時代の再到来?オンライン問題集Ambossの評価見直し!

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オンライン問題集Ambossの最新情報

はじめに

ハイ!ナイストゥミーチュー!セザキングです。今回はUSMLEのオンライン問題集Ambossの再評価をしたいと思います。既に当ブログで何度か紹介しているのでご存知の方も多いかと思いますが、改めて再度丁寧にこのAmbossを紹介する必要が出てきました。その背景については以下の記事も参照にしてください。

USMLE概要⑯:問題の大改変(?)についての解説と考察【重要】

 

Ambossを詳しく紹介する前に改めてUSMLEの問題集について簡単に紹介しようと思います。世の中には数多のUSMLE関連の問題集がありますが、実際にメインで使用されているものは限られています。当ブログの読者の中には様々な世代の方がいるかと思うので、少し遡って紹介していきます。

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USMLE問題集の歴史

「book」時代

(恐らく)最初のオンライン問題集Kaplan Qbankが登場する前は基本的に紙ベースの教材しか存在しませんでした。当時はKaplan Qbookを筆頭に、First Aid Q&A、他にLangeなどの問題集がUSMLE受験生のバイブルとなっていました。もっと時代を遡るとUSMLEではなくECFMGという試験になるのですが、今回はそこまでは言及しません。とにかく、昔は当然ながら紙の問題集しかなかったということです。

オンライン問題集の登場

そんな中革命的な問題集が登場しました。それがKaplan Qbankです。オンライン上で問題が解けて、好きなように問題のセットが組める、そして問題が追加・削除されていくという今となっては当たり前のコンテンツは当時では非常にショッキングなものでした。しかし、当時はまだスマホを普及しておらず、街中にFree Wifiなど殆どない時代です。結局、デスクトップのパソコンで勉強するしかなく今ほど利便性は高くなったのです。

このKaplan Qbankは今でも存在していますが、利用する人は殆どいません。FIRST AIDの後半に載っている教材の評価でもB+評価と高くありません。それは一貫して内容がマニアックで重箱の隅をつつくような問題が多いためです。正直、この知識必要なの?と思うような問題が散見され、余程時間的に余裕がある方でなければやる必要はないですし、スコアがなくなったSTEP1ではやる理由が皆無です。ただ、この時期にはこのQbankしかなかったために皆これをやっていました。

UWolrd(USMLE World)一強時代の到来

次に登場したのが今でもお馴染みのUWorld(以下UW)です。実は当時は名前が違いUSMLE Worldでした。名前が変更になった理由を調べたわけではありませんが、恐らくUSMLE以外の試験のサービスも開始したからでしょう。つまり、USMLE Worldの名前だと他の試験との相性が悪いので、U(=You)Worldとすることで元の雰囲気を残しつつ他のコンテンツも提供できるようにしたのではないでしょうか。

UWの特徴は何よりも問題の質にあります。本番でほぼ同じ問題が出題されることもあったように、恐らく本番の問題を模倣して作られています。しかも、そのまま出題するわけではなく(当たり前だが)さらに深みを持たせるように作り変えている印象を受けます。UWの問題は難しいというよりは深いのです。そして、このUW1強の時代はもう15年くらい続いています。STEP1からSTEP3に至るまでUSMLE受験生にとってマストな問題集となっているのです。

USMLE STEP1対策・勉強法のまとめ~2023/4/27更新~

他のオンライン問題集やオンライン講義の到来

UW登場後にも様々なオンライン教材が登場しました。中でもFAと連携しているUSMLERxは今でも初学者向けの問題集として利用され続けています。

対策⑭~USMLE Rxの使い方~【STEP1】

また同時期に「ハイスコア向け」のコンテンツも登場してきました。一世風靡したFirecrackerもその一つです。

対策④:Firecracker他5教材紹介【STEP1】

そして、もう一つがこのAmbossになります。

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当ブログでも何度もAmbossを取り上げてきましたが、それはあくまでも「ハイスコア向け」問題集という位置づけでした。以下の記事ももう5年前のものなので、かなり前の情報になります。

対策⑪:新オンライン問題集:AMBOSSの紹介【STEP1】

当時は米国のマッチングのおいてSTEP1のスコア重視されており、多くの受験生は合格ではなくハイスコアを目指していました。その受験生のニーズに応えていたのがこのAmbossであり、当時はHPにも堂々と「Ambossをやるとハイスコアが取れるぞ」と謳っていたのです。実際、米国でのAmboss人気は確かなものであり、利用者の数はUWと同等、またそれ以上かもと言われるほどでした。

