタリティに強く依存します。
ネジ外れクラスター
例えば、僕のようにあまり恐れをしらないというか、たくさん失敗してきた結果、失敗は成長のもとだと体感しているタイプの人は何も恐れることはありません。リスクを承知でUSMLEにフルコミットするのみです。もう何度も言ってきましたが、学校のテストはちゃんと受けましょうね。あと周りに迷惑をかけないのも前提条件です。合格体験記にも書いたと思いますが、4年1月から6年4月まで一切国家試験の勉強せずにSTEP1に全力投入しました。何故なら、そこにあるのは挑戦に対するわくわくのみで、国家試験におちたらどうしようという不安は全く無かったのです。(家の事情で絶対に合格しないといけない人はそんなこと言えない!というような意見は完全に見当違いなのでスルー)
普通メンタルクラスター
さて、次は多少の不安はあるものの、その不安を振り切って挑戦したいという人はどうしたらいいでしょうか。この場合は、ある程度USMLEにコミットして結果を出していけば不安は徐々に取れていくはずです。予め「この動画を観る!」と決めて、それに限定して国試の勉強をするのもありです。また、国試の模試で偏差値50取れたらUSMLEにフルコミットするというのもいいでしょう。
不安高めクラスター
さぁ、さらに不安が高い人はどうでしょうか。このクラスターの人は、もうガッチガチに国家試験を勉強してからUSMLEに移行するのが定石のように見えますが、結局どれだけ勉強しても不安がゼロになることはありません。どこかで覚悟をきめる必要があります。この場合は、完全に退路を断つ必要があるでしょう。それは僕が以前から提唱しているような、受験を申し込むことや、受験を公言すること、そして仲間を見つけることが役に立つはずです。
脳内チェッカー「不安」クラスター
もう頭が不安で支配されている人は、USMLEに限らず何事にも挑戦することが苦手なはずです。失敗できないと思っている理由は多様でしょうが、挫折経験が乏しい人ほどこの傾向にあるような気がします。「死ぬこと以外はかすり傷」という言葉があるように、実際には多少失敗しても致命傷になることはありません。「国家試験に落ちたらやばい」と思っている人も多いと思います。確かに、1年社会に出るのが遅れますし、予備校に行くなら費用もかさむでしょう。ただ、それ自体が悪いことだと一体だれが決めたのでしょうか。それは自分です。結局、世の中の全ての事象に良し悪しはなく、自分が全て意味付けしているのです。(←今は意味わからなくてもいつか分かるかもしれないから覚えておいて)
僕に関して言えば、英語が苦手であったことはさも良くないことであるように見えますが、今はむしろその過去が武器になっています。センター国語で失敗したことも挫折に見えますが、その結果入学した山形大学で北中先生に出会い人生が変わりました。つまり、一見不幸に見えることが将来の幸福につながることなんてよくあることなのです。「幸福は不幸の顔をしてやってくる」という言葉もあります。もちろん、誰もが最初から失敗しようとは思っていません。しかし、挑戦するということは、いつか失敗をするということとほぼ同義なのです。また、挑戦をしないということは、失敗をしないことに同義ですが、成功もしないということも確約されています。結局、失敗とは学びなのです。だから、言い古された言葉で「失敗を恐れずに挑戦しよう」とありますが、僕なら「失敗しても大丈夫ということを体感しよう」と言い換えたいと思います。
挑戦するならとにかく全力でやることです。諦め癖がつくと、自己を正当化するため、挑戦する人を否定するようになります。100人に1人でもこの言葉が届けばいいのですが、不安に打ち勝つためにとにかく挑戦してみることです。それだけ努力したら、USMLEにも合格できますし、国試の合格もついてきます。
まとめ
まとめましょう。USMLE勢にとって国試は余裕かという問いには、客観的にはYes、しかし、「余裕」か「やばい」か、を決めるのは常に主観であり、各人のメンタリティによるというのが答えです。
ということで、国試が余裕かどうかの議論はこれにて終わり。STEP1の問題を何千問も解いた人が国試に落ちるわけがないので、僕みたいにネジが外れていると不安も何もありませんが、その不安はあくまでも主観的なものだと知り、不安に打ち勝つためにいかにすべきか戦略を立てることでしょう。
しかしね、STEP1に合格している人が「国試ヤバイ」って言うときも国試の模試で偏差値50切ってることは殆ど無いはずですからね、そこに客観的なやばさは無いのですよ。
大事なことなので、長々と書き綴ってきましたが、これが僕の結論です。まぁ、「君次第だよ」っていうチープな結論でもありますが、ここで皆さんの視野をクリアにしたいと思い記事にしました。
10年後の自分が今の自分を見てどう思うでしょうか。「もっと挑戦しろよ」と言うんじゃないかと思うのであれば、思い切って挑戦すればいいと思います。それはUSMLEに限らず、何でもです。
というわけでここまで。オンラインセミナーでお会いしましょう。しーや。
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