STEP1スコア時代の終焉

2022年にUSMLE界隈に激震が走ります。なんとこれまでに重視されてきたSTEP1のスコアが廃止され、Pass/failのみの評価になってしまったのです。これによりハイスコア向けコンテンツは軒並みその需要を失ってしまい、当然Ambossを利用する人も綺麗さっぱり消えてしまいました。

その後はUWの寡占がさらに強まり、特にCKに至ってはほぼ100%の受験生がUWを利用していたのです。この流れは今も尚続いていますが、その時代も終わりを迎えようとしています。それが先日記事にした「問題大改変」による影響なのです。

現在起きている問題点の復習

詳しくは前回の記事をご覧いただければと思いますが、教材選びに関与する現在の問題点を抽出すると以下になります。

①問題文の長文化
②倫理系(全STEP共通)・カルテ問題(STEP2CK)の増加
③医学知識の難化

何故これが問題なのかというと、最近の受験者の多くが「UWでは対応できない」と嘆くように、UWのみではこの時代の流れに対応できなくなっている可能性があるためです。問題の長文化は非常に顕著で、ある受験生曰く「問題文は最短で10行、最長で6スクロール」とのことでした。ジャンルを問わずに長文化されているようですが、本番の問題文はどの問題集よりも長かったという意見もあるほどであり、正直これに関しては普段から速読を意識するほかありません。本番は1問あたり90秒以内で解く必要がありますが、なるべく70-80秒で解けるようにトレーニングしていきたいところです。

そして、問題集依存の問題点が②と③になります。UWがこれらに対応しきれていないのが問題なのです。それはCKにおいて顕著となります。STEP2CKとSTEP1との最たる違いを問われるとそれは「FAが使えない」ことでしょう。STEP1受験においてFAはバイブル的な存在ですが、STEP2CKのFAは使用率が顕著に低下します。以前と比較すると改善されてきているという意見もあります(利用して合格した人もいないわけではない)が、問題なのはその網羅性の低さです。調べても載っていないことがまだ多すぎるのです。

STEP2CKではFAが使えないため、基本的に多くの受験生はその参考書(まとめノート)を自炊する必要がありました。(以下の記事は古いですが、現在はEvernoteではなくNotionを推奨しています)

USMLE STEP2CK対策・勉強法のまとめ

ただ当然のことですが、ノートを自分でまとめると多少の抜けが生じます。その中でも体系立てて勉強しにくい倫理系の問題は、UWのみではその全体像を把握することが難しく日本人の多くが苦手とするものでした。従来はUWで出題された問題を理解していけばある程度対応できましたが、その出題率が上がりさらに長文化・複雑化されたことにより日本人にとってさらに不利な存在となってしまいました。

さらにCKではカルテ問題というカルテを読み解く問題も出題されますが、UWではあまりそのような類の問題を含んでいないのです。UWをやりつくしたけど本番で対応できなかったという声が聞こえてくるようなったのです。

Ambossの方向転換

ハイスコア向けを謳っていたAmbossはこのままでは生き残れないと判断したのでしょう。生存戦略として他の問題集と差別化していく必要があります。最初からAmbossには他の問題集には大きな特徴がありました。それは「全てのSTEPのコンテンツの利用が可能」というものです。

他の問題集は基本的に「STEP1問題集」「STEP2CK問題集」のようにSTEP毎のコンテンツを提供していますが、このAmbossは(詳細は後述します)全てのコンテンツが利用可能、つまりSTEP1からSTEP3まで同時に勉強できるのです。

最初からこの特徴はありましたが、それ以外に様々なコンテンツが付与されました。(もしかしたら以前からあっても気が付かなかっただけかもしれません)今回は以下にその特徴を紹介していきます。

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Ambossの特徴

①購入方法が特殊

購入方法が他の問題集と異なるので少し分かりにくいですが、Ambossの問題集を利用するためには以下のような手順が必要になります。

AMBOSS: medical knowledge platform for doctors and students
AMBOSS: The digital medical resource that supports physicians in the hospital and students in the classroom. Ideal clinical companion & exam prep tool.
A:メンバーシップになる

Ambossを利用するためには最初にメンバーシップになる必要があります。このメンバーシップは月会費また年会費として支払うことが可能です。(医師用価格のみ表記しています)

月会費:29.99ドル/月
年会費:21.58ドル/月×12か月

このメンバーシップになることで基本的には全てのコンテンツが利用可能になりますが、なんと問題集だけは「月に50問まで」という利用制限がかかります。1日50問ではなく月に50問までなので、当然これでは勉強になりません。そこで制限を解除するためにアドオンを購入することになります。

B:問題集無制限利用のアドオンをつける

USMLE受験生であれば基本的にアドオンは必須になります。このアドオンも期間を決めて購入することが出来ますが、長期間のほうが明らかに割安です。

1か月149ドル
3か月189ドル
6か月229ドル
12か月299ドル

以下の使用方法を記載しますが、特にAmbossは長期的な利用をオススメしています。その理由は先にも述べたように全STEPのコンテンツが利用可能であるためですが、その特徴を利用してSTEP1受験の終盤に購入し、合格後にそのままCKを利用することもできるのです。

②ノートが豊富(特に倫理系)

Ambossのメンバーシップになるとノート(Library→Articles)を閲覧することが可能です。このノートは非常にきれいに情報が整理されており、かなり細かいことまで記載されているので痒いところに手が届きます。Amboss上のノートに記載を加えていくことも可能と言えば可能ですが、それは使いにくいので基本的に自分の作ったNotionにAmbossの内容を加えていくスタンスが良いと思われます。

それに付随することなのですが独学しにくい倫理系の知識も綺麗にノートにまとまっていることが魅力の一つです。僕自身も受験当時に苦手な行動科学を克服しようとして、問題集のあらゆる情報をノートにまとめようとしましたが全貌を把握することが難しく体系立った理解をすることができませんでした。結果的にSTEP1の本番でも行動科学は散々な結果でしたが、まとまったノートがあればなぁと思ったものでした。これに関してはFAでは全然足りません。

FAが使いにくいCKでは、まずこのAmbossのノートで全貌を把握し、その後UWは追加演習問題として利用していくスタンスが新時代のやり方になる可能性を秘めています。またノートのみであればメンバーシップのみでも利用可能なので、STEP1の時は後半からノートのみを利用を利用し、CKになってからアドオンをつけるという方針も良いかと思います。

③検索機能が超秀逸

この検索機能は正直超有能です。一度体験して頂ければわかると思いますが、解説などの単語にハイパーリンクが付けられており、気になった単語をクリックするとそれに該当するノートに飛ぶことができます。そして驚きなのがAmbossの内容をNotionにコピペしても、そこからノートに直接飛ぶこともできてしまうのです。これはめちゃくちゃ便利なので癖になってしまうかもしれません。

④Study planも魅力的

Ambossにはstudy planというコンテンツがあり、予め勉強の道筋を立ててくれています。例えば「STEP2CK prep condensed」のように30日間で30トピックを勉強するようなプランがあります。先にも述べた通り、最近のCKではカルテ系の問題が増えてきていますが、このAmbossのStudy planではカルテ問題を約100問集中して勉強することが可能です。

⑤全てのコンテンツを利用可能

何度も述べてますが、全てのコンテンツが利用可能です。実はこれにはUSMLE以外にものも含まれ、問診や診察のやり方が動画で紹介されていたりします。試験勉強だけでなく、実は実習でも役に立つ作りになっているのです。例えば、海外実習で問診や診察が可能な状況であった場合に、このような動画を参考することも有効な利用方法かと思います。

⑥無料期間5日間

これも何度も言及しましたが5日間無料でメンバーシップを体験することが可能です。しかし無制限のアドオンはついていないので購入しない限りは50問までの制限がかかっています。ただ、体験して購入するかどうかを吟味する上では無料体験で利用できるコンテンツで十分かと思います。

 

Ambossの利用方法の提案

最後にこれらの特徴を活かして、どのように勉強していけばいいのか考察してみましょう。

①STEP1の場合

STEP1は合格のみが目標となる上に、FAが非常に秀逸なので全員が利用する必要はないと思います。ただUWを解き終えても模試で合格点に乗らないか、またはギリギリの場合は一考の余地があるでしょう。Rxのみで合格できる人もいれば、UWをやり込んで合格できる人、それでもまだ足らない人、世の中には様々な受験生がいます。

足りないのであればAmbossに委ねることも考慮すべきかもしれません。その場合は、ノートを参照するか、または追加問題集として解くかの二択になります。「そんなに解く必要があるの?」と思われる方もいるでしょう。しかし、実際に問題数を重ねることの意義は多分にあります。

それは仮に知識量が10(めちゃくちゃ適当な例えなのをご了承ください)の問題を解いた場合、10理解する人もいれば、3しか理解できない人もいるし、なんと20まで理解してしまう人もいるのです。例えば、「今回の問題はこれを聞いてきたから、このように形を変えて聞かれる可能性もあるからこっちも理解しておこう。お、そういえばこの知識はここと繋がっているぞ」みたいにどんどん連想できてしまう学力の高い人もいます。しかし、これは全員にとってできるものではありません。

であれば、問題を増やすことで「想像する」量を減していけばいい(=暗記量を増やす)のです。問題集で聞かれたものは答えることができる状態をひたすらに陶冶していきます。どこまで利用するかは個人の判断に委ねますが、既にUWをやり込んでいる状態であればメンバーシップになってノートのみでも参照するのは経済的にもリーズナブルかと思います。

 

②STEP2CK

スコアが残存しているCKのほうがAmbossの利用価値はより高いかと思われます。ここ10年以上もの間、CKの対策はUWのみでOKという風潮がありました。(お前が作ったんやないかいという意見は受け入れます笑)しかし、実際のところAMGの間ではAmbossは比較的高く評価され、UWではなくAmbossを選択する方も半数以上いたという話もあります。

今後もUWのみで合格できる方は沢山いるでしょう。しかし、以前と比較すると苦戦を強いられる人は増えてくる可能性があります。既にUWを勉強中で、倫理系の問題が苦手、カルテ問題が苦手、自分でノートを作るのが苦手、範囲が広大過ぎて欲しい情報を上手く見つけることができない、等の問題を抱えている方はまずは無料体験を利用してみましょう。

そして、今後CKの準備を始める方はUWのみで勝負するか、Ambossを利用するかの二択に迫られることになります。(Ambossのみというパターンもありかも)UWを十分に使いこなす自信のない方は最初にAmbossを利用して基本的な知識を身につけ、その後UWでひたすらに演習をしていくのがいいかもしれません。

利用する際には特に倫理系やカルテ系の問題は重点的に勉強しましょう。その際には自由にセットを組んで解いてもいいですし、study planを利用するのもありです。

STEP1:UWで足りない場合にAmbossのメンバーシップになりNoteを利用する、また模試のスコアが伸び悩む場合には問題集を追加購入する

STEP2CK:既にUWを利用していて目標に達していない場合もメンバーシップになる、または問題集の追加購入をする。これから勉強を開始する場合はAmbossから勉強を開始し、最初にノートを利用して網羅的に勉強することも検討する

他の問題集とのアウトカムの比較

以下のページよりAmbossが発表した問題集の選択とUSMLEのスコアの関連性に関する論文をご覧になることができます。

Research paper: AMBOSS users score higher on Step 2 CK
Students who used AMBOSS standalone for Step 2 CK got higher scores than students who used other Qbanks. Read the research paper.

非常に詳細なデートとなっているので全てに目を通す必要はないかと思いますが、結論としてはUWと比較した場合にAmbossを選択したほうがCKのスコアは高くなるし、AmbossとUW両方を解くとさらにスコアが上がるというものです。Amboss調べなのでその信憑性にやや疑問が残るものの、確かに実際にそのようなアウトカムになることは想像に易いです。

まとめ

今回はAmbossに関する最新情報をお届けしました。このブログを書いている時(2024年8月)は未だ公式発表もないまま推測のみで話を進め、変更があったと仮定した場合の対抗策としてAmbossの一般的情報と、その利用方法について記載させて頂きました。

正直、まだ所謂エビデンスレベルは非常に低いものだと思います。現時点でオンラインサロンのメンバーの数人がCKの勉強をAmbossから開始しているので、将来的にはこの手法の有用性の判断ができてくると思います。読者の皆さんにも現状を一旦把握して頂いた上で、利用するかどうか、そしてこの波にどう向き合っていくのかを検討して頂けると幸いです。一生にこのハードルを乗り越えていきましょう!

それではまた!しーや!

 

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